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3話 黒いロボット

「キュイギュギュキュー!」


 白い生き物はうわあああああん!!と目を潤ませ泣きつきながらその黒いロボットに駆け寄ると、短いお手々をパタパタして短い脚でつま先立ちしながら何かを訴えかけるように必死に鳴いていた。おそらく、美幼女が人型昆虫を食べようとしていることを訴えているのだろう。とても必死に鳴いていた。


 黒いロボットは白い生き物に合わせるようにしゃがみこむと手のひらに乗せてうんうんと相槌を打ちながら聞いていた。どうやらこのロボットは白い生き物の知り合いらしい。


 白い生き物がキュイキュイと何かを訴えるように鳴いていると黒いロボットは状況が理解できたのかため息をついた。


「……。」


 黒いロボットが無言で足を蹴ろうとするが、美幼女はそれをひらりと避ける。どうやらこの美幼女の名前はマシロというらしい。


「食費を浮かそうと思っただけなのに嫌がられた、悲しい。」

「誰がこんなの好き好んで食うんだよ。」

「俺が食う。」


 無表情で分かりづらいがキリッとした目つきになり、自分に左親指を指すマシロ。表情筋が動かない子なのかな。


「キュキュイキュー!」

「うんうん、シャッチョも食べようね!」

「ギュ“ー”!」

「嫌がってるのに、そんなもん食わそうとしてんじゃねえ!」


 黒いロボットは素早い動きで勢いよくマシロを蹴ろうとするが、マシロはそれをひらりと避ける。蹴りが避けられたロボットは「チィッ!!」と盛大な舌打ちをした。

 黒いロボットの機体に禍々しい赤黒い痣のような何かが毛細血管のように現れた。え、なにそれカッコいい。でもどういう機能なのそれ。


「ポンコツロボくんは好き嫌い多いでちゅね!」

「元から食えるもんなんぞねえんだよ!」

「キュキュイキュー。」

「はあっ!? コイツ、人の意識あるやつ食おうとしてたのかよ!?」


 黒いロボットからの新情報に俺は愕然とした。え、そうなの!? それを知ってて食おうとしてたの!? このマシロって子、頭イカレてんのか!?


「コイツらに人権ないから食っても大丈夫。」


 マシロは俺に向かってぐっと親指を立てる。黒いロボットは怒りを吐き出すような深いため息をつく。絶対そういう問題じゃない。


「キューギュイキュー!」

「人の脳みそ食えば賢くなる。おれ、賢くなる!」

「そんなので賢くなったら苦労しない。」

「ポンコツロボはそうだろうね!」


 マシロのにやけ面に言った言葉に対し、再び鋭い蹴りを入れる黒いロボ。それをひらりと踊るように避けるマシロ。禍々しい赤黒い痣のような何かが毛細血管のような模様が強く光った。黒いロボットがさらに蹴りを入れようとすると、白い生き物が黒いロボットの頭上に上り、目の部分を自分の全身を使って覆い隠す。


「キュキュー……!」


 白い生き物が黒いロボットを宥めるように鳴くと黒いロボットの赤黒い何かが機体から消えると同時に、白い生き物も黒いロボットの頭上から転げ落ちる。黒いロボットは慌てて白い生き物を手で受け止めた。結局あの痣のような模様はどういう機能だったのだろうか。危ない機能だったりしないよな?


「……それでコイツらどうするんだ?」


 黒いロボットが落ち着くように長い溜息を吐いた後、俺と人型昆虫に指をさしながら白い生き物に問う。先ほどの怒りがまだ収まっていないのか、声もイライラしている感じがする。もしかして、俺殺されるの?


「キュキュイッキュー!」

「え、大丈夫?勝手にやってくらげっち怒んない?」

「キュキュイー。」

「そりゃシャッチョには逆らえん。」


 白い生き物はパタパタと両手を手を振りながら直立不動の黒いロボットの手の平に乗せられて、マシロと何か話している。

 俺は何を話しているんだろうと考えながら、いつでも逃げられるような姿勢で聞きながら、後ろに下がっていると、突然後ろから黒いロボットに脇の下から手を入れられ、ガッチリと固定される。


「え?」

「キュキュイキュー!」


 いつの間にか黒いロボットの頭の上に移動していた白い生き物が可愛らしい鳴き声を上げるとマシロが人型の昆虫を背中に抱え、ウィーンという機械音と共に黒いロボットが宙に浮かぶ。一定の高さまで浮かぶとゴオオオ!! 凄まじいエンジン音と共にジェットコースターに乗ったかのような浮遊感を強い風が俺を襲いながら、スピードで空を駆けていく。


「うわああああ!!!」

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