48.魔物使い
「アイク、さっきの店に戻ってギーと遊んでてくれるか?」
「うん。お兄ちゃん、気を付けてね」
俺は、そのままグンルヲンを追いかけることとなった。
人の走る速度とは、比べものにならない程に速いグンルヲンだが、その走る先には目印がある。
魔塔だ。
嫌な予感をさせながらも、そのまま魔塔へと向かう。
グンルヲンに騎乗する者が笛を吹くと、目の前から見たことのない二足歩行の魔物が二体現れた。
一体は犬頭、もう一体はトカゲのような顔。
二体共、胴体は猿系統の直立二足歩行にはもってこいの体つきをしており、犬頭の手には槍、トカゲ頭の手には剣がある。
二体は示し合わせているかのように、連携して左右から襲いかかってきた。
犬頭の槍をかわし、トカゲ頭の剣は手に持つ刀でいなした。
二体共、グンルヲン程には強くないが、BからAランクに相当する力を持っており、このままでは時間がかかりそうだった。
ここで時間は使っていられない。
手首を切りポケットに手を突っ込み、すぐに携帯している状態異常の丸薬を口にする。
力がみなぎってくるのを確認すると、犬頭には血で作った鎌で斬りつけながら、トカゲ頭に魔気を込めた刀で斬りつけた。
二体が倒れたのを確認すると、また走り出す。
そして、しばらく走ると魔塔に着いた。
魔塔の前には、グンルヲンとテレマナ姫を抱えた先程の男が立っていた。
男は黒色のマントをしていた。
「もうあの二体を倒したのかい? 君は最近有名なレイス君だったかな? 強いんだね」
「お前の目的はなんだ?」
「僕は依頼に付き合っているだけだよ。姫を誘拐しろと言われたからやっている。それだけだ」
「イベルがそんなこと依頼するわけないだろ」
「君は何か勘違いしているようだ。魔塔長はこの件には関係ない。魔塔もゾンクスも警備部隊も一枚岩ではないんだよ。いいから帰りなさい」
「テレマナ姫を返せ」
「君もしつこいな。お前たち行け。僕はここで見物させてもらう」
黒色のマントの男がこちらに手をかざすと、魔物が次々と現れた。
その魔物のほとんどが、低ランクに指定されているものだが、中にはAランクに指定されている魔物までいた。
数は百くらいだろうか。
「この数はなんだ? お前は何者なんだ?」
襲いくる魔物を、片っ端から斬りつけて倒していく。
斬っても斬っても、後ろからなだれるように現れてきた。
魔法、気、異能全てを使い、全ての魔物を相手にする。
しばらく全力で戦い続けていると、魔物の数が数なだけに無傷でとは言えないが、全てを倒すことが出来た。
「君はすごいね。でも本番はここからだ。僕の最高傑作を見せよう。こいつはロプラというんだ」
そう言うと、後ろから人間サイズの魔物が現れた。
先程のトカゲの顔に犬の体、竜の尻尾に羽。
犬の体をした竜、というところだろう。
ロプラは疲れ切った俺目掛けて飛んでくる。
そして、飛び上がりロプラは口を開いた。
それを確認し、嫌な予感がしたので魔力の糸を伸ばし、ロプラの尻尾を掴み地面に叩きつけた。
地面に倒れたロプラを全力で斬りつける。
「こんなもんか?」
「こ、こいつは推定Sランクだぞ? ま、まさかそんな……」
俺は有無を言わさず、男を殴り気絶させた。
イベルに話を聞こうと思っていたが、そろそろ総合組手の予選開始時刻になる。
テレマナ姫を連れて予選会場に向かった。
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