43.魔塔の晩餐
俺は魔塔の客室に案内され、イベルの用意した食事を前に、二人で席に着いた。
豪華な食卓には手の込んだ、様々な料理が何人分と置かれている。
「もう少し別のタイミングで話せたら良かったけど、詳しく話すわ」
長い沈黙の後に、イベルは口を開いた。
イベルが色々と用意している間に、俺もくつろぎ夜も更けている。
「お願いするよ」
「結論から言うわね。この魔塔を建てたのはあなた。そして、私はあなたの意志を受け継いで行動しているわ」
イベルは含みを持たせた言い方をした。
「魔塔を? 俺の意志ってどうゆうことだ?」
「魔塔はあなたがアイクちゃんのために建てたものよ。アイクちゃんの病気が発症して、その原因究明のために作った研究機関が魔塔。表面では魔術研究が主なように思えるけど、実際はそうゆうことよ。そして、あなたが邪魔をしているゾンクスは、その研究を補助している機関よ」
「そんなことって……あるのか?」
イベルが言っていることの真偽は不明だ。
でも、俺に欠落している記憶がある以上、イベルの言い分も聞いておくべきだろう。
「残念ながら、全部本当のことよ。ただしゾンクスにもメーレーンにも、良い者と悪い者は存在するわ。それに一部の者しかこのことは知らない」
「俺が邪魔していたってことなのか?」
「ええ。そうゆうことになるわね。今回も手を引いてくれると嬉しいわ」
「でも俺は覇王ゲームを制覇しないといけない」
「それでアイクちゃんは助かるのかしら?」
「今はそれに賭けるしかないだろ」
「あなたはもう少し周りを見た方が良いわ」
「俺がそれに協力したらアイクは助かるのか?」
「そうね。高確率でその見込みはあるわね」
「俺が覇王ゲームでリタイアしたらってことか?」
「そうね。あなたは分かっていないかもしれないけど、メーレーンの上層部は覇王ゲーム制覇時の景品を狙っている。あなたが制覇したらそれを渡すよう言ってくるはずだわ。それを魔塔で研究すれば、アイクちゃんの症状を治すことが出来るの」
どちらが正しいか、現状は俺には判断出来ない。
しかし、それを任せっきりにすることは出来ない。
「それならばやっぱり俺が覇王ゲーム勝ち抜く。俺がその景品を魔塔に渡せば問題ないんだろ?」
「魔塔に渡してくれればね。そうなれば良いんだけどね……」
イベルの表情は悲しげなものに思えた。
「クイズの答えはこっちに変えてもらうように言ってもらえるか?」
「分かったわ。あなたがそう決めたなら従うしかないわね」
無言の食事を終え、魔塔を後にした。
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