37. 射的と徒競走
特区祭七日目。
今日は覇王ゲームの種目、射的と徒競走があるということで射的と徒競走のグラウンドに来ている。
昨日同様、開始前にも関わらずにグラウンドは中継されている。
グラウンド周辺の客席を歩いていたところ、ミラと出会う。
ミラの隣には警備服の少女がいた。
隣の少女は後輩だろうか。
「私の相棒を紹介するわ」
俺のことだろうか?
「お願いします」
「この子はね、いつも私の考えたように動いて、私の実力を何倍にも増幅してくれる」
もしかして俺のことじゃなくこの子のことなのか?
「ああ」
「私の心の相棒の宝扇、桜ちゃんです」
ミラは右手に持つ扇子を掲げた。
「私達どちらの紹介でもないんですか?」
「そもそもそれ戦闘に使ってそうな勢いだが、その扇子初めて見たぞ」
「それよりも、昨日はすごかったわね!」
興奮気味に話し始めるミラ。
「ミラはどうだったんだ?」
「言わなくても分かってるでしょ? 私の魔法は異能のお飾りにすぎないわ。参加者のほとんどがそうだと思うわ。それにしても、レイくんは異能使えるの? 見たことないけど」
「俺も分からないんだ」
「ちょっとしっかりしてよ。私が勝てなかった以上、レイくんに全部勝ってもらわないといけないんだから」
「まあ何か考えるよ」
「今日の徒競走は、手伝う要素あるから手伝うわ」
そう言って二人は去っていった。
それにしても、あの隣の少女の紹介は受けてないのだが。
そして、午前中一発目の種目、射的が始まる。
射的は、以前屋台で遊んだ形式。
円形の的の、中央に向かうにつれて耐久が高くなり、矢が刺さりにくくなるというもの。
射的は黙々と、淡々と進んだ。
的の中央に刺した者は今のところ三人。
この種目に関しては、同率一位が存在する。
そして俺の番。
以前と同様に、距離はさほど遠くなく、何をしても良いというものだった。
「それでは初めて下さい」
的の中央に刺した者は、セガトリスの魔法を見て真似ていた。
俺もそれにならい、中央部まで魔力の糸を伸ばす。
そして、セガトリス程の魔力を持ち合わせていないので、そこにプラスして矢に気を込めた。
「おめでとうございます! 次が控えてますので、速やかに退場お願いします」
中央部に刺すことができ、ひとまず安心した。
そして、今日は徒競走が控えている。
これは気を引き締めていかないといけない。
「ご主人様! おめでとう! 昨日の魔法戦も中継で見てたよ! ご主人様はやっぱりすごいね!」
「ありがとう」
ルミがメイド服を着て近寄ってきた。
「今日も店番があるから、徒競走も中継で見るしかないけど頑張ってね! もう戻らないと。じゃあね」
それだけを言い残し、さっさと行ってしまった。
出店の場所から、このグラウンドまでは相当な距離がある。
応援のためだけに、わざわざこの距離を走ってきたのだろう。
それを思うと、徒競走も頑張らないとなと思った。
射的が終わり、すぐに徒競走の整列が始まった。
「レイくん、すごくヘロヘロに見えるけど準備は大丈夫?」
「そうだな。出来ることはやってきたぞ。この状態なのも準備の一環だ」
「そう。始まったら、この短い距離だけど必死で走ってね。何かしらの妨害があると思うから、私はサポートに徹するわ」
「悪いな。俺は一位目指して走るよ」
参加者はわずか十人だった。
やる気や、競技によっての選り好みで棄権者がいる。
そして、スターターピストルの音が鳴った。
全身の魔闘気を足に込めて走る。
後方からは追い風が吹く。
これはミラの能力によるものだろう。
横には、アリとセガトリスが並んでいる。
セガトリスは、俺とアリに向かって複数の魔法を放ってきていた。
アリは、その対応によって順位を落とすが、俺はミラの風の防壁で妨害を阻止してもらった。
その魔法以外にも、妨害を受けることになったが、純粋に走るだけの俺に勝てる者はいない。
そして、一位でゴールすることとなった。
「一位はエンレム・レイスくんでーす。おめでとうございまーす!」
その声と共に、観客席は沸き称賛の声を浴びた。
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