36.覇王ゲーム
特区祭六日目。
今日から覇王ゲームが本格的に始動した。
特区内はどこも覇王ゲーム一色であり、映像魔法によって、中継がどこからでも見れるようになっている。
今日のメインイベント魔法戦だ。
これは予選通過者十六名による、トーナメントで行われる。
武器は禁止で、純粋な魔法のみの戦闘となっている。
俺は魔法戦第一試合から出番がある。
相手は、ヒョロメガネだ。
長い名前だったから、覚えられていない。
「僕はね、いくつもの部活動を助っ人として掛け持ちしているんだ。そこで数多くの特技を培った。覇王ゲームは僕のためにあるんだ」
「その特技ってのはいくつあるんだ?」
「三つ」
ヒョロメガネが格好付けて三本指を立てた。
「三つかよ。魔法が特技ってことか?」
「見せてやろう。僕の特技」
「来い」
「特技、ブリッジ」
「……。それは魔法の予備動作のようなものか?」
「僕はね、立った状態からブリッジが出来る」
格好付けて言っている言葉に腹が立ち、火魔法をぶつけた。
「時間を使わせるな」
「あぢー。特技、即回復」
ヒョロメガネは大きく吹き飛んだが、すぐさま回復した。
「なんだ。お前もしかしてなかなかやるのか」
「もう一つの特技」
「なんだ?」
ヒョロメガネは両手を静かに挙げ、深呼吸した。
「降参です」
「一応聞くが、特技の最後の一つはなんなんだ?」
「諦めの早さですね。社会において重要なものの一つでもありますね」
こうして第一試合を終えた。
その後は、魔法特化の参加者が少なく、派手な魔法戦なんかは見られなかった。
第四位のアリとも戦ったが、アリは気の扱いに関してはピカイチのようだが、魔法に関してはからっきしですぐに降参していた。
覇王ゲームは、種目毎の優勝景品も豪華なため、その種目毎の景品を狙って参加している者も多い。
そして準決勝ではジルブとの対決となった。
もさっとした髪に恰幅の良い体からは、魔法を使えるような器用さはない。
「魔法しか使えねーってのはつまんねーな。どうだ? 俺と本気の勝負といかないか?」
「悪いが、俺は覇王ゲーム制覇したいんでな。それには乗れないな」
「つまんねーやつだな。じゃあ始めるか」
開始の合図と共に、俺は火魔法を放った。
ジルブは、それを透明な壁によってこちらに弾き返した。
速度自体は遅かったので、難なく避けることには成功するが、ジルブは続け様に光の矢を飛ばしてきた。
そして、矢を避けた頃、先日見せた光の糸をあちこちに飛ばした。
糸によって、捕縛しようと目論んでいるのだろう。
数本の糸を、俺目掛けて投げつけてきた。
鍛えたことで、向上した身体能力で避ける。
「こんな魔法もあるのか?」
「まだまだこれからだぜぇ」
途端に、空中にいくつかのレンズのようなものが出現した。
その射線からは、火が吹き出していた。
それを避けるが、足元にはすでに踏み場がないほどに、光の線が敷かれている。
俺は、風と火の魔法を駆使して空を飛んだ。
気を使わないために安定性はないが、それでも回避だけならちょうど良かった。
「両者そこまで!」
不意に試合を止められる。
審判の周囲には同じ服装の者が五人いた。
「せっかくいいところなのになんなんだよぉ」
「ジルブ・ディヤ。否、ジャデ・ブルィは、異能力の使用が認められた為、失格に処す」
「おいおい。冗談だよな? 坊ちゃん」
「これは規則だ。規則を守れない者に参加の資格はない」
審判に向かって生意気な言動のジルブ改めジャデ。
ジャデ・ブルィ。
特区五位の実力者で、光の異能を使う能力者。
どうやら彼が偽名で出場していたようだ。
偽名を使うほどだ。
何か組織に関わる、重要な仕事のために参加したのかもしれない。
「俺はこの退屈な日常に飽き飽きしていたんだよ。全力で戦ってこの退屈な日常を楽しもうとしてたんだよぉ」
どうやら何も考えていなかっただけのようだ。
こうして、不本意ながらも勝ち抜け、決勝に進出した。
決勝は運営の都合上、数日後に持ち越す形になる。
決勝の相手はセガトリスだった。
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