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34.事前講習


 特区祭五日目。


 今日は、覇王ゲームの事前説明がある。


 そのためにまた二区にまで来ている。


 ちなみに、覇王ゲームに参加しているメンバーで、これに参加する者は皆無だと言われている。


 今回は四人の参加となった。


 教壇の座席表を見ると、アリ・エンオアとジルブ・ディヤという者、そして俺とミラだ。


 アリ・エンオアは特区四位と目される、金髪碧眼の男だ。


 騎士道精神を大事にしているらしく、見た目から好感が持てる。


 しかし体調が万全ではなさそうだ。


 ジルブ・ディヤはアリとは真逆の性質のように思える。


 もさっとした髪に恰幅の良い体。


 そして、無精ヒゲ。


 制服を着ていてもとても学生には見えない男がいた。



「事前指導の講師はいつ来るんだ? 制裁を加えねーと気が済まねーな。こっちは忙しいとこ来てるんだからよぉ」



「君はもう少し静かに待てないのかい? 先生方も忙しい所、時間を取ってくれているのだから」



 アリが注意するも、ジルブは席から立ち上がる。



「集合時間は守るためにあるんだからよぉ。先生にも制裁が必要だよなぁ。ゲヒヒ」



 ジルブは、部屋の前側のドアに光の糸のようなものを仕掛けている。


 部屋に入ってくると、足を引っ掛けるような仕組みのイタズラのようだ。


 そして、しばらくすると講師が入ってきた。


 後ろの側のドアから。



「席に着いているな。今回は四人か」



「チッ」



 ジルブが舌打ちをするが、講師は続ける。



「いきなりだが始めるぞ。総合部門。通称覇王ゲームは戦闘、運動、頭脳に分かれる多数の種目において、その全てを一位にならないといけないというものだ。戦闘、運動、頭脳の決勝前に予選があるんだが、予選では魔力測定、基礎知識、気の測定、異能検査がある。そして決勝だが、全て一位を達成した者はいない」



「ミラも参加するんだな」



「レイくん、やほ。今回も任務だね」



「大変だな」



「ブリムの三竦みと同じで、この島は三つの組織によって成り立っているわ。一つは警備部隊。そして学園上層部。最後に魔塔。これによって均衡を保たれているの。それを崩そうとしているのがゾンクスよ」



 ジルブも困った奴だが、ミラも講師の話など聞かずに話し始めた。



「ゾンクスは聞けば聞く程にやばい組織だな」



「ゾンクスは、ホムンクルスもそうだけどこの均衡を崩すための戦力拡充のために動いてる。そして今回の覇王ゲームの賞品もゾンクスは狙っているみたいね」



 ミラの話も、ジルブのイタズラにも気にせず話し続ける講師。


 アリだけは真面目に聞いていた。



「それも戦力拡充のためってことか」



「覇王ゲームを誰かが優勝しなければ、自動的にゾンクスに流れるようになる。そのために今回は色々な刺客が現れると思うわ」



「上層部が繋がっているからか」



「私は優勝なんて出来ないのは分かってる。でもレイくんならもしかしたらって……。だから協力させてほしい」



「今回の講習は以上だ。引き続き分からないことが出てきた場合は聞いてくれ。じゃあな」



 講習は一時間も経たずに終わり、講師が部屋から出ていった。


 全然相手にされなかったジルブは、頭に血が上ったのかすぐさま立ち上がり机を蹴る。


 マナー悪く豪快に前側のドアを開けて部屋を出て行った。



「イテッ」



 ジルブは、自ら仕掛けたトラップに両足を引っ掛け、頭から転ける。


 そして恥ずかしい様子でそそくさと去っていった。



「彼の態度は見過ごすわけにはいかないな」



 アリとジルブは相容れない関係なのだろう。


 こうして事前講習は終了した。









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