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33.怨霊の指輪


 ブリンクの底力は半端ではない。


 以前にも増して、魔力が上がっていた。


 だがこちらも、以前とは比べ物にならないくらいに成長している。


 いくら強いと言えども、本能でのみ動くのならば負けることはないだろう。


 ミラも心配だ。



「じゃあなブリンク」



 ブリンクは俺のスピードについて来れないようで、何度も斬りつけた。


 ブリンクの体からは、地面に水たまりが出来る程の血液が流れていた。


 人間ならば、すでに動けない程の致命傷になっているだろうが、ゆっくりと動き近付いてくる。


 もうこいつは人間ではない。


 そう思うと、気持ちが軽くなった。



「レイくん、終わった?」



「ああ。そっちも終わったようだな」



 体育館裏に戻ると、地面に横たわった最高幹部の、錬金のなんとかが目に入った。


 ミラも怪我がなさそうで何よりだ。



「レイくん、怪我酷いように見えるけど大丈夫?」



「大丈夫だ。それが今回の?」



 錬金のなんとかの手には、ガイコツの指輪が握られている。



「ええ。ホムンクルスに必要な物らしいわ」



「ホムンクルスか……」



「ホムンクルスの器は、すでに出来ているって話は以前からあったわ。でも心臓とこの指輪がなければ、そこまで強くならないって言ってた」



 ミラが指輪をヒラヒラと振る。


 そして、落とした。



「気を付けろ。大事な物だろ?」



「いや、落としたんじゃないわ。何かに引っ張られたのよ」



「ったく」



 俺が指輪を拾おうと腰を落とすと、いつのまにかそこにいたゾピルがそれを拾い、指輪をはめて逃げていった。



「おい待て」



 ゾピルは、何かに取り憑かれたかのような顔と速さで去っていった。


 その速度は、魔人ブリンクをも凌駕するものだった。


 凄まじい疲労感が襲う今、俺はゾピルを追うことが出来なかった。



「何かあったのか?」



「ヴィプスか」



「おいおい。呼び捨てまで許可した覚えはいないぞ。年配者は敬え。それより、仕事は遂行してくれたようだな。ありがとう」



「それなんですが、今――」



 先程の指輪盗難までの経緯については、ミラに任せることにした。


 以前に比べると、能力使用の反動は徐々にマシになっているのは分かるが、俺には療養が必要だ。


 凄まじい疲労感に支配されながら、木に背を預けた。


 警備隊員は錬金のなんとかと、ブリンクを連れて引き下がるところだ。


 そして、しばらく経ってからミラがこちらにやってきた。



「どうした?」



「あの指輪は、怨霊の指輪って言うらしいわ。一般人が付けると、その場にいる怨霊を引きつけて力にして、いずれ魂まで食い尽くされるって物らしいわ」



「ホムンクルスならば、そのデメリットすら無くすってことなんだろうな。悪いがもう今日は何もしたくない。解散でもいいか?」



 こうして解散となった。

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