31. 体操服バージョン
特区祭四日目。
「レイきゅん、お待たせ! きゅん!」
「そのテンションどうなってるんだ? 今からまた仕事だよな?」
今日は二度目になるが、ゾンクスの者の捕縛に向かうことになっており、四区まで来ている。
四区は閑散としており、他の区画よりも出店も少ない。
「輪投げやらない?」
「時間はあるのか?」
「大丈夫よ」
なんでいつも時間に、余裕がありすぎるのだろうか。
「いらっしゃーい。ミ、ミラ様?」
輪投げの店主は、ミラを見るなり怪しいほどに焦っていた。
「えっと、大丈夫ですか?」
「えぇ。輪投げは一人三回のチャンスとしています。数字が一から九まで振られていますが、数字が若いほど入れにくくなってます。その分景品も期待してください」
「ミラやるか?」
「レイくんお願い! やっぱりレイくんには一番入れてほしいなぁ」
一番入れにくい所、と分かってて言っている辺り、ミラの性格がうかがえる。
三回のチャンスだが無駄には出来ない。
一回目から慎重に投げた。
輪っかは思った所とは、見当違いの番号に向かって飛んだ。
「どうやったらあんなおかしな方向に飛んでいくんだ?」
「輪っかにイカサマなどはしてませんからね?」
輪っかに?
輪っかというよりも壁に阻まれたような飛び方だった。
魔法障壁のようなものではなかろうか?
二回目は気を込めて投げてみた。
先程のような飛び方はしなかったが、何かに阻まれて失速し、失敗した。
「レイくん惜しい惜しい」
「ミラ様推しなのにあれに入れられてしまったら私は……」
店主が何やらぶつぶつと話していたが、お構いなしに輪なげに集中する。
三投目も気を込める。
先程の軌道を考えると、もう少し力を入れた方がいいだろうか。
通常の輪なげも難しいものだが、障壁がある分コントロールも更に難しかった。
そして三回目。
「レイくんすごい」
「おっめでとうございまーす! 特区名物、幻のブロマイド、天使か小悪魔かシリーズナンバー五、特区最高の封印術師! イベル・ル・ミラフィンのブロマイド!」
またブロマイドだ。
これは集めることに意味はあるのだろうか?
店主は俺に渡す写真を、怪しげな雰囲気で取り出し、カウンターから手渡してきた。
ミラも注目していたが、ミラには見られないように体で隠しポケットに入れた。
カウンターに戻る店主はアタフタとし、自分のポケットをあさっていた。
そして、写真を落とす。
「え? 店主さんこれなにかな?」
それは、ミラ・レムブル体操服バージョンと書かれた写真だった。
「えーと、これが本当の景品になります。それは差し上げます……」
自分の写真を見つめているミラ。
どんな気持ちなんだろうか。
「レイくん、他に何かもらったのよね?」
「これか?」
そう、イベル・ル・ミラフィンの写真を手渡す。
「ふーん、可愛いね。こうゆうのが好きなんだ?」
「渡されたからもらっただけだ」
「じゃあ、これはもらうね。レイくんはこっちをお守り代わりに持っておきなさい。この写真は嫌い?」
ミラはそう言いながら、ミラ・レムブル体操服バージョンの写真を胸ポケットに突っ込んだ。
「そろそろ時間じゃないか?」
「そ、そうね」
よそよそしい形で、計画通り行動に移すことになった。
「面白い!」「続き読みたい!」など思っていただけた方は、ブックマークや、広告下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価等、応援よろしくお願いいたします。
作者のモチベーションも上がり、とても喜びます!
よろしくお願いします!




