29.ライブ
特区祭四日目。
「わらわも祭りに連れて行くのだ!」
と、騒ぐリアを放ってはおけず、暇だったこともあり連れて行くことにした。
まだ行ったことのない、三区の商業エリアに向かった。
テレマナ姫は、常時狭い部屋でくつろいでもらっている。
メーレーンからの、誘拐の危険性は無くなったが、それでも一国の王女だ。
それに滞在予定だったホテルは、悲惨な状態になってしまっている。
今日も留守を任せて家を出てきた。
三区の商業エリアでは、学生もちらほらとは見えるが、店員のほとんどが学生ではなく、商売人が主体となっているようだ。
「ここはいつ見ても活気があって良いな」
「ここに来たことがあるのか?」
「何を言っておる。わらわはこの島の統治をしておったのだぞ」
リアはどういった訳か、龍の姿と少女の姿を使い分けることが出来るらしく、今回は少女の姿で胸を張っていた。
「それにしても、今日はやけに盛り上がっているようだが、いつもこんな感じか?」
「そうだな。わらわが来ていた時も、盛り上がってはおったがここまでではなかったな。ちょっと聞いてみるか。おい、そこの者」
「おい、リア。大人しくしろと……」
「嬢ちゃん、どうしたんだい?」
「今日の盛り上がりは何か催し物でもあるのか?」
「そうだね。今日は特区ナンバーワンアイドルの、テンカ・ムアちゃんのライブがあるからね。そのお客さんで溢れかえっているんだ。ライブはもうすぐ始まるみたいだね」
「そうなのか。オヤジ、その串焼きを二本もらおう」
「オヤジ……」
まだ若そうな店員は、あからさまなショックを受けながらも、手際良く串をまとめて渡してくれた。
もちろんお会計も済ませた。
「リア、約束が違うぞ。大人しくするというから連れてきたのに」
「わらわもそのライブに行きたいぞ」
その一言により、ライブ会場に行くこととなった。
ライブ会場は、大きなグラウンドを一つ貸し切っているようで、通常の屋内で行うよりも人が大勢集まっているように思える。
入場料などもなかった。
「なんだ? 急に暗く……」
会場がざわついた。
特区祭の開会式と同じように、辺り一帯が暗くなっている。
そして、派手な爆発と共に綺麗な少女が簡易ステージに上がった。
少女は、
「こんにちわー! みんなのアイドル、テンカ・ムアだよー!」
テンカ。
テンカは、真っ白のドレスで身を包み、ハーフツインの髪型で、黒に緑のポイントカラーの髪色。
真っ白なドレスに、ライトアップで照らされてドレスが様々な色に変わり、オシャレな演出だ。
会場が静まり、煙がステージ周辺に立ち込め、瞬間、辺り一帯に草原が広がる。
外とは隔絶された世界にいるようだ。
そして、テンカが歌い始める。
風が吹き、それに合わせて草原もなびいた。
次の瞬間には、草原が燃え広がり曲も情熱的な歌に変わる。
「この火は熱くないのだ」
好奇心旺盛なリアは、歌に集中出来ていない様子だが、楽しめているのだろうか。
そして、雨が降り、火が消え、次の瞬間には雪が降る。
最後には花火が上がり、ステージが湧き上がった。
大歓声の中、テンカは手を振り返し笑顔でステージを降りた。
テンカがステージから降りると、またいつもの景色に戻る。
会場では、止むことのない拍手が続いていたが、俺とリアは会場を後にした。
「楽しかったな」
「わらわは満足だ」
リアが満足そうで何よりだ。
会場から出てとのと同時くらいに、ステージ横の関係者以外立ち入り禁止の通路から、メガネをかけた女の子が出てきた。
女の子は挙動不審になり、顔を真っ赤にさせながら、
「レムレイ様?」
と、声をかけてきた。
「ん? 君は?」
「この小娘はさっきのアイドルとかいうものだな」
「ん? テンカなのか? あれ? 俺の名前?」
「あっ……」
「テンカがなんで知ってるんだ?」
「私、同じクラスで……。あなたのファンです!」
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