28.登録受付
特区祭三日目。
昨日は色々あったが、イベルは用事があるとのことで挨拶だけで終わり、帰ることにした。
今日は特に用事がなかったので、前から一緒に回りたいという話があったので、アイクと二人で出掛けることにした。
ついでに、覇王ゲームの参加登録だけでも済ませれたらと思う。
前日までに登録すれば問題ないようだが、手続き関係は、早めに終わらせておかないと忘れてしまうものだからな。
今日はその登録のために、二区にまで来ている。
「お兄ちゃん、金魚すくいしたい」
「いいぞ」
俺が朝が弱いこともあり、ゆっくりめのお出かけだ。
ポイを店員からもらい、すくおうとするアイク。
「あー。破れちゃった」
下手すぎる。
ポイが破れやすいものなのかもしれないが、それでも下手すぎた。
「貸してみろ、アイク! ほれ、すくえたぞ」
「すごい! さすが、お兄ちゃん! あれも欲しい!」
アイクが指差したのは、金色に光る文字通りの金魚だった。
動きも素早く、魔物と言っても差し支えなさそうだ。
しかも大きい。
こんなの取れるやつはいるのか?
ポイを強化しないと取れなそうだ。
強化?
「アイク、任せろ!」
俺はポイに魔闘気を込め、小さな湖を泳ぐ金魚目掛けて滑り込ませた。
金魚はポイから逃げることなく、体当たりをしてくる。
その衝撃は、通常の紙では受け止められるものではない。
しかし、魔闘気のおかげもありポイの上に乗せることに成功し、それを滑らせるようにバケツに突っ込んだ。
「おっめでとうございまーす! 特区名物、幻のブロマイド、天使か小悪魔かシリーズナンバー五、特区のアイドル警察! ミラ・レムブルたんのブロマイド!」
カランカランと、重いベルの音と共に店員が叫ぶ。
また写真をもらったがこれはなんなんだろうか。
「お兄ちゃん、すごいすごい!」
アイクは、そんなことも気にせずにはしゃいでいた。
その金魚もしや持って帰らないだろうな?
「ほら、アイク。熱いけど美味しいぞ」
そろそろ昼時だということもあり、屋台でご飯を食べることにした。
屋台から手に入れた焼きそばの熱が、手から伝わってくる。
カラナという、魚型の魔物をソースに加えた焼きそばだ。
「うん、焼きそばっていい匂いだね」
カラナ焼きそばは、辺り一面に充満させる香ばしい匂いが特徴だ。
続いて、隣の屋台で見つけたフルーツジュースを手に入れる。
カラフルなジュースが透明なカップに注がれ、氷がキラキラと浮かんでいる。
「アイク、これ綺麗だろ?」
最後に、デザートに甘い香りが漂うワッフルの屋台を見つける。
「ワッフル、大好き!」
「じゃあ、一緒に食べようか」
手にしたワッフルはふわふわで、フルーツとクリームが彩りを添えていた。
腹ごしらえも済み、ジェットコースターに乗ることになった。
ジェットコースターとはいえ、展示物の範囲内のものだ。
展示物にしては大きいが。
アイクの手を握りしめる。
「緊張してるのか?」
「ちょっとだけ……でも、お兄ちゃんとと一緒なら大丈夫!」
ジェットコースターが発進する瞬間、高揚感に包まれ、共に笑顔で未知の冒険に挑んだ。
「案外高低差もあって楽しめたな」
「うん! 楽しかったね!」
そして本日の目標、覇王ゲームの登録にやってきた。
「こんな建物あったのか」
並木道の真ん中に、大きなログハウスのような建物があった。
「二区は来たことないけどこれはたしかに不自然だね」
登録をさっさと済ませよう、と中へと入った。
「どうも。受付はこちらでーす」
受付カウンターは空いており、受付の体格の良い男が手を振って合図を出していた。
そもそもの登録人数が毎年少ないのもあるが、ギリギリのタイミングまで登録していない者も少ないのだろう。
カウンターの周りには、他に用事があるのか係員らしからぬ者もそれなりにいた。
「登録に来たんだが……」
「学生証お願いしまーす」
「よろしく頼む」
受付の男は、体格に似合わない長い髪をサッとなびかせて、俺の学生証を取った。
「エンレム・レイス……。ってこりゃ、噂のレムレイか。無能Sランクは参加なんてさせられねーよ」
「何言ってんだ? 受付するのが仕事なんじゃないのか?」
「悪いが、実力が伴ってない者を落とすのも仕事なんでね。帰った帰った。これだから神の加護がない奴の相手をするのは……」
学生証を投げて返してくる受付。
それを見て笑う野次馬達。
「おい待てよ」
俺はポケットから手を出して受付の腕をつかむ。
その時、例の二枚の写真を落とした。
「あ、あれは……。今特区祭限定の天使か小悪魔かシリーズのブロマイド……。それを二枚も……。すげぇ……」
「二枚も集めてもしかしてめちゃくちゃすごいのか?」
野次馬達が騒ぎ立てる。
「じゃあ俺がここで実力を測ってやるよ」
そう言い、受付の男が腕をまくり髪をまたなびかせ、カウンターから出てきた。
そして、いきなり殴りかかってくる。
そのスピードは、大口を叩くだけのことはあった。
しかし、今日の俺は一味違う。
アイクが見ているからな。
それを横に避け、横腹を殴る。
もちろん気を込めて。
そして、膝を崩す男の顔を蹴った。
「あいつ、容赦ねーな」
「そりゃあの態度は誰でも怒るぞ」
男は、髪を吹っ飛ばし、その場に崩れた。
「おい、見ろ。あの受付カツラだぞ」
野次馬の誰かが、笑いながら話していた。
そして、受付の男がおびえた様子で立ち上がる。
「お前には髪の加護はないみたいだな」
こうして、覇王ゲーム参加のバッジをもらい、登録の受付が終わった。
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