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27.運命


 ルミと特区祭の賑やかな広場にやってきた。


 彼女はキラキラと輝く魔法射的の看板を指差して言った。



「ご主人様、これやってみない?」



 魔法射的なんだが、一クラスの出し物じゃなく、複数のクラスがバラバラにやっているみたいだ。


 毎年恒例の、人気アトラクションなんだとか。


 その中でも、一際目立つ看板にルミが指差していた。



「まあ、暇つぶしは出来そうか」



 軽く笑いながら、俺は弓を手に取った。


 しかし、周りにはどこかしらに目を引く景品が並んでいることに気づく。


 説明役生徒から説明を聞き、またルミの元へ戻る。


 ルミがくすりと笑って言う。



「もし当たったら、あの大きなぬいぐるみをもらってほしいなぁ」



 大きなぬいぐるみは目の前にある的を見つめ、それが手に入るかどうかはわからないけれど、ルミの笑顔を見るためなら挑戦してみる価値はあると思った。



「これなんだが、あのデカい的に数字が書いてあるだろ? あれの中央に行く程魔法耐久が高いらしく、矢が刺さらないらしい。クマは逆に端だから狙いにくいけど刺さりやすい位置だな」



 そう言って、的に向かって姿勢を整える。


 魔力に気を込めて矢を放った。


 その瞬間、不安と期待が入り混じった気持ちが心をよぎる。


 そして驚きの声が広場に響く。


 ルミは手を叩いて喜び、



「さすがご主人様!」



と言ってくれた。


 放った矢は、中央に刺さっている。


 刺さりにくいとされている場所の、それも中央。


 景品も、さぞ期待出来ることだろう。



「おっめでとうございまーす! 特区名物、幻のブロマイド、天使か小悪魔かシリーズナンバー九、特区ナンバーワンアイドル! テンカ・ムアのブロマイド!」



 テンカ。


 ナンバーワンアイドルと呼び声高いアイドル。


 その写真をゲットした。


 周囲には血の涙を流す者もいる。


 それくらい人気なのだろうか。


 しかし、景品のぬいぐるみを手に入れることはできなかったが、ルミが喜んでくれていたのでよしとしよう。


 そして、俺はサッとズボンのポケットに写真を入れた。



「ご主人様、その写真持って帰らないわよね?」



「ああ。ここで捨てるのも申し訳ないだろ? 俺はこんなのには興味ないからな? それよりそろそろ休憩も終わるんじゃないか?」



 ルミが元気に手を振りながら、持ち場に戻っていき、また一人となった。


 特区祭の中、賑やかな出し物の前を一人歩く俺。


 人混みに紛れて、どこかで見覚えのある風景が続く。


 その時、視線が引き寄せられるように、俺は

一人の女の子の姿を目で追った。


 黒に青のグラデーションの長い髪。


 記憶にはないが、どこかで確実に会ったことがあるという感覚が心の奥底で揺れ動く。


 彼女もまた、賑やかな中で俺を見つけたようで、彼女の視線もこちらに向けられている。


 デジャヴとは異なる、確かな絆が二人の間に存在しているような気がした。


 これを運命と呼ぶのだろうか。


 時折、視線がぶつかりながら、彼女もまた何かを感じているのだろう。


 視線の交わりが続く中、彼女はにっこりと微笑みかけてくる。



「こんにちは、初めまして?」



 彼女の声が軽やかに響く。


 彼女の言葉に、俺は少し驚きながらも頷いた。



「そうだな、でもなんだかどこかで君に会ったことがある気がするんだ」



 俺は少し戸惑いながら話すと、ベルは興味津々のように笑顔を浮かべた。



「面白いね。私も同じ気持ちなの。でも、それって何か特別な縁があるってことかもしれないわ」



 彼女の言葉に、俺は不思議な安心感を覚えた。



「俺はレイスだ。君の名前は?」



「そう、私はイベル。イベル・ル・ミラフィン。あなたと出会えて嬉しいわ」



 ベルは優しく微笑み、俺はなんだか心の中で何かが繋がったような気がした。

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