19.前日
ミラとの散歩の翌日。
相変わらず俺は、クラスの出し物の役割をもらえずにいた。
浮いているのは間違いないが、気を遣われているというのが正しいだろう。
だが、俺も何もすることがないというわけではない。
「レイスくん、時間を作ってくれてありがとう」
「暇だったし大丈夫だ」
ヴィプスだ。
以前と同じ喫茶店。
「特区祭の検挙計画を話したいところだが、まずは君の妹さんについての話からしようか」
ヴィプスの、検挙という言葉にドキッとする。
出会った時の印象が強く、悪の組織のようなイメージが残っているが、彼は正義の味方という方が正しいのかもしれない。
風貌にしても悪のイメージが強すぎる気はするが……。
「よろしく頼む」
「君の妹さんとシャンヌくんの妹さんだが、おそらく同じ魔物の因子を植え付けられたものと考えられる。報告では幻獣の因子の内生存者は二名だけであり、その幻獣の名前は分かっていないが二人の身体的特徴がに通っているためそう考えられる」
その話を聞き、頷く。
たしかに、アイクも容姿が変わり始めたのはつい最近の話だ。
「アイクも昔は俺と似ていたんだがな……」
「それは、魔物の因子を取り込んで異能を持つ者は、少なからず皆容姿に変化が見られる。そしておそらくは、水空竜ヴェンリルと推測されている」
「水空竜……?」
どこかで聞いた名前に頭を悩ませる。
「水空竜ヴェンリルは、この島の崇拝の対象とされる天空神ジュピリルの子とされており、魔王になった個体だがこれがどうかしたか?」
「聞いたことがあった気がするんだがな……」
モヤモヤするが、悩んでいても出てくる気配がない時のアレだ。
この時の対処としては忘れるに限る。
手で合図をして、ヴィプスに先を進めてもらうことにした。
「思い出したら教えてくれ。次に特区祭のゾンクス組織員の人員配置の表を入手したので共有したい」
「そんなのどうやって入手したんだよ?」
「それに関してはスパイを送り込んでいる。元々が同じ組織でもあったからスパイも潜入させやすいんだ。それはこちらにも言えたことだがな」
ヴィプスは苦笑いをしながら俯く。
過去に色々とあったであろうことがうかがえた。
「色々あるんだな」
「君の妹さんのことに関しては、こちらの不手際ということもあって協力したいと思っている。それにつけ込む形という訳ではないが、協力してもらえると嬉しい」
警備部隊の知り合いがいるというだけでも、これから先色々と動きやすくなるかもしれないしこれは受けた方がいいだろう。
「それで何を手伝えばいいんだ?」
「それについてなんだが、一般人である君にはもちろん逮捕権はない。だから優秀な者と二人で行動してもらおうと思っている」
「それは妥当だな」
逮捕権がないというのもそうだが、一人にされて任せっきりにされるのもそれほどの責任までは負えない。
「それと、特区祭当日はメーレーンの警備部隊とは別に、ゾンクス側の人員も警備をするらしい。その末端の者を逮捕する訳じゃなく、残りの最高幹部八人を捕縛したい。その最高幹部は警備する訳じゃなく、裏で取引などをするらしくそれの日程表も届いている」
手に持つ紙を、ヒラヒラとさせながらそう言った。
「なるほど。じゃあその取引現場の一箇所を二人で襲撃する感じか?」
「襲撃とは言い方が悪いな。一応こっちは正義の味方だ。それと、二つ程襲撃してほしい。こっちも警備に人員を割いて手が回らなくてね」
「襲撃って言ってんじゃねーか。二つでいいんだな?」
「協力感謝する。詳細は君の相方となる者に伝えておく。場所なんだが――」
当日の待ち合わせ場所だけ伝えられ、その日は解散した。
結局、明日が当日なんだが特区祭の準備などは任せっきりで何もすることがなかった。
罪悪感もあるが、みんなで準備するといった楽しい風景を描いていたのだがこればっかりは仕方ないのか。
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