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11.通り雨


「レイスこれ見ろよ。すげぇ可愛いぜ」



「見てください。セレレイ・テレマナ姫が来訪されました」



 キャスターがそう大仰にコメントする。


 今日は久しぶりの休みのためギーと二人、学生全員に配布されているデバイスのニュースを見ていた。


 特区で暇つぶしと言えば、デバイスで完結するため、二人でニュースを見ることは少なくない。



「テレマナ姫ってすごい話題に挙がるけど何かした人なのか?」



「バカ、姫は姫ってだけで注目されるんだよ。くーっ。一度で良いから会ってみたいぜ」



「続いてのニュースです。昨夜から、特区各地で謎の症状による緊急搬送が相次いでいるようですが、新たに特区四位のアリ・エンオア君が搬送されたようです」



 特区にはランキングがあり、その四位のアリ・エンオアが搬送されたというのは衝撃的だった。


 俺はSランクだが、無能力者として長年過ごしてきているので例外だが、上位十人もほとんどが潜在能力Sランクであり、そんな化け物のような能力者が搬送されたのだ。



「アリは異能力はほぼ使わない気の達人らしいからな。原因はわからないがそこら辺が関係するのかもな」



 特区のランキングの他にも、世界ランキングでもこの上位十人は五十位くらいには入ってくる。


 特区ランキングと世界ランキングとでは、評価項目が違うらしいからなんとも言えないが。



「そろそろ朝ご飯でも行くか」



「続いてのニュースです。異能力開発第一人者のゾルヴィス博士が失踪したとのことです――」



 ギーの部屋から出てすぐの所にある食堂へ向かう。



「それにしても、お前久しぶりの休みだろ。何かすることないのか?」



 この学園では能力ランクの高さと成績に応じて授業が決まる。


 俺とギーは能力が低いため相対的に授業が多い。


 更に俺はバイトもしているため休みなんてのは稀だ。



「そうだな。そろそろ特区祭が始まるから準備をしておきたいが」



「やっぱり参加することにしたのか。急に強くなりたいって言い出したからな。アイクちゃん絡みか?」



「あぁ。手術をすることになってな。覇王ゲーム達成することにした」



「それまた厳しいな。アイクちゃんも知らない間柄でもないから助けてあげたいけどな」



「これから屋台回らないか?」



 外を出た途端、異変に気付く。


 浮遊寮は特区の中でも中央に位置しており、屋台も寮の前から続いている。


 昨日まで盛り上がりを見せていた一帯が、閑散としていたのだ。


 酸化したような屋台など思いの外酷い状況に困惑する。



「これは今朝の中継のやつだよな?」



「そうだな。ここまで酷いとは思ってなかった。一体何があったんだ?」



「もうちょい奥まで行くぞ」



「ああ」



 ギーは余計なことに突っ込みたがる性格をしている。


 この事件の真相に近付こうとするのも好奇心からだろう。


 祭りの中心地の闘技場付近では、大型の見たこともない魔物が氾濫していた。



「新種だぞ。こっちもあっちも。あのコウモリみたいなデカい魔物かっこいいな」



「そんなこと言ってる場合か。警備隊に任せてもう帰るぞ」



 付近には、こういった魔物の災害に駆け付ける警備隊が各所で対処している。



「おい、あの気持ちわりぃ魔物近付いてきてるぞ」



 足に鎌のようなものが付いている、八本足の全身が黒い人間のような、蜘蛛のような見た目の魔物がこちらに向かって歩いていた。



「強さもわからない魔物程怖いものはないぞ」



「逃げるぞ」



 一目散に逃げるギーを追いかける形で逃げた。

 人型蜘蛛から逃げ切った頃、ギーはふいに立ち止まる。



「急にどうしたんだ?」



「あれを見ろ」



 そこには建物の影に隠れる、怪しい外国の戦闘員といった風貌の男がいた。


 学生がほとんどの特区には似つかわしくない男。


 非常時とは言え、警備隊でもない服装の男がいるのは不自然だ。



「あまり関わらないようにするぞ」



「サングラスの黒人か、いかついな」



「もう帰るぞ」



「静かに」



 ギーは人差し指を立てて、こちらにそう呼びかけた時、



「――特区祭は予定通り中止させる。こっちの警備は相当手薄になってきた。もうすぐ始まるから急いで来い。そっちは魔物の手配を上手く進めたか?」



という時代にそぐわない、無線のような声が聞こえた。



「おい、聞こえたか?」



 ふと声を大きめに話しかけてしまうがサングラスの黒人の男は、こちらに気付いた様子はなかった。


 このままだと妹の手術費用を払えないかもしれない。


 非常時だがそんなことが頭によぎる。



「ああ。祭りが中止になるのは俺にとっても都合が悪い。着いていくか」



「そうだな」



 サングラスの黒人の男は、祭りの屋台もない裏路地に入っていく。


 そして、周囲を確認し足を止める。


 そこには、黒服に仮面。


 組織メーレーンがしていた服装の男がいた。


 髪は金色のため、先日会った男ではないようだ。



「久しいな、ウンウ。仕事の失敗はないと言われていたお前だ。心配はしてないが確実に済ませたか? 五年前から急に連絡取れなくなった時は心配したんだぜ」



「あの時はすまない。また仕事を再開することにした。お前たち組織にも迷惑かけたがまたひいきにしてくれ」



「そうだな。それでテレマナ姫の拉致計画だが、ここからも近いあの一等ホテルのヤハコエに特区祭終了日まで滞在するらしい。だから今日襲撃する手筈まで整えた」



「今日いきなりはちょっとまずいんじゃねーか? 日を空けて準備するもんだろ」



「問題ない。クーデターには姫が一日中でも早く必要なんだ。それにこっちは特区三位まで雇ってるんだ。必ず任務をやり遂げるぞ」



 どうやら彼らは姫のホテルの場所まで突き止めて計画を立てていたらしい。



「レイス、これはちょっとまずいかもしれねーな」



「そうだな。このままじゃ祭りは開かないだろうな。おい、こんな時にデバイスをいじって何してんだ?」


「ホテルに増援を呼んでおいた。俺達もホテルに向かうか」


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