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9.修行


「修行は残すところ今日明日の二日。今までよく耐えたね。常人なら死んでたよ。でも本番はこれから。これまでの修行は足りなかった基礎能力を鍛えただけに過ぎないよ。じゃあ修行の前に今日は勉強をするよ」



「お願いするよ、ユス婆」



 厳しい修行ではあったが、修行外では優しい老婆のユス婆。


 寝る時まで一緒に過ごすことで打ち解けていた。


 今はユス婆とカウ爺の住む家の居間にいる。


昔ながらのというよりも物語でしか見ないような古風な家だ。



「じゃあまずは気だね。これは学校でも習っただろう。これはわたしの主な攻撃手段でもあるが一番重要でもある。一流と二流の差は、不安定なこの気に異気を込められるかどうかじゃ」



 そう言ってユス婆は、普段見慣れた湯気のような気を右手に出して徐々に赤色のものへと変色させた。


 異気とは龍気や覇気などがあり、個人差によるが使える気が変わるらしい。



「その色が異気か?」



「そうじゃ。大抵の者は、生涯で気を上手く活用出来ないでいる」



 一般に言われる気とは闘気と呼ばれることもあり、その闘気自体は体中に、絶えず巡り続けているものであり、それを特定の部位に動かすとすぐに霧散するようになっている。


 しかし、例えば異気を上からさらに覆うことが出来れば、気はその場に定着しエネルギーとして、攻防一体の鎧となるとのことだ。


 ユス婆のやっていた通り試しにやってみるが、その異気が感じ取れない。



「異気ってどこから来るんだ?」



「調べてみるかね」



 ユス婆はタンスの中から、緑色の紙を取り出した。



「この紙は?」



「これはね、異気によって色が変わる。異気は人によって適正があるから調べる必要があるんだよ。ここに血を垂らして色が変わらなきゃ闘気しか使えない。複数の気を扱えればそれほどに濃いグラデーションになる」



「変わった方が良いんだよな?」



「色が変わらなくても、変わらない者が大半だから気にしなくても良い。あたしも変わらなかったしね。気楽にやりな」



「これで俺の強さも変わるのか……」



「ごちゃごちゃ言ってないで早くやりな」



 ユス婆は見たこともない凶暴な顔で俺の手首を包丁で切り裂いた。



「あぁっ……。いきなり何するんだよ!」



「レイ坊……。これを見な。ほらっ、早く」



 ユス婆は血だらけになった包丁を紙に垂らし続けながらそう言った。


 紙を見たら血だらけで、水溜まりが出来ている。



「こんなに血を出す必要あるのか? 色なんて分からねーだろ」



「これはたまげた。黒色じゃ」



「血だらけなだけだろ。普通こうゆうのは一滴とかでいいだろ」



 若いとは思っていたが、ユス婆も老人か。と思っていると、



「これはすごい。お主もしや覇王になったのか?」



と、呆けた顔をしながらそう言う。


 そしてその顔を見ながら俺も呆気に取られた。



「なんで分かるんだ?」



「バカ。こんなに全てに適正があるような人物は覇王しかいないよ! 貧弱さとコントロールの悪さ、薬漬けに耐えれる体……。なるほどねぇ」



 情緒不安定なユス婆は、得心したように小声で漏らす。



「俺はどうやら覇王らしい」



「バカ! 覇王なんて二度と名乗るんじゃないよ! 本当の強者ならみんな覇王の弱点を知っている。これが聞かれていたら命もやいところだよ。覚えときな」



「わかったよ」



「天才ならばすぐに異気を混ぜることが出来るものもいるが、覇王なら難しいだろうねぇ。覇王の脅威は、覇王の記憶によって先代までの能力と制約の継承があること。その代わり大きすぎる力のため、コントロールがしにくい。また薬漬けにして体に覚えさせるしかないね」



 異気の混ぜ方の修行が始まったが、修行というよりも拷問だ。


 ユス婆が俺の肩に手を置き、気を強引に動かす。


 その循環させた気の中から違う色を感じるというもの。


 強引に動かした血液の中から、特定の成分を探し出すようなものだ。


 しかし本来はこんなやり方ではないらしい。


 これを一日中続けた。



「ユス婆大丈夫か?」



 疲労困憊というのユス婆。


 その姿には申し訳なさを感じる。



「大丈夫なわけないよ。もっと早く覚えて楽にさせな。もうちょっと長いと楽になっちゃうところだったよ」



「悪いな。ゆっくり休んでくれ」



「それでも見えたみたいで良かったよ。明日は実践だね。基本的には見えた他色の気を無色の気に混ぜる。魔法には詳しくないが初歩魔法でもそれを混ぜると格段に威力が上がるよ。他で言えば、ある程度の戦士以外は武器があった方が良いね。ちょっと待ってな」



「寝なくて良いのか?」



 ユス婆はおもむろに立ち上がり、部屋を出た。

 しばらくしてから戻り、



「この武器を使いなさい。この刀は武器庫にあったもので誰も使わないからね。わたしはもう寝るね」



と、高級感漂う刀を手渡して去って行った。



「ユス婆、ありがとう」

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