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17 私だってXXしたぁーい

まったくもってアホらしいお話が出来上がりました。全3エピソードで完結します。


本作品に1,500字ほど書き足してR18サイトの「ムーンライトノベルズ」へアップしています。スジは一緒です。

【短編集】それぞれの愛欲の果て

https://novel18.syosetu.com/n6723if/

「王様、大変でございます」


こいつは国境を護る要塞の兵士だ。火急の知らせ、と早馬で駆け付けてきた。


「結界が消えかけています!」


なんだと! そりゃあ、大事(おおごと)だ。魔物が侵入してくる……。

結界は聖女が張っている。王都の神殿で日夜、祈祷しているはずだ。神殿へ使いを出せ……。


「お知らせします! 聖女様が出てこられません!」


えっ! どういうことだ? こっちは神殿からの使者だ。


「ご自身の部屋に籠って、参拝所へ出てこられないのです! 今朝から!」


どうした? 具合でも悪いのか? なにか変な物でも食ったか?


「将軍を呼べー! 神官長を呼べー!」


「将軍よ、とりあえず援軍を要塞へ向け発進せよ。いざという時に備えるのだ」


なに? 直ぐに出立(しゅったつ)できぬだと? 装備が無い? おいおい軍事費は潤沢に支給しているだろうが。ヨロイやツルギはどうした? むっ? こやつ、ネコババしているな。非常時なんて来ないからとタカをくくって……。叱っても急の用には立たない。


「出来るだけ速やかに派遣隊を編成せよ」


この命令が精いっぱいだ。


「神官長! 聖女はどうした? 待遇には気を付けるよう、あれほど申し付けておったのに」


あっ? 聖女の清貧をよいことに、こいつもネコババか! どいつもこいつも……。


「で、聖女はどうした?」

「聖女様は国のトップの方々と話がしたいと申されております」


「なんだと! 団交要求か! ストライキなのか!

仕方がないな。御前会議の連中を招集だ。神官長と将軍の他は宰相と国会議長だな。あぁ、それにオレと王后か。じゃあ、みんな、神殿に集合だ」


         ◆


「聖女よ。トップ六人が揃ったぞ。望み通りだ。要求を述べてみよ」

「私は十五の歳にご神託を受け、以来祈りを捧げ続けて参りました。三十五になって、つくづく思うのです。私の存在は何なのかと……」


「感謝しておるよ。君の衣食住には万全を期しているし、御家族には不便の無いように取り計らっている。それに任期は二十五年。あと、たった五年だ。辛抱してもらえないだろうか。次の聖女様が出現されるまで」

「そこなんですよね。五年が経ったら私、四十歳ですよ。女の喜びを知らないままで人生を終わるんですよ」


 女の喜び? なんだ、それ? あっ! あれか?


「そんなこと無いわよ」……王后が反論する。

「私、十分に感じているし、満足しているわ」……おおっ大胆! オレたちの夜の営みが暴露されてしまった。


「でも、それって、若い頃から開発してきた結果なんでしょ。四十から始めて間に合うのかしら」


うむ、話が核心をついてきたな。


「聖女様の魔力は古来より、その処女性に依拠していると言い伝えられています。単なる妄想とも切り捨てられないのが実情です。我慢していただきたいと……」……宰相が発言する。現状認識だな。


「で、その定義でありますが……」……今度は国会議長だ。法律論の様相か。

「貫通経験が無いことを指すのでしたら、百合っていう手段はいかがでしょうか? 聞き及んでいるところによりますと、そういう方々も多いとか」

「それ、好みというか生まれつきの問題なんですよね。私、筋肉がいいんです」……おやおや大胆至極。


「それでは、あれを切除したオスでは、いかがだろうか? 服役者なら選り取り見取り(よりどりみどり)でチョン切って……」……宰相が続ける。

「毎日、お風呂に入ってる清潔な人がいいなあ」……きょえぇ、注文が(こま)かい。


若い奴らは、(こら)え性が無いからなあ。絡んで興奮したら、アレを入れる欲求に(あらが)えない。入れたら、お終い。そんな人間に一国の命運を託せない。第一、この歳の女性を満足させる手練手管というか、テクニックを持ちあわせてはいない。一方、年寄りは体力がなあ。難しいものだ。


「誠実で、リーダーシップがとれて、力強く引っ張ってくれる人……」


 誠実? おいおい、みんな、なんでこっちを見るんだ。オレは既婚者だぞ。横に王后がいるだろうが。側室とか愛妾という線もあるけれど……。


「あなた、決めたわ。

 私たち、離婚しましょ。そうすれば、貴方は独身。聖女様のお相手ができるわ。保証します。テクニックは最高でしてよ。攻めは丁寧で体力も十分、前戯だけで天国に昇らせてくれます」


げっ! 何を言い出すんだ。王后よ。まさか若いツバメを飼っているのか? オレはツバメに負けたのか?


「そりゃあ、名案ですな。万が一、間違えて突っ込んでアレを失っても、その責任を採れる御方は、ほかにおられません。直ぐに離婚を認めましょう。聖女様のお立場でも結婚はできます。白い結婚ですけどね。

 善は急げだ。おい、届出用紙を持ってこい。離婚届と婚姻届だぞ。ここで認めちゃいましょう」……神官長よ、何を言い出すのだ!


「国会も全会一致で承認します」……議長よ! 世迷い言を言うな!

「国費節約のため、式典は省略です」……宰相がホザく。


「聖女よ、何か言ってくれ! こんなオジさんは嫌だと」

「はい、王様がイイです。王后様、この人、ください」


クソッタレー! 届出への署名は、将軍によって力ずくだった。

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