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バッティングハンター  作者: いんじんリュウキ
第1章 卒業後の進路
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マッハへの報告

 ヴァーベン村を出発した後、タフィたちは特にトラブルもなく、ベルツハーフェンに帰着した。


「今帰ったぞ」


 店に入るなり、タフィは威勢よく帰宅の挨拶をした。


「おかえり。もう見つけてきたのかい?」


 仕込みの最中であったマッハは、串に肉を刺しながら返事をした。


「おうよ」


 タフィは包丁が入った木箱をマッハに向かって見せつけた。


「へぇ、こんなに早く見つけてくるなんて大したもんじゃない。これも、カリンが一緒に行ってくれたおかげかしら」


「いえ、うちは9割くらいしか手伝ってませんから」


「おい、それじゃ俺ほとんど何もしてねぇことになっちゃうじゃねぇか」


 タフィはすかさずツッコミを入れた。


「カリン、今日はあたしのおごりだ。好きなもの食べていっていいよ」


「やったー」


 カリンは嬉々とした様子で空いている席に腰を下ろす。


「ボイヤー、帰ってきて早々悪いけど、カリンにワイン出してあげて」


「はーい」


 ボイヤーはワインを取りに店の奥へと入っていった。


「タフィ、あんたもそこでカリンと一緒に夕飯食っちゃいな」


「わかった。あ、これ包丁ね」


 タフィはカウンター越しにマッハに木箱を渡し、カリンの向かいの席に座った。


「さぁて、『至高の肉切り包丁』とやらはどんな感じなのかしらね」


 マッハは木箱から包丁を取り出して軽く見回すと、肉の塊をまな板の上に置き、切れ味を確かめるように刃を入れた。


「……」


 マッハは無言のまま再度肉を切り、そしてタフィを呼んだ。


「……タフィ、ちょっとこっち来な」


「何?」


「あんたが持ってきた包丁だけど、これは『至高の肉切り包丁』じゃないね」


「え?」


 タフィは一瞬言葉を失った。


「だから、もう一度……」


「待って待って、なんで違うってわかんの?」


 タフィはマッハの言葉を遮るようにして反論した。


「そんなもん切った感覚でわかんのよ。あ、これは『至高の肉切り包丁』じゃないなって」


「ほんとかよぉ?」


 タフィは疑いの眼差しを向ける。


「とにかく、もう一度探しに行ってきな」


「はぁ……わかったよ」


 タフィはガックリと肩を落としながら席に戻った。


「聞いてただろ。振り出しに戻っちゃたよ……」


 タフィはテーブルに突っ伏した。


「そんなに落ち込まなくても大丈夫だって。トレジャーハントにはこういうのが付きもんなんだし、また探しに行けばいいだけなんだからさ」


 カリンはワイン片手に、タフィの頭をやさしくポンポンと叩いて慰めてあげた。


「……そうだな」


 起き上がったタフィの顔には、少し元気が戻っていた。

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