ホームパーティなんだからこれをやらないとね!
『こ、のぉ! オラッ! 殴り倒してやる! 覚悟しろリビングデッド、その身に絶対に消えぬ傷を刻み込んであげようじゃないか!』
うーん、チンピラ相手に大立ち回りを演じるだけの迫力はあるなぁ……まぁ兄貴は一目見れば、冷静かつ沈着なミノタウロスだけさんだけど、まぁ、爺ちゃんの血を引いてるからなぁ。一発キレればこんなもんよ。
『ハチィ! 手を出すなよ……! 俺一人で纏めて蹴散らすぞ!』
『いやそれはちょっと。適度に加勢はしますから、ね。暴れるのは構いませんけど』
『そうか! なら僕の邪魔をするなよ! 邪魔をするなら君も殴るからなぁ!』
というか一回怒ると兄貴の方が危ないまである。普段すましてるから、一度爆発すると寧ろ爺ちゃん以上に凶暴性が発揮されるというか。あるよね、普通に当たり前の人が限界を超えると急に……爆発する、的な。
『ちょっと、アンタ! タウロス! あまり熱くなるんじゃないよ! 危ないからね!』
『はっ、こちとらハチ以上に喧嘩の経験はあるんだよ! 舐めないでくれ!』
まぁそりゃあ俺以上に生きてるだろうからそういう事もあるだろうけどもさ。とはいえなんか釈然としねぇな。俺の方が上みたいな言い方されてもね、ちょっと、あまりにも不満と申しますか。
『そんだけ言うなら俺も奮戦しない訳には……あ、その前に』
LI〇E全然チェックしてないな。ちゃんと連絡届いてなかったら、もう一回ぐらい連絡入れとかないといかないし。まぁ、兄貴が暴れてる内に……
『えぇっと……どうですかね?』
あ、返信来てるな。うん。それで……?
――これさ、俺来なくても全然大丈夫じゃないか? 多分君達だけで制圧イケると思うから俺に休みをください。
『えー……【働け権力の狗、ちゃんとお仲間を連れてきて仕事しろ】と……ったく、あのスットコドッコイめ。まぁこれで来なかったら職務怠慢だぞ』
こちとら職務にない不審者、ならぬ不審ゾンビをボコボコにしてんだぞ。サービス残業も真っ青の過剰労働だぞ。お上の持ち物の森を守るために……まぁ、そんな理由とか無いけれどもさ。単にアレだけど、ホームパーティ邪魔された事への報復だけど。
『良し! 母さん! もうちょっとで来るぞ!』
『警察かい!? なら安心して実況出来るね! わっはっはっ!』
いや、実況しないでちゃんと参加してもろて。ホント。仕事をしてもろて。この野郎。泣かすぞ。いや、このお袋相手にマトモに喧嘩売ったら悲惨な事になっちゃうからやらんけどもさ。うん。
『おら、どうした、さっきより迫力がないぞ……? 見せてみろ、お前の可能性を』
そして兄貴が変なモードになってる。興奮しすぎてどっか変なスイッチ押しちゃった系かな? ウーンもうちょっと落ち着いてくださいお兄ちゃん。
『兄貴手加減忘れてないよな、アレ殺しちまうと、ヤバいぞ』
『まぁ本気で危ないなら私が止めるから安心しておきな。私だってアンタ達を犯罪者にはしたくないからね。そこは信じときな』
ウーン頼もしいお言葉ですがそれが本当かどうかはちょっと、ねぇ。今までの行動や言動を考えると、ちょっと説得力に欠けると申しますか……?
『なんだい? 不安かい? 私がタウロスを抑えられるか不安かい?』
『いやそれはったく以て心配してないですけど。なんならお袋の制圧暴力で兄貴が怪我しないかの方が心配になるというガガガガガガ痛いです痛いです許して』
『私を何だと思ってるんだいこの馬鹿息子』
割と鬼みたいな性格した鬼のような母親ぁああああああ!? 待って! まだ、まだ何も言ってないから! 何か言う前の先行入力制圧はお許しください!
『余計なこと考えるんじゃないよ、余計な事考えたら追加で制裁入れるからね』
いや、考えたらって、何? 考えてる事が分かるの? だとしても考えただけで制裁はちょっと止してくれないかな流石に。あまりにもさ、非情に過ぎると思わないかい?
『分かりました、分かりましたよ……ちゃんと信じますから』
『分かったなら宜しい。さっさとタウロスをサポートに行きな』
しかもしっかり俺をこき使おうとしてくるし! 何なの!? あまりにも雑すぎないかなお母様、もうちょっと、子供の事を考えて発言してください!
『息子使いをもうちょっと優しくしてくれないかなお母様本当に』
『アンタは割と頑丈だから大丈夫だと思うよわよ、アンタの事を信じてるからこそ雑に頑張ってー、みたいな事も出来るんだから』
それは果たして本当に信頼と呼べるのでしょうか! 僕には分からない事ばかりです。それは、私が若いからなのか、もしくはお母様の思想が余りにもどす黒過ぎて私が理解できないだけなのか。多分後者だな。
『……とはいえ』
『トベェ! 跪け! 許しを乞え! この俺になぁ! 抗う事を諦めろ!』
『本当に必要か? 物凄い兄貴ノってるぞ? 楽しそうだぞ?』
『……前言撤回。抑えるのを手伝っておくれ、ちょっと手古摺りそうだからね』
はい、そうですね……スゲェよ、ゾンビの顎持って持ち上げてるぞ、そんな悪役にしか見えない行動するような人だっけ兄貴って? 怒ってるのが原因だとすれば……うん、兄貴に逆らうのは今後慎むようにしようかなぁ、なんて思わないでもない。
「ォオオオオオ!?」
『振り回されて……おぉ持ち上げられて……で振り下ろされて。なんかもう玩具みたいな扱い。正に無双だなぁ……これは。うん』
あの、お母様。なんかお兄様のテンションが入ってはいけない所に入ってる気が、しないでも無いのですが……どうなのでしょうか。
『ダメだね。こりゃあなんかの拍子にバキッっと行っちまうよ。ったくあのバカ息子』
『やっぱそうだよね!? 止めろ止めろ! 兄貴が犯罪者になる!』
なんで俺らは暴れている家族を止める羽目になって居るのか。さっきまでゾンビを止めてお山に平和を取り戻そう! とか思ってたのに……それこそホームパーティみたいだな! 酔って暴れる親戚を止める的な! こんな醍醐味は味わいとう無かった!
でもやる必要は無いと思います。こんな事。




