今までの集大成を、ここに。
「だれか! 実験体を早く! 早くゥウ! もう来てる! こっち来てるから! 俺らが獲物なんだよぉ! ひいいやああああああ!?」
『騒ぐな! ええい、大人しく眠らせてやろうとしたが許さぬ!』
フライングカウボーイアタック! 相手は下敷きになる! 喰らえぇええい!
「や、やめぐぇえええ……がく」
『良し、鎮圧完了。取り敢えず茂みに放り込んでおいてっと……さて』
うーんバレ申したなコレは。しかし……特別実験体って何なんだろうな。さっきの奴も言ってたけど。あのゾンビまだ居るのかな。うーん……どうなんだろう。いやいいや。そこは気にしても仕方ない。
『取り合えずもう隠れても仕方ないなら、さっさと侵入して……あ』(バタッ、ドンドンドン! ビキッ)
……ふぅううううう……あー、うん。これは。鍵かかってんな。当然そうするか。となると……仕方ない、蹴り破るのが一番かな。うん。多分だけど。
『この牛頭さんのミノキックは片足で二十文以上。あのアンドレ・ザ・ジャイアントも真っ青なハイキックをお見舞いして上げようじゃないか』(カンカンカンカン)
え? 壊していいのかって? ……もうね、特別実験体とか嫌な予感しかせんのよ。普通のゾンビだろうね、と思ったらあの数出てきたし、予想を遥かに超えたモンスターとか出てきてもおかしくないと思う。後、なんかさっきから煩いし、変な事する前に潰す。
『という事で(あんまり派手にやるとそれこそ扉だけじゃない所とかも壊してしまうので全力では無いが)全力の二十文キックゥ!』
砕けろ扉ぁああん!? 痛い! 弾き返された!? 馬鹿な?!
『こ、この俺の二十文キックが……い、一体何をしたというのだ……!?』
……うん、まぁなんて言っては見たモノの。何となく察してる。これ裏から板張ってんな多分。カンカンとか色々音鳴ってた辺りで、色々察してた。でもあわよくばぶち破れればなぁ、とか思ってました。
「……いか! ……解放……は二の次で……!」
「いくら……茶です……冷静に……」
「もういい……解錠……アレを……殲滅……」
中でなんかやってんのもだんだん聞こえて来たし,あーあー、なーんか嫌な余暇南しかせぇへんのだがぁ!?
『どうしようかなぁ……もうけが人出るの覚悟で全力でぶち破りに……』
そうじゃないと。なんだろう……手遅れになる気がする。何がとは言わんけど。いやぁこういうねぇ、シュチュ知ってるんだよ俺。これ危ないの俺じゃなくて……多分中に居る人だろうしさ。
『……悪く思うなよ』
大丈夫だ、肉軽くえぐれた程度じゃ死なない! よーし……!
『全身全霊! 男のドストレートパーンチ!』
「ぱきゅっ」
チリと砕けよぉ! まぁそこまでやるとなると相当頑張らないといけないからやらないけど。やった事あんのかって? いやぁ、実は実家の扉がシロアリの巣になって居た事が有ってそれを不意打ち気味に見ちゃったときは……いやそれはどうでもいいか。
『……一人扉に巻き込まれて目ぇ回してんな。まぁ死んではいないから良いか』
「あ、ああああああっ! は、入ってきたぁ!?」
「馬鹿者、急がんから間に合わなかったではないか! い、いやしかし……」
「大丈夫ですよもう少しでお目覚めです! チクショウ、こうなったらこの化け物の暴走に賭けるしかねぇのか……! 生き残るには……!」
いや、多分それやったら死ぬのは君達の方だと思うんだよなぁ。流れ的に。そもそも俺みたいに頑丈じゃないだろうし、君達……さて? その君達が目覚めさせようと……
『……ぅぅわ。何これ気持ち悪……悪趣味とかその段階越えてるだろ……!』
多分ゾンビ野郎がベースだとは思うんだが……肌が大分茶色になって、頭が……ヒレも何も無い、なんか、サメっぽい感じで……でなんだコレ。体に埋め込まれて……いや埋め込まれてないな、癒着してんのかコレ。機械が……!?
「は、ははっ! 見ろ、これこそ我々が作り上げた実験体の全てを結集して作り上げた成果の形だ! 此奴は今までの奴らとは桁が違う……お前だって容易く屠れる!」
うん。良く分かった。此奴は速攻で殺処分だよ。幾らなんだってこんな奴生かしておく気にもなれんわ。まぁ、あのゾンビ擬きくらいだったらまだしも……この、デカい水槽かこれ。中の此奴は、もう、生物の範疇超えてるよ。
『やりすぎたんだよお前らは。その辺り反省して気絶しとけ』
「き、きひひ。お前を、お前を倒す為の切り札だ……! 開くぞ、地獄の釜の蓋が!」
あーはいはい。分かった分かった……相手してやりゃあ良いんだろ。俺の所為だ俺の所為だっていうがな、そもそもウチの山でなぁ、犯罪行為をしようとしたお前たちがなぁ。
「教授、一応調整終わりました……! ですけど、大丈夫なんですか!?」
「問題ない! 人間の死体をベースにしているのだ、ちゃんと発現する筈だ!」
……ったく、犯罪者共が。良くもまぁ悍ましいセリフを言ってくれる。きつめのお仕置は確定だな……! 上等だ、出てこい。
「――開きます!」
水が流れてくる。中に眠ってる奴が、目を覚ます。さぁ、悪いがさっさと潰させてもらうから、その辺り覚悟して貰って……!
「……反応アリです! やりました!」
「はは、当然だ! 人間の死体から作り出した実験体、無機物とも融合可能な海洋実験体を組み合わせ、AIをも取り込んだ高度な知能を持つ生物! 我々の最高傑作だ! 負けるわけがない!」
おおう言ってることがマッド一直線じゃねぇか。
「さぁ、出てこい高度知能実験体! 私の命に従い、その化け物を潰せ!」
『安心しろ、爺ちゃんとか、島の牛よりは弱いんだろう? 直ぐに制圧して……安らかに眠らせてやるからよ!』
……目を覚ました。あのサメっぽい、独特な滑った、無機質な瞳がこっちを見てる。大柄で、迫力もある。それがどうした、俺だって負ける積りは……っ!
『――あ、いえ。此方に争う意思はありません。牛の方』
……ん?
なおそれがマトモになるかと言えば……




