学習しよう! 自分の弱点!
――ぶっちゃけ、当たらない、なんて保証はない。俺は確かに人よりパワーも強ければそれなりに素早く走る事だってできる。だけど、人生に絶対なんてないってのは良く分かってる。
「……ふぅうう……ふぅうう……」
『目が血走ってるよ……どんだけコイツに恨まれてるんだ俺は……! ったく、そこまで恨まなくても宜しくありませんかお兄さん……』
相手が余程必死なら猶更だ。熱意ってのは、時に不利を普通に覆して奇跡を引き起こす訳だ。それは何故か? 慢心してる相手なんかには、先ず気持ちで勝つのが必須だから。思い出す。波打ち際であのタコと引っ張りあいとしたあの……
『いや思い出話してる場合じゃねぇな! それこそ慢心だ!』
「何呆然としてやがる!」
やべっ、これ来るわ! 緊急回避ダイブゥ! 死んでたまるか! 起これ、奇跡の回避の二連続! 当たるな当たらないでお願いします頼むご先祖!
「……外した、クソッ!」
『っぶねぇえええええ! まだ幸運は続いている! 魂のラッキーボーナスタイム!』
こ、コレを後何回やればいいんだ!? えぇっと大体後……七、八回!? そんなん潜り抜けられたら人生最高の幸運が来てると思うんですけど私! マジで!
『やっぱ、弾切れ狙いで粘る戦法はリスキーすぎるか!?』
でも確実に取り押さえるにはそのタイミングを抑えるしかないと思うんだよなぁ多分。でもそれを達成する為には奇跡の連続幸運ガトリングタイムでも引き当てないと絶望的なんだよなぁ。やっぱりそれを為す為には……!
『気持ちの問題しかないと思う! 幸運を引き寄せるおまじないやってる暇なし!』
「ちゃんと、ちゃんと当てられる様に努力したんだ……!」
だからお前がその類のセリフ言っちゃダメなんだよなぁ! 言っていいのは、あの、青春漫画の、部活系の、その、爽やかな主人公だけだよ!
『……もしかしたら、近くに四葉のクローバーがあるかもしれない。いや、この場で見つかったら寧ろそっちで幸運を使いきっちゃうかもしれない。ヤバい』
「周り見回して……逃げようとしてんのか? 逃がすつもりは……」
えぇっと……おや? マジでクローバー生えて……!
「ねぇぞっ!」
――あ、あの。やっと見つけたクローバーが速攻弾丸で弾けたんですけど……ヤバくないコレ、不吉過ぎない? 止めてそういうの、もうちょっと、ヤメテ?
「へへ……どうした? 逃げようとした先にぶち込まれて、ビビったか?」
あ、狙った訳でもないってか……ふーん、偶然なんだ……それはそれでヤバい気がするぞぉ? それってさぁ、俺に取っての不運って事じゃないのかなぁ? ううん?
『取り合えず今度お祓い行こ、マジで……』
あ、いやな予感がしたからちょっと転がりますねぇ、ったぁ!? 今、かんっぜんにわき腹の辺りを掠めましたよね!? 結構痛いぞぉ!? この野郎が……!
「へっ、完全に掠ったな、ちょっとずつそうやって削っていくのも悪くは……あぁ!? 待て額の傷塞がってないか!? 早くないか!?」
まぁ、昔から足すりむいたりしても一分くらいですぐに元気に走り回れるくらいには結構健康だったし……多少削れるくらいじゃ怪我にもならんよ。うん。つっても弾丸に腹ぶち抜かれたら暫く安静にしてる必要はあるけど。
「く、ダメだ……! 此奴を仕留めるには、確実に頭か心臓をぶち抜くしか……!」
銀の弾丸いる? いや、持ってても渡さんけどな? 絶対に。
『まぁ、それは良いか。で、頭蓋か? 心臓か? 狙ってみろよ……?』
おぅ、構えた拳銃が震えてんぜ、兄さん……どうした、こんな一般人に迫られただけで震えてんのかい? そんなんじゃあ、俺の命、取れねぇぞ?
「ち、チクショウ……唸るんじゃねぇ! ビビらせるんじゃねぇこの、化け物がぁ!」
だが残念、拳銃をしっかり握って撃つ、その震えが止まるタイミング、もうダイブしている……っ! 挑発し、撃つタイミングを計る、子供でも思いつくようなやり方だ。
「この、何故だ……っ! 何故当たらない!?」
そりゃあアンタが自分で外してるんだぜ? 勘違いしちゃいけない。俺は拳銃が発射されてから避けられるような超反応なんて出来ない。
「くそっ……このぉっ!」
だけどなぁ、アンタ。確かに当てるのは上手くなってるかもしれないけど……一々掛け声一つ入れて拳銃ぶっ放してたら、そりゃあ分かるだろうよ、撃つタイミング。
「また転がって避けやがる、もう当たっても可笑しくねぇだろうが!」
あらよっと。まぁ、人を殺す凶器使うんだから、一々覚悟入れて撃たないと怖いっていうのもあるかもしれんが……それにしたって分かりやすすぎだろうよ。明らかに討つ直前に声、ちょっと大きくなってるんだもん。後は重工がブレるだとかの、ちょっとの不運に見舞われない様に祈るだけだ。
「当たれ! 当たれぇ! 当たれっ! 当たれぇっ!」
……で、必死になり過ぎて気が付いてねぇな。もう途中で弾切れ。でもって……それに気が付いた時は、時すでに遅しってな。
「こ、この野郎が……っ!? あっ」
『眼の前だ。ゴロツキ。ここからなら、お前が弾を込めるより早く……制圧できる』
両手で、肩をしっかりとキャッチ! はーい、捕まえたよぉYOU。覚悟は出来てるんだろうなぁ? んー?
「は、放せっ、放せ、放してくれ……たのむ、助けて……ひぃい」
『ビビりすぎだろお前。俺がお前を殺そうとしてるみたいじゃねぇか』
ったく、人聞きの悪い反応するなよなぁ。俺は、あくまで、オマエをとっ捕まえる為にここまで迫ってきたんだよ。
『とはいえ、いい加減喚かれるのも癇に障るからよぉ……』
「ひ、ひ」
取り敢えず。とびっきりのデコピンでもしてやるから、それで寝てろ。目が覚めた時はまた留置場の中だから、しっかり反省するように。
上手く行くとは言っていないけども。




