どっか仕舞おうと思って分からなくなるやーつ
また雄叫びが聞こえたんだけど、爺ちゃんまだ暴れてんの? ヤバくね? コロコロしちゃあかんよーって言っておいたんだけどなぁ……俺この年で親族の裁判に出なければならない可能性が出て来てるって事? 笑えないんだけど。
『頼むから爺ちゃん自重頼むぜ……下手したら殺人を唆したっていう事で俺も捕まる奴だコレは……い、いいや。爺ちゃんは理性的だ。信じよう』
信じなきゃやってやれん。今すぐにでも爺ちゃんを回収に動きたいくらいだ。
『それよりも心配なのは兄貴と母さんだ……死ぬとは思わないが、怪我くらいはするかもしれないし、救急箱の準備はしておかないといかんなぁ流石に……』
えーと、何処にロープ置いたっけ。ここ、玄関……いや玄関じゃねぇな。前は玄関でも良いくらいの量しかなかったけど、前のですっからかんになったのを教訓にバカみたいな量買い込んで……あ。
『それこそ倉庫じゃなかったか……? あーいや、どうだっけなぁ……!』
結構な量だったしなぁ……家の中に置いておくには余りにもなぁ、ちょっと、量が。畜生もし倉庫だったら兄貴と母さんが無駄死にだぞ……! あ、いや死んでは居ないけれどもさ。勝手に殺すなと。
『……探すしかないだろうな。ここに有ってくれ、頼むから』
いやもうダメそうな気がしないでも無いけども。でも諦めなければ道は続くっていうし、諦めてはいかんよ。うん。
「……皆さん、どうしたんだろう……急に出て行っちゃって」
『――あっ』
そういえば有馬さんの事を忘れてた……! 折角お呼びしたお客さんだというのに、何という無礼を。アイツらの来襲は有馬さんとは全く関係ない事ですし、野良犬の対処位でお客様に暇をさせるとは何という失態! 社会人失格だ!
「あ、牛頭さん。皆さんなんか急に出て行ってしまって……!」
『大変申し訳ない! 私めの失態が招いたこの仕打ち、こうして平に謝る事しか出来ません! 繰り返すようですが、本当に大変申し訳ない!』
「か、開幕土下座!? 何事!?」
これが、俺なりの、俺の、謝意です……! 受け取ってください……!
「え、えっと全く事情が分からないです! とりあえず顔を上げてください!」
『うぅ、大変申し訳ない……』
「泣いてる……えっと、何かあったんですか? 皆様」
何かありました。大変申し訳ない、もう少し待っていて欲しい。直ぐに終わらせてパーティの続きしようね。有馬さんの為にとっておきの料理を用意してるんだ……!
『っと、そうだ。謝ってばかりも居られん。兎に角ロープを探さねば……!』
家にあるとすれば、どこだ? 物置部屋か? というかそこしか無いとは思うが……問題はそこのどの辺りに仕舞い込んでるかだなぁ。無かったら……笑って済ませるか。
「……何か探してるんですか?」
『縄です。ちょっとした縛りプレイをする為にね』
「うーんやっぱり唸っているだけにしか聞こえないけど、何かしらに悩んでるのは間違いとは思う……どうしようかなコレ」
大丈夫よ。別に気にしなくても。オイラが火種みたいなもんだからねぇ。それをどうにか止めようとして躍起になってるだけだし? うーん、こっちも違うか……!
「……あれ? でも、コレって……んん?」
『この段ボール箱とか……違うよなぁ。あー、チクショウ違う! 寧ろすっからかん!』
ええい、じゃあ何処だ? 他に俺が自分でロープ仕舞い込みそうな所なんて……ええっと、なんだ? タンスの奥にでも……いや、でも一応普段使いするようなものだしなぁ流石にそんな取り出せない場所には……
「そこを調べて……で……そっちの奥にって事は」
いやぁ、でもあり得そうではある。面倒くさくなって適当な所に突っ込んでヨシ! とかしてても全然不思議じゃないというか……馬鹿じゃねぇのホントに! 適当にやってるからこういうことになるんだよ!
「えっと、あの、牛頭さん……えっと。ロープ探してるんですよね」
『んー? うん。ちょっと必要になってねぇ……変な所に入れたんじゃないかと……まぁ自業自得って言えばそうなんだけどんんんんちょっと待ってください!?』
……え? お、俺の言葉が分かるようになっちゃったもしかして有馬さん。有馬さんは聞いているだけで言語を習得できる天才の類だった……?
「あ、やっぱりロープなんですね」
『え、えええええええ、ちょちょっ、まって、どうして!?』
「どうして、って顔してますね……気が付いてます? つい最近も似たようなやり取りしたんですよ? 私たち」
えっ?
「買ってきたロープ、何処にしまおうかって、色々ひっくり返してたじゃないですか」
『……あっ……あっ、あああああああそういえば!』
ロープ買いなおした時、ここら辺のどっかに仕舞おうとして……色々ひっくり返して物置をやってたんだった! 忘れてたわ! 有馬さんが何事かと、後ろで見てたわそう言えばそうそう!
「ロープだったら、確か結局、何処に仕舞おうとするか決まらなかったみたいで……その、確か床に置いておいたと思うんですけど……あ、ほらそこ」
床、床……あ、ホントだ! あったあった! いやぁー有馬さんが居て助かったぜ! これで後はアイツらを捕まえれば!
「えっと、お役に立てましたか?」
『えぇ、大変! 本当にありがとう! よーし……!』
「頷いてるって事は……お役に立てたみたいですね。良かったです!」
よぉし、後は俺が仕事をするだけだ! 待ってろ兄貴、母さん。有馬さん。ちゃちゃっと面倒を終わらせて仕舞いだ! 行くぞぉおおおお! 俺! ファイトォオオオ!
「そう言えば、そのロープ何に使うんですか?」
『……ちょっと、蛮族の捕縛に』
「なんで目を逸らすんですか?」
聞かない方が良いような事態が始まってるから、かな。うん。君はここで、お淑やかにニンジンの丸かじりでも……いや、ニンジン丸かじりはお淑やかでは無いな。俺らのサイズ感ならお淑やかですむかもしれんけど。
あぁどこへ消えた、私のIPhone




