お前らは俺の手で捕まえる(私怨)
『と言うてもなぁ! 相手はチャカ持ちじゃろう!? 流石に牛捕まえる様にはいかん』
『爺ちゃんだったら弾丸位豆鉄砲みたいなもんだろ』
『流石にそこまでじゃないよ。まぁエアガンくらいには痛いんじゃないかな』
『お主らはワシと何だと思っているのか……普通に痛いわい。ったく』
え!? そんなご冗談を。一族最強、主装備はハルバードとかいう前時代の英雄様な甚ちゃんが、まさか拳銃くらいで怯むなんて、そんな……
「チクショウ、追いかけてくる! ダメだ、振り切れねぇ!」
「落ち着け! 木々の中ならこっちの方が有利だ! 振り切れない訳がない!」
……まぁ、確かに俺達は木々をすり抜けるように動かないといけないよ。体大きいしさぁ。そりゃあ森の中なんかそう簡単に抜けられませんよ。全然。
『と言っても、向こうとスタミナが違う気もするけれど?』
『そりゃあ同じだったら儂が吹っ飛ばしとるわい。鍛え方が軟すぎる』
ウーン厳しいお言葉。俺だって普通に鍛えてない訳じゃないわ、ワシだってなぁ。寧ろいつも不安定な山を歩き込んで足腰は鍛えられてるってんだ!
『しかし、アレ等全員捕まえるのは流石に骨が折れるのだが』
『私たちの三倍は間違いなくいると思いますわ父さん。追い詰められたら間違いなく散り散りになって逃げるでしょうしねぇ、多分』
なんかゴキブリとかハエとかそんな感じの扱いじゃないかそれだと。まぁ質の悪さはそれと同等位だとは思うけど。兎に角、その意見には同意する。
『じゃあ、ここで纏めて捕まえる?』
『無理だと思うわ。アンタみたく山に慣れてる訳でも無いから』
『ハチが僕らに合わせてるから僕ら君に追いつけてるけど……さ』
『ワシは行けるぞー』
うるせぇ規格外爺、アンタの話は聞いていない。というかアンタこそ、スピードとかその他諸々全部セーブしてるじゃねぇか。ったく。
『さぁて、だとすればどうする?』
『あいつ等が散った所で一人一人別れてから……各個撃破するって感じでどうだい?』
『撃破って。とっ捕まえるだけでしょうに。全くお母さんは血の気が多いんだから!』
『最近あんまり暴れてないもんだから、溜まってるんだろうなぁ……我が娘ながら』
っし、方針は決まった。散った所で別れた固まりを確保するって事で。ったく、折角のホームパーティが台無しも台無しになっちまったってもんだよ……そのケジメは付けさせて貰わないといかんからなぁ。
「……ちょっと! このまま逃げ続けても埒が明きませんぜ!」
「あぁ、分かっちゃいる……おい! このまま全員やられるよりは、何人かでも生き延びた方が良いだろう! 別れるぞ!」
そして速攻でチャンス到来! というか判断が機敏過ぎて笑えてすら来るんだが……?
「良いか、三方に分かれて全力で逃げるぞ! 生き残ること考える前にまず逃げ切る事だけを考えて走るんだ! いいか! 走れ走れ走れぇええ!」
ヨシ来た完全にばらけたな! 後は各々方に任せるとして……
『どっちがどっち追う!? 因みに俺は右に行くからなぁ!』
リーダー野郎が混ざってるのは右だからなぁ絶対に逃がさねぇぞ。ボコボコ、とまでも行かずとも一発小突く位はさせてもらうからな。覚悟しろ!
『じゃあ私は左で!』
『真ん中じゃあ! 一番数が多いわい!』
『……ハチが心配だからね。僕はハチの方に付くよ。まぁ二人も居れば大丈夫でしょう』
『あの一番偉そうなのは俺がぶん殴って止めるから! 邪魔すんなよ!』
ヨシ、散開! 皆頼むぜ! 彼奴ら全員犯罪者、絶対に逃がすつもりは無いから味方を呼んだっていう部分もある。別に捕まえるだけなら、俺の山なんて俺の庭なんだから、一人くらい捕まえて警察に突き出して……でもそれは余りにも、こう、悔しいじゃない? 俺の手で捕まえて、お灸を、ね?
『所で、なんであの人の事をあんだけ、こう、恨んでいる感じなのハチ?』
『あいつ前にも一遍ここにカチコミかけてくれてたんだよ。俺の所のお客人を人質にしてくれたとんでもないロクデナシだ! で脱走した挙句に大暴れしようと来た!』
『うーん罪状のオンパレード……うん。分かった。落ち着いてハチ』
分かったか? 本当にさぁ……あんまりな奴らなのよ……!
『所で、あんだけの数の鉄砲相手に、対処法とかある?』
『ないよ。アイツを捕まえてボコボコにするつもり以外のアレは無い』
『直情的すぎない幾らなんでもさぁ……』
変に考えたら暴れられるもんも暴れないってな! いっぺん追い返して、今度は心強い味方も居ると来た。問題ないさ。ハハハハッ!
「……もう一匹来てますよ?! 俺達が一番危ないんじゃないですかリーダー!」
「ええいどうなってるってんだ! コイツをボコボコにする為に人数集めて来たってのになんで虎穴に入ったような感じに……!」
お前の日頃の行いが悪いからだぞ。罰がバッチリ当たったんだ。甘んじて罰を受けて出来れば帰って頂けると本当にありがたいというか。
『虎穴って確かなんかの……故事だったっけ? ウシなんだけどね僕らは』
『虎並みに恐れられてるって事で良いんじゃないか? ビビられる分には良いんじゃねぇか多分。うん』
しかし、此奴ら何処へ逃げようってんだ? 町か? どっかで合流するとか言ってたけども……拳銃持ったまま町なんかいったら確実に一発逮捕だけども?
「追いつく前にベースに辿り着けますかね……?」
「辿り着かなきゃ死だ。辿り着けば、ベースには切り札がある。生き残れるだろうよ」
『……切り札ってなにか分かるかい?』
『いいや、分からん。というかアイツらの事が何でも分かる程仲良くねぇよ!』
……いや、何となく分かるっちゃ分かる気がしないでも無いけど。あの時のゾンビとか連れて来てんじゃないの? まぁ別に脅威でもなんでもないけどさ。
『兎に角、先ずはアイツらを捕まえて……』
『警察に引き渡す、か。上手く行けばいいねぇ』
いかねば山に平和は戻らんのよ。
私怨で物事をしたら犯罪です(注意喚起)




