四匹の牛さん
「こ、この野郎! 妙な真似しやがって……構わねぇ! 撃ち殺せぇ!」
オーオー上等だ! 前の時みたく……ってまたチャカ持ちか此奴ら! ったく銃刀法違反を正々堂々と破りやがって! 数は!? えっとざっと見……てる場合じゃねぇ!
『ォォォォォオオオ死ぬぅ!』
「くそっ、相変わらず機敏な奴だ……でなんでお前らは撃たねぇんだ!」
「す、すいません! セーフティ外し忘れてて! も、もう大丈夫っす!」
「馬鹿野郎! 手前、俺の講習受けてねぇなさては! 受けろって言ったろうがぁ!」
講習してたの!? こ、コイツさては銃の扱い素人過ぎて捕まったのがトラウマになったな!? ええい同じ轍を踏まぬように学習するとは、ここは敵ながらあっぱれと言わざるを得ない。
『その熱意を反省に生かして欲しかった!』
「いいか! 焦って乱発するな! 落ち着いて冷静に狙いを定め、一発で殺せ!」
指揮も様になって居る事で……! ヨシ、取り敢えず木の陰には隠れられたが……チクショウ、流石に一人じゃ厳しいか! いや怪我を気にしないようにすればいけない事も無いけど。こんな逆恨み犯罪者の為に怪我はしたくない! 出来れば!
『ええい、俄然みんなの加勢が欲しいが……! ん? メールに返信あり』
『RE:やべぇ奴らが居る 証拠見せろ馬鹿息子』
言ってる場合かバカ婆! ええい証拠写真だとぉ!? 分かったよ! 最高の戦場自撮り送ってやろうじゃねぇか! ええい当たったらお前らの所為だぞ!
『ええっと、良い感じ頭を出して……ひぃっ!? 今掠ってなかったか!?』
「あのヤロウ! 自撮りなんかしやがって! 余裕じゃねぇか! 的だ! ド頭ぶち抜け! 良―く狙えよ! ってあぁっ、早い! 自撮りに慣れてやがる!」
へっ、自撮りには慣れて無いが、新型カメラの使い方には慣れてんだよ! よーし今ので死んでたら悔やんでも悔やみきれなかったが……コレで良し!
『はよ来いはよ来い……!』
「ええい埒が明かねぇか……回り込め! 挟む様にして、隠れられる場所をなくしてやるんだ! そうすれば後はゆっくり追い詰めればいい……!」
冷静に詰めようとするなぁ! ええい、そっちがその気ならこっちだって、そろそろ応援が来るんだからな!? お前らばっかりが数の強みがあると思うな!?
『……っ、来たぁ!』
『RE:ヤベェ奴らがいる ひょろそうだしアンタ一人で対処行けるのでは?』
『出来るかぁ!? 目が節穴かお前ぇ!』
チクショウ! 向こうは得物持ちの凶暴犯の集まりだぞ! 息子が危険だとか思わないのか! 少しは気を遣えバカヤロー……ん? メールだ。
『流石に冗談だよ 今から行くから待ってな』
何で冗談を挟む必要があるのか、全くもって俺には理解できんなぁ!
『ったく、本当に……あぉっ!? チクショウ! 撃つんじゃねぇ! ちったぁ自重しろこの……! ええい、冷静に回り込んで銃弾ブチかましてきやがって!』
急いで……早く! 早く来て! お亡くなりになるから! ウシが一匹!
「ははっ! 縮こまって隠れてるだけかぁ!? 臆病者が! 潔く出てきて、穴だらけになって死ねぇ! それがお前にはお似合いだよぉ!」
誰がそんなクソ情けない死に方するかボケぇ……しかし、人数を集めて、取り敢えず拳銃なら撃てるように仕立てて、しかもその前には脱獄だろう?! 此奴どれだけ俺に恨みを持っていたんだか……というかそんなに沢山の銃火器、どっから持ってくるんだ毎回!
「どうした、まだ当てられないのか! さっさと当てて殺せ!」
「そ、そう言われましても……! 平地ならまだしも、こんな山道で狙って当てろっていうの案外難しいんですよ!」
『そうかい? 山道っていってもそこまででも無いと思うけどねぇ』
あ。
「……誰だよ、変な唸り声上げ……た……の?」
『誰の声が唸り声だゴラァアア! この若造、天誅よ、天誅! ホォアアアアアア!』
……今一人吹き飛んでったな。母さんの愛の張り手を食らったと見える。何と哀れな事か、母さんの張り手は軽く言ってもボクサーの全力パンチを軽く凌ぐというに。
『おいおいヴァシー! あまり無茶をするでないわ!』
『だ、大丈夫? 殺してないよね今の!? 母さんそういう所あるから不安なんだけど』
『どういう所よタウロス、後で言いなさい。まぁでも今は、そんな暇ないか』
良し良し、爺ちゃんと兄貴も来たな。ったく、コレで、まぁ助かった……と思いたいけども。
「……お、おおい! 聞いてねぇぞ!? なんであんなのが四匹も居るんだ!?」
「ば、馬鹿な……彼奴、もう仲間を呼び寄せていたってのか……! クソ、なんて奴だあのヤロウ、まるで容赦ってものを知らねぇ!」
お前も容赦って言葉を辞書で調べて意味を確認して来いスカポンタン!
『生きてるぅ!? ハチィ!』
『死んでたら返事できねぇだろうが!』
『全く、ハチ! お主は恨みを買いすぎだ! もう少しスマートにやれんのか!』
『逆恨みにどうスマートに対処すればいいか教えてくれ爺ちゃん!』
取り敢えず銃声も止んだし、そろそろ出て行けるかな、っと。えー、敵人数は約……アレさっきより増えてないか? 二十人くらい居ない?
「お、おい……後から出てきた奴ら、アイツよりデカくないか!? 特に真ん中の奴!」
『大きいぞう? まだまだ若いもんには負けんわ!』
『お爺ちゃん、あの人たち凶器もってるんだからそんな呑気な事言ってないでよ』
まぁ爺ちゃんにとって拳銃なんか銀玉鉄砲と同じなんでしょ多分。知らんけど。
「ぜ、前後挟まれちまった!」
「――全員散開しろっ! 道筋は覚えてるな! 後で合流だ!」
散開城の時点で大部分が逃げ出してるぜアンタ。こんな奴らで大丈夫か? もうちょっとマトモなお仲間を呼ぶべきでは無かったんですか?
『おうハチィ! こやつら、全員捕まえてしまってええんか!?』
『というか捕まえないと駄目でしょこんな人たち』
『全員捕まえて説教ね!』
『お三方、決して油断しないように、ケガしないように狩るぞ!』
こんなんに前後挟まれたら涙出ます。




