根を張ってみた、夜
「ご、牛頭さぁん……何を調べてるんですかぁ……? 早く行きましょうよぉ……」
気になり過ぎるというか。万が一そうだとしたら早めに対処しないと、絶対にマズいというか……いや、万が一だから外れると思うけど外れた方が良いというか……
「というか、なんで壁をいっそうぺたぺた触ってるんでしょうか」
えっと、この音が、ここから伸びてるから……ここ大体この辺りか? えっと、大体この辺りが……これで……うーん、嫌な予感が的中してしまったかぁコレは。円近い形だと思ってたけど、これ完全に楕円形だよなぁ。
「牛頭さん……?」
頭いてぇなぁ……ったく、落ち着いてられるのも今の内位だろうし、一応伝えとくとするかね。ちょっと待ってな。えっと、油性ペン油性ペン、と……って、マジであったよ。書ける物が何かあればいいなって思ってたんだけど。
「――ウゥフン……ォオォ……」
「ちょ、牛頭さん何を!? 壁に落書きしちゃダメですよ!」
書けばわかるよ。この、悍ましい証明が的中しちゃったのは流石に伝えておかないとと思ってね……待ってろよぉ……? こうして、こうして、こうやって……っと。
「何を書いて……あれ?」
「――」
「窓の辺りで……っていうか、この形、頭の場所……え、え、え、え、え、え!?」
うーんぴったり一致か。木の根っことか、観察する機会が多いから違和感があったんだけど……ほぼ確定って言っても問題無いな。こりゃあ。
「さ、サメさんだ……サメさんの形だ……多分だけど……で、でもなんで……え、窓のサメを指さして……つつーっと、そこから、根っこが……えぇっ!?」
そんな驚かんでも……事実を考えれば、あながち間違ってないと思うよ?
「……はえて、るんですか?」
うん。多分だけど、これアイツから生えてる。アイツ張り付いてたんじゃなくて、根を張ってたんだな。ここに。いや、今もちょっと信じらんないけど……事実を積み重ねていくとそれ以外の可能性が失せるんだよなぁ。
「しょ、植物が動物から生えるなんて聞いた事も無いですよ!?」
俺もですよ。動物性と植物性なんて絶対相容れない存在だと思ってたもんだが、位置的にも、この形的にも、完璧に一致するんだよ。彼奴らの体の一部だろうと考えるのが自然っていうか。
「ほ、本気、なんですよね……うぅ、嘘ついてもなんにもならないし……本当なんだろうなぁ。多分だけど……」
さて、そんな奇妙奇天烈な生態になったこのサメさんですけど……根がしっかり船の内側まで、しかもこのスピードで浸食してる、となるとイヤな予感しかしない。山を見回ってると分かるが、木ってのはシャレにならない位パワー持ってるんだよな。
「……あれ、なんか、ミシミシ、音が……? っていうか、何処から……いや、でもこれって何処から、っていうよりは……」
岩持ち上げてたり、凄い時は岩割って生えてたりだしなぁ。木のパワーってあながち馬鹿にも出来ないんだよな。生命力の神秘って、やっぱりあるんだよねぇ。それを考えると今からでもメッチャパワー発揮して壁から突き抜けてきたりし……ありそうだなぁ。
「あ、あの牛頭さん、周りから変な音が……」
そうそう、周りから変な音をさせつつ、生えてきたりして……え? 音鳴ってる? 周りから? いや、そんなまさか。
――しっ……ぎっ……みしっ……
あ、鳴ってるねコレは。成長早い、元気だねアンタぁ! とか言ってる場合と違うなコレは。畜生、割とデカいうえに本当に周辺全体から鳴ってるじゃねぇの!
「は、はわわわわ、茶色いのがどんどん壁を……!?」
え? うわ、ホントだ半分くらい茶色い糸みたいなのが広がっておるじゃ……ええい一気に広がるとか嫌な予感しかしない。だって、コレこのままだったら絶対に壁から生えてミノの早贄作ろうとするじゃんか。
「――ォウルッフ!」(パァン!)
仕方ねぇ。生命力の強い植物は根を張られると余計に面倒だってのは山で嫌って程学んでる。急いで処理するしかねぇだろう。まだ確定してないとはいえ、表のサメ君が完全に根を張った時、何をするかも分からん。
「ご、牛頭さん、何方に?」
船には必ずあると思われる……かなぁ? 微妙に分からんが。というか、なんでアレってあるのかな。防災用って聞くけど、船に積む必要はあるかというと微妙だし。有ってくださいお願いします!
「あ、デッキで船長さんに報告を……えちょ、デッキじゃないってホント何方に!?」
報告してる暇なんてねぇ! そんな事してたらアレが根を張っちまう! 戦は一騎当千電撃速攻猪突猛進! 最後は違ぇがコレが基本よ! 故郷のハルバードの似合うじっちゃも言ってた! なんか異世界転移した事あるらしいぞ! 嘘だろうけどな!
「な、なにを探してるんですか?」
一応、有りそうな場所は確認してんだけど……ここでもねぇ! ええい、何方様にあるってんだこん畜生がさっさと見つかっておくれなまし、ってお?
「――フゥ!」
「え、見つかったんですか? 一体何を探して……」
ふんっ! ガラスをコブシにて一撃粉砕!
「いやああああああ器物損壊イイイイイイ!?」
大丈夫、コレで器物損壊はそう簡単に無いとは思う。元からぶち壊す為に存在してるようなもんだし……? え、そうでもない? そう。
「ちょ、ま、何をやってるんですか気でも狂って……て、手のそれって」
ふ、最近は置いてある場所がある場所が少なくなってたって聞いてたからな。
「……え、もしかして、それで?」
まぁ、ちょっとちっちゃいから。俺の山小屋に置いてある奴よりも使いにくいとは思うけども。仕方ない。この斧で、アレの処理と行こうか!
砕いて
個人的にはタコにするかサメにするかは物凄い悩みました。




