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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺の乗ってる船でバイオテロを起こすんじゃない。
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秋の訪れと金の亡牛

「――オゥオ」

「おう、悪いな……えっと、これが最後のドローンだな。いやー、ご協力ありがとうございます。こちらは、警察が事件完全解決の為に役立てさせて、頂きまーす」


 全くだよ。こちとら、こうやって毎度毎度警察へってなもんだからさ。お陰で、この自慢の筋肉が、下半身だけ鍛え上げられちゃうだろう。全く、バランス考えてくれ。


「多かったなぁ、墜落ドローン」


 そりゃあ多かったよ……ったく、お仕事とはいえ、本当に大変なんだぞ。山の何処に落っこちたかも分からんドローンを、拾って、回収して、態々こうやって警察まで届けるなんてさぁ……


「でもこれでよりアイツらを絞れるってもんだ。何人かは自分は関係ない、唯のアルバイトだって、少しでも罪を軽くしようとしてるから、ドローンに付いた指紋で出来る限りの逃げ道をなくしたい所だ」

「――フゥ」


 まぁ犯罪者を確実に確保できる、っていうなら、俺も頑張って骨を折った甲斐があったってもんか。しかし、毎度毎度俺の対応すんのがお前っていうのも、奇妙というか。


「あぁそこの君。ゴメンゴメン、ちょいとこれ持ってって。そうそう、例のドローンだよ。頼むわ……え? 奥の奴? 着ぐるみだよ。人嫌いなんだが仕事はまぁ出来る有能でな。特例中の特例って感じ」


 最近、誰も彼も俺を着ぐるみって呼ぶんだけど……もう諦めたけどさ。


「じゃあ、ありがとうな。またなんか頼むかもしれないけど、そん時は連絡するわ」

「――ォウウ」

「お疲れー……えっ? 唸ってたって? オイオイ大丈夫か? 熱でもあるんじゃ――」


 はぁ……ったく、アイツ失礼だよなぁ。すれ違った人なんて『いつもお疲れ』なんて声かけてくれるのに……なんでか俺の背中、凝視してから行くけど。


「……なぁ、あんな着ぐるみあったっけ?」

「犯罪者を威圧するのに怖さを思いっきり前面に押し出した、とかかな」


 うーん、俺の背中ってば、やっぱり頼もしすぎるから誰かの視線を集めちゃうんだなぁふっふっふっ。筋肉ってのは全部を解決するんだなぁ。


「――牛頭さーん」


 あー、お待たせしちゃってごめんねー。有馬さーん。


「結構かかりましたか……って、皆さん凄い見てますね……早く行きましょうか」


 ふふ、俺の背中が偉大過ぎるんだよ。有馬さん。じゃあ戻ろうか。そろそろ良い時間だしね。ったく、お預かりしてる女の子を待たせて暇させるとか、全く心身新進め、俺に凄まじく迷惑ばかりかけてくれよって。


「……ズンズン警察署の中に入った時は、本当に悲鳴が何時上がるのかと」


 悲鳴? 俺の筋肉で? いや、幾ら俺の筋肉が魅力的だからってねぇ。


「と、兎に角無事でよかったです。さ、早く行きましょうか」


 そうね。今日は田中のお婆ちゃんの所から大量に仕入れた野菜で作ったキッシュがあるんだよ。いやぁ、ちょっと最近料理に凝ってきちゃってね、有馬さんが美味しそうにご飯食べるの見るとねぇ……やる気出しちゃうよね!


「……もう秋ですねぇ。牛頭さんの山、あんまり紅葉しないから、気温で実感した感じですけど。でも過ごしやすくなったっていうのは良いですね」


 こうして過ごしやすくなって、食欲も出てきて、そして色んな物が実って。だから食べちゃうんだろうなぁ、なんて。お陰で豆類なんか食べ過ぎちゃって、俺の筋肉は更なる唸りを上げ始めてるってなもんよ。


「あ、向こうの方は紅くなってますよ! 綺麗ですねぇ」


 ま、一切紅くならないっていう訳でもないからね。そりゃああんだけ広い山なら一部位紅葉もしますよって。まぁ普通に近くからは見れないような場所にあるから、こうやって遠くから見るのが精々ではあるけれど。


「そういえば、牛頭さんって他の場所の管理とかはしないんでしょうか?」

「……ゥウン」

「あ、するんですか。森林官さんって、多忙なんですねぇ」


 まぁ俺はこの山の管理をしてろって言われてたんだけれども。偶に他の場所に出張して、足りない人員の代わりに働けっていう……しかも、森林官として仕事しろって訳じゃないんだから、不満もたまるぜ……ん?


「どうしたんですか?」

「――ンモゥ」

「スマホ……? 件名、コレって……話をしていたら、って事ですか?」


 その様ですねぇ。しかもこの書き方、見た事があるんだよなぁ。一番、やるのが億劫というか、やる気の起きない奴が。


『応援のお願い:前回、マスコットとして八面六臂の活躍をされた牛頭さんの活躍を見込んでもう一度、マスコットとしてのお仕事をお願いしたく思います。報酬は前回の倍額を支払わせていただきます』


 ったく……報酬を倍額にしたからって俺がそう簡単に従うと……


「ンフゥ……ンフゥオウ」


 日付と場所はいつですが、全力でやらせていただきますよっと! 送信!


「も、物凄い嬉しそうですね……やっぱり公務員でも倍額の報酬って嬉しいのかな」


 そりゃあそうよ。倍額の報酬、なんて公務員じゃまずあり得ないようなお話だから。というか良いのか? 法に引っかかってないか? 倍額って。まぁ引っかかってないからこうやって倍額とかいう気前のいい話をしてくるんか。


「マスコットって、牛頭さんがやるんですか?」


 まぁ、着ぐるみ扱いされるのは非常に不本意ではありますけれど。お金がかかってるとなれば、社会の歯車は全力を費やしますよ。


「それで、何処に行くんですか?」


 えっと……この地図は……屋久島? いや、確かに山はあるけど。態々あんな所でやるの? イベントなんて。もっと別の所あるだろ、やるにしても。


「え? この地図、ですか……屋久島? 屋久島の山って、そんなイベントに使われるんですね」


 使われまへんよ? 変な話だよねホント。ったく、やればいいんでしょやれば。日本でも有数の離島迄、行こうじゃありませんか!

牛だって金が欲しい。

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