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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺の行きつけの里で神隠しをするんじゃない
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女性型ゾンビにロマンを感じる

「お待たせしましたー、ごめんなさい。お待たせして」

「構わないよ。さ、戻ろうじゃないか。礼の野菜も……たっぷり用意しているからね!」


 あ、やったー……ところで、なんで俺はタクシーの中から出られないんだろうか。なぁ運転手さん、ちょっと、なんで俺から顔逸らしてんの?


「……お客さん、趣味は人それぞれだろうけど、着ぐるみ着っぱなしってのは、やめといた方が良いんじゃないのか? いや、その、そんな見ないで欲しいんだけど、というか着ぐるみ越しとはいえ、見られるのは……」


 着ぐるみじゃないです……生きてます……後タクシー狭いです……それはタクシードライバーのおっちゃん一切関係ございませんけども。


「すまないね。待たせちゃって」

「いや、いいけどさぁ……田中の婆さんにはスットコドッコイな知り合いが居るなぁ」

「否定はしないよ。まぁこいつは珍妙っていう度合いを軽く超えてるけどねぇ」


 ち、珍妙!? そんな言うか?! ええい、命の恩人とはいえ許せぬ!


「兎に角、私の家まで頼むよ」

「しっかし、印部さんが危ない事してる、なんてねぇ。ホント、あの人そんな事するようにはまぁ見えなかったんだけどもさぁ」


 あ、よくテレビで見る奴だ! じゃなくて。そういうごく普通な人ほど危ない本性隠してるっていうけどね。まぁ風評被害だろうけどそういうのも。しかし、結構な大事になったなぁ……


『――先日の○○県の集落で発覚した集団拉致、及び……』

「お、もうニュースになってるなぁ。しっかし、何人だっけか? 庭に埋まってたのは」

「ああいう庭園にしたのも、埋めやすいからって話だよ。全く、なんて奴らだよ……」


 ……おれ、そんなにわのつちをぐわしゃって……い、いや、今更洗っても全くもって意味はねぇか、もう速攻で忘れる事にしよう。うん、うん。


「ったく……あ、嬢ちゃんもだっけか?」

「あ、はい……大変、でした。本当に。色々と。悲しくなるくらいには」


 しっかし、アレから一週間とはね。




「うん。大丈夫。大丈夫……警察の人にも事情は説明できたから。うん」


 しかし、俺も証言しても良かったんだけど。絶対に行かないでくださいって、腕にしがみ付いてまで止められちゃあなぁ……理由は聞いても教えて貰えずじまいだった。疑問は残るけど、そこ聞いても答えてくれそうなお顔では無かったし。

 まぁ、そんなのは良いか。美味しい美味しいご飯が出来たし。


「はーい……あ、すいません。電話お借りしてしまって」


 それは構わないんだけどさ。さ、お昼ご飯食べようか。いやぁ、貰った野菜で作ったカレーがまぁ、上手い事出来ちゃったもんで。夏野菜……とは限らない野菜ごちゃまぜカレーだ


「カレー、美味しそうですね……」


 そして、有馬さんにはこれも。ふふふ、結構奮発したんですよ。お高いお肉で肉厚ステーキでございます。やっぱり、若い人はビーフカレーが好みかと思って。


「わぁ……これ、こんな立派なステーキ。良いんですか?」

「――ォオウ!」

「ありがとうございます。でもカレーにステーキって、結構重たくないですかね……?」


 それは否定せんけども。まぁでも美味いと思うよ? ステーキの方にはあんまり味を付けて無いし。しっかり焼けてるからまぁ、カレーにはよく合うと思うよ。


「……こうして美味しいご飯をここで食べてると、生きて帰ってきたんだな、って。実感しますね。ホント、奇跡的に、生き残れて……本当に、美味しい」

「――ゴフゥ……」


 幸運というのは食事のスパイスになりえると思う……うーん、スパイシー。いや味がするもんじゃないとは思うけど、カレー自体がね?


「……はくっ……お肉、凄い歯ごたえ……あ、そういえば。警察の人から、詳細を、聞いたんですけど……訊きたいですか?」


 ……うーん、その話の苦みをカレーのスパイスで誤魔化し切れるかは非常に微妙だけれど。気にならないと言えば嘘になっちゃうんだよなぁ。良し、聞かせていただけると。


「そ、そんな重苦しく頷かれると……分かりました」


――有馬さんが最初に語ったのは、あの印部の家が、どれだけの間、ああいう行為をやって来たのか、っていう事。少なくとも、昭和からはずっとやっていた、との事で。


「贄、っていう言い方してましたけど、実際にその、そういう使い方をしてたわけじゃなくて……地下室に入れて、中の人を何処かと、取引してたって……その人たちは、どういう風に使われたかも分かってないって」


 あー、だから地下室だったのね、と。納得してしまう。なんか、あの部屋って『あー地下室だなぁ』って感想は出て来たけど、それ以外には特に何も出ない位には、本当にキレイ……いや、綺麗って程じゃないけど、汚いって程でも無かったって言うか。あそこで危ない事はしてなかったって事か。


「ホント、怖いですよね……あ、そういえばなんですけど」


 ん?


「いろんな所と、取引してたって……その中に、『心身新進』っていう、その、前に……」


 それって、ウチの山でまぁけしからんことをしてくださっていた……あの!? 日記にも書いてあって、気になってたっちゃ、そうだけど。まさかなぁ。


「変な偶然ですよね、本当に」


 ホントにねぇ。あの四文字、もう二度と見かける事は無いと思ってたんだが。


「……まぁ、でも凄い偶然ですよね、っていうだけですし。後は特に詳しい事も訊いてなくて。話せるのは、これだけです」

「――ゥオゥ」


 まぁ当事者とはいえ、一般人に話せるのはその辺りか……しかし、心身新進はもう掴まってるんだし、そこと取引が出来なかったって事は、別の所に、俺や有馬さんを売ろうとしてたって事か……それとも?


「もし、売られちゃってたら、私達、どうなっちゃってたんでしょうか」

「……」


 想像したくないけど、あのゴッツいゾンビ男見たくなってたのかもしれないなぁ……うーん、怖い。


牛型超級ゾンビは多分クソ怖い

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