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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺の行きつけの里で神隠しをするんじゃない
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幕間:言い方と状況からのミスリード

「だ、だから本当なんですって! そこの家の人に、変な薬を盛られて!」

「友達が残されてるんだよ! 早く行って捕まえとくれ!」

「そう、言われましてもねぇ……どうして盛られてお二人は無事に出て来てるんですか」


 ……うぅ、それを言われるとどうにも反論できない。漸く、この村の駐在さんの所に辿り着いたのに、どうにも信じて貰えない。そりゃあ、突飛な話だとは思うけど!


「大体ねぇ、そういう話って、めっちゃ色々追い詰められた人がするもんでしょう?」

「お、追い詰められてますよぉ!」

「……普通に五体満足じゃない? 靴も綺麗だし、髪とか、服とか……そういうのがドロドロだったしたら、並々ならない事態だ! とか思えるけど」


 そ、そうなんです。牛頭さんに運んで貰って、脱出したのはいいんですけど……牛頭さんが頑張ってくださったお陰、というかそれが原因というか……めっちゃ綺麗なんですよ私もお婆ちゃんも! 危機、っていう感じがしない!


「……私達を騙そうとしている、という香りが結構するというか」

「ほ、ホントなんですってばぁ……!」


 無事に、ぱぱっと、スムーズに逃げ出す事が出来たのが、こんな、こんなどうしようもない悲しい問題を生むなんて……本当に……!


「私たち駐在だってね、一応仕事をしているんですよ。だからあんまり悪戯とかで時間を取られるのも……本当ならちゃんと証拠を示して欲しいというか」


 うぅ、あのお茶持ってくれば良かったかなぁ……! お茶持ってきておけばそれが証拠になったかなぁ……! ううんいや、走ってる間に全部零して水の泡になりそうでやっぱりダメだなぁ。


「アンタね、何時からそんなに疑い深くなったんだい!」

「田中のお婆ちゃんがそんな嘘つく人じゃない、っていうのは分かってるけど……流石に話が突飛に過ぎるっていうか、そう簡単に信じて向かう、っていうのは」


 悪い人達じゃない。意地悪をしてるって訳じゃないと思う。だから証拠も何もない話で信じて貰おうっていう私が悪いと思う。それに……信じて貰えない、一番大きな理由が、ちゃんと……ある。


「というか、取り合えず見には行ってくるから、その取り残されたお友達の正確な特徴を教えてくれ……と言ったら顔を逸らしたんだよ?」

「露骨に怪しいっていうのは、自分達でも分かってると思うんだが?」


 そ、そうなんだよ……詳細な特徴を教える=牛頭さんが人間でない事を徹底的に説明しなければいけないという事で……む、無理だ。よしんば信じて貰えたとして、牛頭さんが確保されて人体実験の未来しか見えない。


「な? 信じてくれ、と言っても無理だろう?」

「う、うぅ……」

「嘘をついているようには見えないよ? けれど、そっちが隠し事をしていると、此方も信じて向かってみよう、というのは出来ないんだよ。分かるかい?」


 う、うぅ。しゃべって付いて来てもらうのは……色々、その、だめだか。だからといって嘘ついても……着いてきてもらえるか、多分無理だと思うし……ど、どうしよう。


「兎に角、そんな簡単にはだね……何か異常がある、っていう明確な……」


 異常、異常……あ、異常、そういえば……!


「じゃ、じゃあ……一緒に来てもらうだけでも良いですから」

「一緒にって、印部さんの家に? イヤ一緒に行くのも逮捕するのも大して……」

「ち、近くに来てくだされば、異常が分かりますから! お願いします!」


 も、もしかしたら。近くに行けば聞こえるかもしれない。アレの音が……!




「まぁ、近くを見回るだけなら一応パトロールって事で、言い訳も立ちますけど」

「何も無かったら、さっさと帰るから。いいね?」


 取り敢えず、拝み倒して、パトロールの序に印部さんの家に真っ先に立ち寄ってくれる事になった。うぅ、ごめんなさい。ご迷惑おかけして。でもコレで何とか……!


「はぁ、コレで何も無かったら、ちょっと説教でもせんといかんかな?」

「ほ、本当に、あるんですって……」


 アレだけの騒音、してたし……うぅ……お願い、聞こえて……!


――イィン……


「ん?」

 あっ! やっぱり! 聞こえた! 良かった! チェーンソーの……多分音だと思うけど! 多分だけど! でも、流石に何か起こってる、っていうのには、十分な証拠になるんじゃ……?


「……何か聞こえた気がしたが……?」

「印部の家の方向からだよ! だから何かが起きてるんだって! 信じておくれよ!」

「しかし聞こえた気がしただけで……なんだ……金属音だった感じがするが、金属音だったら、別に幾らだって……」


 あっ……ダメだっ……! チェーンソーの音って分かってないから、金属の音にしか聞こえない……! 何か起きてるなんて思いもしない、よね……!


『お母様頑張って!  腰を入れて振って! ガッチリ噛み合わせて!』


 えっ?


「っ!? こ、腰を入れて、振って……!? ちょ、待って、なんだ!? 彼女、何を言って……」

『全然ダメです! 九十歳が七十歳になっただけです! せめて四十歳くらいまで若返ってください!』


 ……な、なんでしょうか。発言がちょっと、色々危ないというか。な、中で本当に何が起きているんでしょうか……な、なにか、凄い、エッチな、事が……行われている、ように……聞こえるというか。


「……君は、言いたがらなかった……男性……あの発言……ま、まさか……中で行われているのは婦女暴行ならぬ……女性だから、恥ずかしいから……!? ちょ、ちょっと待ちってくれよ本当に!?」

「お、おい。ちょっとコレは」


 あれっ? ちゅ、駐在さんどうしたんだろう。凄い顔色が……青くなってるっていうか。


「印部さーん! 印部さーん! ちょっと開けてくれませんかぁ!? ちょっと、お話を聞きたくてですね!」


 凄い勢いで反応した!? え、えっ!? ありがたいですけど……急になんで!? あ、いやでもやる気になってくれたのはありがたいけど。


「くっ、本当になんかあるとは、おい。万が一の時の為に梯子、持ってこい」

「はいんのか!? この状況で!?」

「こんな集落じゃ想像もつかない事が中て行わてる可能性があるんだよ? 止めないとマズイだろ」


 ところでさっきから、どうして駐在さん達は顔を真っ赤にしてるんだろう。

一応、勘違いさせる風には書いてるつもりでした。

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