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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺が管理する山でデスゲームをするんじゃない
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牛頭のサイコパス

「……とりあえず、話せるのはこれで全部です」


 俺がスピーカーの時に聞いてた範囲以外の情報は特になかったかぁ……まぁ、仕方ないかコレは。本格的な事は警察がやるだろうけど、でもまだ調べられる事もあるかもしれないし。出来るだけ調べてみよう……差し当たっては


「そ、それで……外に転がってるアレって、なんなんでしょうか」


 アレだよなぁ。うん。あのゾンビみたいなの。

 全然分からん。初めて見た、というか間違いなくやっちゃいけない事されてる類の男の人だろう。男の人呼んで、って言われた時呼んじゃいけない類だ。


「……あの、因みにあのゾンビさんと、お知り合いだったりは……その、なんというか、分類としては、牛頭さんもああいうサイドかな、と」

「――!」

「あっ、ごめんなさいごめんなさい! 失礼しました! 生暖かくて湿ってて凄い荒い鼻息を吹きかけるのは止めてください! 許してください!」


 全く、そんな私を化け物サイドと一緒くたにするのは止して欲しい。私はれっきとしたギリシャ国籍の一般雄性なのだから。ちゃんと法律も適用できるんだぞ。その三つ編みの髪を鼻息で湿らさせてやろうか。しないけど。


「ぅぅ……物凄いフローラルな香りがしたよ……獣臭くない……」


 匂いには人一倍気を遣っているからね。まぁそれは兎も角として。さて、この子をどうやって無事に下山させるか。あんなのを解き放つようなヤベェ奴らがこの山に居るとするなら、このログハウスから出さない方が安全じゃないだろうか。


「牛頭さん、あの、お水飲んでいいですか。ちょっと、喉が」


 あ、それだったらそこに水道あるから、好きにのんで。えっと、確かそっちらへんに来客用に買っておいて、結局使わずにしまってあるグラスが……あった。


「あ、これつかっていいんです……埃被ってる」


 グサッと来た。うん。埃被ってるよ。滅多にお客さんなんて来ないからね。


「あ、いえ。洗って使いますから! えっと、水道は……向こう指さしてたよね」


 きちっと洗うんだよー……しっかし。みょうちきりんな案件に引っかかったな俺。あんなのを解き放って居る辺り、デスゲーム云々は冗談とかではないらしい。俺みたいにキチンと鍛えてるとかじゃなければ、大けがしてるだろうしなぁ。

 っていうか、ガチのデスゲームとかこわっ。漫画の世界の話じゃねーか……そんなんが実在するとか、ホントこの世はどうなってるんだか。死人が出ない事をとりあえず……


「――っ! ぁぁひっ!」


 ってなんだなんだ急に駆け込んできて?! 何があった有馬さん!


「ご、ごず、ごず・……そ、そと、そとひとっ! ふくめん!」


 外に人が居て……覆面? 顔を隠してるって事は山岳警備隊の人から連絡があった奴らか、さては。しかしなんでこの家の場所を知ってたんだ……いや、気にしてる場合じゃないな。兎も角様子を見に行かないと。



「……ここか?」

「まちがいないな、ここだ。無人の山だと思っていたが、こんな所に家があるなんて」

「あ、ホントだ電波入った。ったく、なんだってこんな所に家なんて。道もねぇぞ!」


 窓の外に、二人組、マジで覆面してる。覆面っていうより、顔布だけどさ。リクルートスーツに顔布一枚って格好がイカレ過ぎてんだろ。どこの新興宗教の勧誘員様だよ。


「……あの人達、なんでしょうか。私や、他の人を連れて来たのって」


 まぁ十中八九そうだとは思う。というかあんな格好してて犯罪なんて何もしてないって方がむしろ不自然だろう。つーか顔に書いてあるあの文字はなんだ。『心身新進』って。全部『しん』じゃねぇか頭悪いだろあれ書いた奴。


「で、ここに居る奴から連絡させるんだろ、先程の電話は悪戯だって」

「すでに何人かは確保されているが、それでも大部分は山の中だ。これ以上の損失は避けなければならない、と言うのが教祖様のご意見だ」

「効果あんのかねぇ……」


 いやないでしょ。明らかに不審でしょ、山の中から突然登山の恰好じゃない人が出てきたら。悪戯ですから放っておいてください、で済まないでしょうよ。


「方法は?」

「指定されていない。ま、軽く痛めつけてやればビビって要求を呑むだろうよ」

「了解、じゃあちょっとお邪魔しましょうかね。で、入口どっちだ……」


 ……立ち去る前に不穏な発言が聞こえましたね?


「……か、かるくいためつけるって」


 良し。此奴らも犯罪者確定だ。外に出てってシバキ回し……てもいいけど、出来ればパパッと捕まえちゃいたいな。万が一ナイフとか持ってたら……アレだし、危ないし。刺さったら痛いし。猛獣相手にするのとはまた別口なんだよ、刃物とかは。


「ど、どうしましょう……逃げ、たほうが良いんでしょうか」


 この子もいるしなぁ。逃げた方が良いっていうのは間違いないけど。逃げるにしても彼奴らがどっか行った後が良いだろうし。ホント、油断して鉢合わせとか笑えもしないしなぁ。よし、そうとなれば。


「ふぇ? えっ、まって、どうして腕をつかんで、ど、どこ行くんですか?」


 待たない待たない。何処が良いか。まぁ隠れるなら一番の定番ポイントが良いか。という事でここ。このクローゼットの中に入っといてねぇ、ガール。


「あ、ここに隠れろって……見つから、ないかな」


 大丈夫。時間は俺が稼ぐから。あ、声だけは出さないように。しー、ね?


「あ、あの牛頭さん、しーって、静かにしてても……」


 シャットアウト。良し。後は……目を引く何かがあれば、間違いなくここに彼女が隠れているのは分からないだろう。となれば……このクローゼットの向かいくらいが良いか。

 先ずはパンツを除いて全ての衣服を脱ぐ。足元に落としてちゃバレるから……っと。いろんな方向に投げ捨てておかないと。


「――おいっ!? 此奴って……!」

「なんでこんな所に縛られて転がされてるんだ!? まさか……ここの住人が?」


 っと、もう入り口まで着いたか。急いで準備をしないと。しかしどんな感じで行こうかちょっと迷うな……良し、ここは俺の一番お気に入りのアレで……


「……こりゃあ、ちょいと警戒しておいた方が良いか」

「万が一猟銃とか所持してる猟師とかだったら、俺達の方が危ないだろう。アレを何のためらいもなく縛ってここまで連れてくるんだぞ。確実にサイコパスだ、ここの住人は」


 ……幾らなんでも言い過ぎじゃなかろうか。牛頭さん泣くぞ。しまいにゃ


サイコパスって、異常な精神を持つ人の事らしいので、そもそも人ではないこの主人公には当てはまらない説。

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