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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺の行きつけの里で神隠しをするんじゃない
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角への負担、プライスレス

 これじゃあ、俺は上がれそうにもねぇか。


「あ、アンタ……!」

「ご、牛頭さん! 牛頭さぁん!」


 いや、やられたよね。まさかあんな素早く復活するとか……兎に角、有馬さん達を無事塀の向こうに返せたのが、不幸中の幸いと言えば、確かにそうだけど。


「ちぃいいいいいいにがすかぁあああ! 命置いて行けぇ!」


 誰が置いて行くかっての……! だが、俺の方は、チクショウ完全に予定が狂っちまった、あのまま脱出して警察に連絡を取って、山小屋に帰ろうと思っていたんだが! コレは暫く帰れそうにねぇな!


「と、取り敢えず警察の人を呼んでくれるまで……頑張ってください、牛頭さん! きっと戻りますから! 大丈夫ですから! メールとかしますから! 大丈夫です!」


 おう期待しながら逃げ続けておくとするよ! 戻って来た時に俺が牛肉のユッケになって居ない事だけを祈っていただけるとありがたいです!


「えぇい、図体の割りには素早く動いて、でも、残念だけど貴方はここから出られないわよ……! あの二人は兎も角として、贄の確保を滅茶苦茶にしてくれた貴方は絶対に贄として捧げる!」


 それにしても……この山奥集落特有の謎文化め! 正直風評被害というか言い掛かりにも近いと思うけど言わざるとえない! 蛮族かお前ら文明開化しろ!


「――お母様! って怖っ!?」

「美憂、貴方も手伝いなさい……! この牛を追い詰めるわよ……!」

「お母様落ち着いてください! 私何も持ってません! ステゴロで止めろと!? 無理です死にます!」


 ヨシ他の殺人家族が理性的で助かった! コレでなんか全然別のものを持って突撃でもしてこようものなら、本当にユッケになる覚悟をせねばならんかった。


「ちぃっ、何か他にこの牛野郎を料理できる凶器があれば……!」

「――あるぞ日和! ここになぁ!」


 無くていいわそんなもん! って、おいマテ、なんだその手に持ってる凶器は……いや凶器ですらないよねそれ、唯の火の付いた薪でございますよね?


「――成程、獣相手には火が通じるのが普通! いかに人型を取っていようと、その法則は崩れませんか! 賢いですわ、あなた!」

「はははは、これぞ人類の知恵というものよ……! さぁ、獣狩りの日だぁ!」


 テメェらは何処の国の出身の狩人様だコラァ?! チェーンソーと松明で獣を狩りってお前らは! 畜生め、こっちが反撃できないのを……いや、特に知らないな別に。


「あ、逃げたわよ!」

「逃がすか! 囲って追い込め! 美憂も松明を持って! 合流なさい!」

「は、はぁ……家、燃えないかしら、大丈夫かしら」


 娘さん! 冷静なのはアンタだけだ! 何とかしてくれ! あ、でも向こうのお仲間なんだよなぁ! 希望は薄いか! やっぱり味方は俺一人だよ!


「まぁてぇ! 大人しく解体されて餌になれぇこの家畜ぅ!」

「焼肉にしてくれるわ!」


 生贄にするんでは無かったんですか!? 目的をはき違えないでちゃんと履行しよう! いやでもやっぱり贄もダメです、しないでください。人を生贄にする悪習はさっさと何処かへ投げ捨てて頂いて。平和に暮らして?


「――ッォオオオオオ!」


 畜生、先ずは全力で振り切って、どこかしらに隠れるのが一番だ……! 幸い向こうは着物、こっちは走りやすい服だ。筋肉の差も圧倒的、既に引き離し始めているんだ、問題は無い! という訳でまたバアイ!


「しまった、また離される!」

「問題ない、どうせ奴はこの家からは出られないんだ。落ち着いて追いかければいい!」


 えぇ全くいう通りではあるけど! しかし、だからといって油断すれば痛手にもなるだろうよ! 警察呼んでくるまで俺が耐えれば勝ちなんだよぉ!


「でもあなた、もう警察が呼ばれているって!」

「そんなのは警察が来るまでに彼を殺して、バーベキューの一つでもしていればいいだろう? 牛の頭がゴロンと置かれてあって、血が飛んでいても、さして誰も気にしないさ」


 こ、コイツ俺の体を食うつもりマンマンじゃねぇか……ますます逃げ切らねぇといけねぇなぁホントに! カニバリズムまで併発してるとか悪辣すぎる! 兎に角、家の中の隠れられそうな場所に……!


「――やはり、振り切られたか。しかしあの大きさ、そう簡単には隠れられない筈だ」

「そうね。証拠隠滅の為にも、素早く見つけて、解体しないと……」




 ――さて、俺が隠れてから、実に五分が経過しようとしているが……どうやら、俺の隠密は相手の想像を遥かに超えて見事にできているらしい。


「居たか?!」

「いいえ、此方には、影も形も……もっと露骨に、大きな場所に身を潜めているのかと思っていましたが……両開きのクローゼットなども」

「押し入れも全く。直前まで隠れていれば匂いの一つもするかと思って匂いまで……」


 残念ながら私を見つけるには、露骨な場所では決して見つからぬであろう……失せ物を探す訓練をしてから来るがいい……あ、ちょっと足が攣りそうになってきた。


「――お母様! 蔵には居ませんでした! 後薪は消してきました!」

「ご苦労様……なんで消したのかしら?」

「家が燃えるからです」

「……そうね。消した方が良いわね」


 至極真っ当な理由でお草が生えますわ……ふふ、皆様そうして惑うが宜しいでございますわ。それはそれとしても角がちょっと悲鳴を上げてる気がするから直ぐに何処かへ行っていただけると本当に有り難かったり……!


「とにかく、もう一度手分けして探しに行くぞ!」

「しかし、出来る限りは見て回ったわよ?」

「戸棚に風呂、兎に角入るスペースがありそうなら常識は投げ捨てて探すんだ!」


 残念! その何れも違う……君達の真上だよ……いやぁ、静かに呼吸しておけば案外バレないですねぇ天井って……と、とはいえ足がちょっとプルプルしてるし、限界だから、いやホントそろそろ何処かへ行ってくれると非常にありがたいんですがっ!


手、足、角の三つで何とか支えてる状況です。

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