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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺の行きつけの里で神隠しをするんじゃない
23/122

みんな仲良く、牛の前で和解

「牛頭さん、ほら、ワンちゃんですよ。こんなにおっきいの。凄いですねぇ」


 んー? ワンちゃん? いや、この辺りで犬を見かけたことは無いけど、どっかの家で新しく飼い出したかね。あー、いや待てよ。野良犬、その可能性を考慮してなかったな。噛み跡とか、ガチで大型犬がやったんじゃないだろうな。


「はーい、こっちおいでこっちおいで……わ、凄い勢いで来るねっていうか物凄い突っ込んでくるぅひぃぃいいい!?」

「――?」


 そうそう、ちょど有馬さんに牙を剥いて突っ込んでる犬が、そんな感じの大きさの……


「……――ォォア!?」


 って冷静に解説してる場合じゃねぇや!? ちょ、ストップ待てや! その子は餌じゃねぇぞ! チクショウ、だ! 有馬さん逃げ……られねぇなこれビビってこけてる!


「ひぃやぁ……たた、たす……け」


 ぬぅおぉおおおおお! この逞しい筋肉を酷使する事になろうとは……ただ野菜買いに来ただけだってのに! 良し間に合った! ったく、此奴は躾が必要なタイプだな!


「バウ!」

「――ォオウ!」

「キュゥン」

「牛頭さんが吠えたら凄い速さで伏せたっ!? そしてお腹を差し出した!?」


 ったく、やんちゃしやがって。こうやって、しっかり叱らないと犬ってのは調子に乗るんだよ……しかし、マジでデカい犬居たな。まさかとは思うが、ガチで此奴が犯人だったりしないだろうな……ん? っと、此奴は。


「び、ビックリしました……私を見た途端に、凄い勢いで……怖かったです」


 ふむふむ……こんなサイズの犬が牙剥いて突っ込んでくるんだから誰だって怖いだろうが。しかしコレは管理不行き届きを申し立てる事も可能そうだなぁ。


「凄い、元気なワンちゃんですね……野良犬……じゃ、ないですね、その首輪」


 うん。ガッツリ首輪がかかってる。ったく、人に噛み付く程元気ってのは、ちょっとなぁ。宜しくないんじゃないんだろうか。それに……? 噛み癖も、宜しくないらしい。


「何ですか、それ。木くず? え……首輪に、ですか?」


 うん。荒く砕かれた感じの木くずが、結構一杯。余程激しく噛み付いたんだろうね。多分、角材か何かに。犯人は、ほぼ確定だし後は……


「あ、え、その子連れて行くんですか? どうして?」


 ……その辺りを有馬さんに説明してから、改めて婆ちゃんに聞きに行けば終わりだな! うん。よし、パパパっと終わらせて、今回の一件は終わりだな!


――そう、思ってたんだが。




「田中の婆ちゃん? いやぁ、見てないねぇ」

「そ、そうですか……分かりました。ありがとうございます」

「いやいや」


 家に戻ってみれば、お婆ちゃんが居なかった。全然何処にも。トイレだとか、台所だとか、念のために風呂を有馬さんに確認して貰っても、全部空振りだった。


「でもこんな昼間から出かけたんだろう? 印部さんとこじゃないかと思うがねぇ」

「印部さん?」

「ここらで一番デカい屋敷に住んでる人さ……まぁ、つっても豪邸って訳じゃないし、古いっていうのだけが取り得なんだけどね。あの、田中さんちのさらに奥だよ」


 そんな所あったんか……俺がここらで行くのって、コンビニ周りとここだけだからなぁ。知らんかったわ。だけど、なんでそんな所に?


「で、あの。どうしてその、印部さんの、お家に行ったんでしょう」

「あそこ、まぁ良く犬の吠える声が聞こえるんだよ。田中さんちは特に近かったから、迷惑そうにしてたからねぇ……まぁ、堪忍袋の緒が切れたんじゃないかい?」


 あぁ、さっきの騒音とかってそういう……住民トラブルだったか。というか、犬の犯人間違いなくそこだろ。あんな人に噛み付くような犬を、態々畑の近くに連れてきて畑荒らす、って言うのは流石に。責任問題ですよ!


「それで、文句を言いに行った、って事でしょうか」

「田中さん、気が強いからねぇ。大方、文句の言い合いになってるだろうよ」

「え、それは大丈夫なんですか……? エスカレートしてたりは」

「いやぁ、どっちも殴り合いをするような人じゃあないし、大丈夫だと思うけど。気になるなら、行ってみたらどうだい?」


 うーんこの田舎特有のおおらかさ感。喧嘩が起きているかもしれないのに『まぁ大丈夫でしょ』で済ませるこの。もしかして殺人犯とかが田舎に潜伏する、っていうサスペンスのお約束って言うのは、こういう所から来てるのかもしれん。


「分かりました。ありがとうございます、お爺ちゃん」


 じゃーねー……といっても俺が手を振ってるのは、見えてないと思うけども。うん。


「牛頭さん。もう大丈夫ですよ。出てきても」


 何故か、有馬さんの猛烈なお願いにより、木の影から話を聴いていたのだが。ちょっと誰かに話を聴こうかと近づこうとしたら『待って!! 止まって!! 私が!! 離しますから!!』って。で、最終的に木陰に追い込まれた。どうしてあんな必死だったのか、分からん。


「えっと、田中さんの、家の奥って……山の方ですよね。多分」


 まぁそうね。間違いなくワシの管理してる山の方だと思うよ。


「その印部さん、のお家に行ってるとして……待ってた方が良いんでしょうか」


 まぁ。住人同士のトラブルであれば、俺達が介入する事も無いしなぁ。とはいえ婆ちゃんの家につないである、あの犬は返さないといけないけども。とはいえ……


「……やっぱり、気になるん、ですよね」


 だって、ケンカしてるかもって言われたんだよ? そりゃ気にもなりますわね。問題は、万が一喧嘩になって居た場合、女性同士のそれを諫められるのか、となると少々厳しい気がする事だが……何とかなるだろ! 多分!


「(田中のお婆ちゃんは兎も角、相手の人は牛頭さん見ただけで卒倒するかもしれないし……喧嘩については心配ないけど、言い訳はどうしよう)」



和解(見た目の暴力による強制鎮圧)

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