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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺が管理する山でデスゲームをするんじゃない
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部屋に入る時はノックを忘れないように

「……――ッォオオ……ホォ……!」


 結局、彼奴を追いかけて山の中を東奔西走。アイツの方が足速いし、掟破りの地元走りやら大胆な鵯越の坂落しやらターザンやらして、漸く……漸く! 確保したのはいいんだがもう夜が明けている! 結局徹夜。鍵かけておいてよかった……


 取り敢えず、此奴をもう一回……いや、ロープが無いのか。此奴もやっぱりボンド固めの刑ですね。あーまたボンドが減るよ……修理用なんだけどな、ただいまー。


『……っひぇっ!? な、なんで無いの!?』


 有馬さん? 何だ大きな声出して……ま、まさかカギをこじ開けて誰かが侵入してきてこの家の中で待ち受けている……とかか!? くそ、アイツを確保するのに時間をかけ過ぎたのか! 待ってろ有馬さん、今行くぞ!


『あ、そ、そうか昨日……あれ凄い足音が……あっ、ちょ、牛頭さん待ってください! お願い! 待ってぇ! まだ開けないでぇ!?』


 うぉぉぉぉぉお大丈夫かぁ! 新鮮な男の人が来たぞォ!


「――ォオオ……オ?」

「……ひぅ……うううううう」


 ――スゥ、フゥ。うん。すいません。今、閉めますね。お邪魔しましたぁ……ふぅ……えぇっと、どの辺りに彼女の服とかは干していたかな。あぁ、後は出来るだけ、見てしまった今の景色は早めに忘れる様にしようか。


『……色々と見られたぁああああああうわぁあああああああん牛さんに見られたぁあああああ正確には牛っぽい人型さんに見られたああああああ多分恥ずかしいぃぃぃぃぃ……』


 もうちょっと冷静に、ノックとかしてたほうが良かったかなぁ。後、上じゃなくて、下だったのが余計に致命的だったよなぁ……疲れてて判断力が鈍っていた、というのは理由にならないでしょうか。ならないでしょうね。はい。ちゃんと頭下げておかないとなぁ……




 ふぅ、朝のコーヒーはやっぱり頭がスッキリする。徹夜にコーヒー淹れて無理やり頭働かせるとか、体に対して鬼畜の所業ではあるけど、でも警察の方が来た時に半分寝てたりしてたらちゃんとした応対できないからね。


「お、お早うございます……」


 有馬さんお早う。昨日はよく眠れたかな? コーヒーは……ちょっと好き嫌いが分かれるから、やめておこうかな。となれば……コーンスープの粉末があったな。ふんふーん……良し。さ、どうぞ。


「この匂い……コーンスープだ。すみません、ありがとうございます」


 今パンを焼いてますからね。良ければ、其方を浸して食べてもおいしいと思うよ。ちょっとお湯を少なめに入れて濃いめに作ったから美味しいと思うよ。


「……暖かい」


 っとテレビでも点けようか。昨日の事件の続報とかやってるかもしれないし。ただ静かな中で飲んでるだけっていうのも、それはそれで気まずい時もある。特に聞きたくも無いテレビの音声もあるだけで大分雰囲気も変わるというもの。


『――次は今日のお天気です。今日は、東日本、特に関東で晴天となり、お洗濯日和に……』

「へぇー……お母さん、洗濯物そろそろ溜まってたって言ってたし、これなら干せそうだな」


 成程。有馬さんの出身は関東か。そりゃあ山登りとか慣れてなさそうなご様子なのも、納得ってもんだ。いやでも関東でも場所によりけりだし……都心の方なのかな?


『次のニュースです。昨日未明、民家に男が押し入り、女性物の下着を漁った上、女性の入浴中を狙い、覗き行為に走るという、悪質な犯罪が――』

「……」


 ほう。そんな不届きな男が居るとは。女性を一体何だと思っているのか、小一時間説教をしてやりたいところだが……ここからは遠く離れた所の話。どうしようもないな……なんて。

 うん。気が付いてるよ、明らかに空気が重くなったのは。


「……部屋に服持ってきて貰って、ありがとうございます……牛頭さん」


 何でしょうか。


「……あの、えっと……その、さっき……み、み……み、ました、よ、ね」


 ……遂に、来たか……ふむ。仕方ないよな。例え態と出ないにせよ、女性のあられもない姿をこの目に収めてしまったのだ。謝る他に何も出来る事はない。


「そ、それで……え、なんで椅子から降りて……」


 この国では、謝り方の最上位形が存在する。ミノス島でそれを知った時、日本の人達がどれだけ『謝る』と言う行為に真摯に向き合っているのか、感動したのを覚えている。今、俺もこの女性に対し、真摯に向き合うべき時だろう。


「……土、下座? あ、あのそこまでしてもらうのは……!」


 日本古来の切り札、そして、古今東西、女性に対し不埒を働いた男がするべき最低限の礼儀。それがこれ。ジャパニーズDOGEZAである。


「凄い、ビシッとしてる。乱れ一つない土下座だ。綺麗……じゃなくて」


 わが心に一切の乱れ無し……ただ一つ、有馬さんに対する、謝罪の気持ちのみが、今の心にある。故に、姿勢が乱れる事も欠片もないのである。


「ご、牛頭さん、あの……ほ、本当に大丈夫ですから! 頭を上げてください……!」


 あ、さようですか。じゃあすみません、立たせてもらいますね……よいしょっと。


「……えっと、見た事、とか……私の……とか、あんまり、口に出して、言わないでいただければ、それで……いいです。はい」


 いやそんな事するとかどんな鬼畜だと思われてんの俺は。しないよ?


「……そもそも、牛頭さんは言いふらすとかしないというか……出来ない、かな。牛さんだし」


 まぁ、言葉通じないしなぁ。


「……今更だけど、私。この凄いゴツイ牛さんと一緒に一夜を明かしたんだよね。なんかそれを気にする暇も無かったから気にならなかったけど、この人が普通に生きて、動いて、っていうだけでも、相当驚きと言うか」


 何? 生きて動いてっていうのが驚きって。どんな斬新な悪口? 怒っていいですか?


「あ、す、すみません……あの、酷い意味で言ったのじゃなくて……だから、その、凄いじっと此方を見ないでください……」


 そりゃあ俺だって、不躾な事はしたけどさ。だからって……おや? メール来てるな。


『準備が整いました。これからそちらに伺います』


 おぉ、警察の皆様からか……これで、この子を預かる時間も、終わりだな。


こうなるぞ!

因みに牛頭君は特に役得とかは思ってません。まぁ、種族が違いますからね。

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