お爺ちゃん、良く思い出して。
「お爺さん、凄い葉っぱついてますよ……ここにも、あ、ここにも」
『あーすまんのうそんな事させてしまって……いやぁ、テンションが上がってしまうと怖いのう! 身だしなみにも気を付けられていないとは……文明人としてあるまじき行為』
アンタ文明人だったのか……割とフィジカルと力任せにゴリ圧すのが得意なのに、アンタ母さんですら一頭を片手で運ぶのが精々だぞ? そこで言ったら……もう嫌だ。思い出すのも頭痛くなってくる。
『で? 何やってたんだよ爺ちゃん』
『いやぁ、ちょいと火がついてしまったので、消火活動じゃ! 心のな!』
『要するに消火活動(大乱闘)じゃねえか。文明人とか嘘っぱちだろうよ……』
『蛮族の血とと文明人的な生活は共存できない訳ではないぞ? 知と力、同時に身に着けられれば無敵よ無敵』
アンタは知と力を兼ね備えてるっていうスマートな感じ、というより力の化身が知性の化けの皮を被ってるって結構なゴリ押しな感じだけどな。
「……なんでちょっと血が付いてるんだろう」
『オイ爺マジで何をやって来た』
『ヒヒヒ、老い先短いジジイの楽しいレクリエーションよ。そう追及してくれるな』
『いや、血が付いてるんでしょ? 流石に追及しないっていうのはちょっと無理だよ』
このジジイ、やってはいけない事をやって来たな!? 遂に、遂にコイツ、返り血を浴びるようなそんな事をしたんだな!? こ、この野郎……
『貪り食ったのは猪か! 鹿か! 熊か! 言え! 何を食った! その胃に何を収めたんだ! 草食動物のくせしてお前! 何をお前! 食ってるんだよ!』
「ご、牛頭さんどうしたんですか!? 鼻息荒いですよ!? お静まり下さい!」
止めるな有馬さん……! 邪地暴虐の王を亡き者にしなければならないのだ俺は!
『いや自分で答え言っとるだろうが……草食動物じゃぞワシ。肉など食えるか』
『それもそうだな』
「うわ急に凄い落ち着いて澄んだ瞳になった?!」
冷静に考えたら食性的な意味で先ず肉食えないし……
『で、だったらその返り血は何方さんの返り血だ? ちょっとしか付いてないけど』
『んー? まぁ、人間様の返り血じゃよ』
『ほーん……ほっぉぉぉぉぉぉん!? 人!? 人と申したかお前!?』
ちょ、おま、更に重罪の香りがして来たんだがそれ本当に大丈夫か?! 大丈夫じゃないよなまず絶対に!
『ちょ、ちょっとお父さん! 乱闘でもして来たの!? 止めて頂戴よ歳なんだから!』
『母さんそういう問題じゃない! 暴力事件! アウト!』
『しとらんわ!』
『じゃあなんで人間様の返り血が付く……言え! 言ってみろ!』
チクショウ、どうして俺の親族というのはどいつもこいつも血の気が多い奴らばかりなんだっ! ちょっとくらい、優しい心を以て……接して貰って!
『つってものぅ? お前のお友達を見つけたら絡まれただけだから』
『お友達?』
何だそりゃ。別に友達……いや、サツのアイツは友人ではあるけど、アイツと会ったのか……? だとしても一本位はこっちに連絡入れてくれそうだけど。いや、そもそもどうして友達と会ったら乱闘になるんだ。
『後で合流……というか、回収するって約束しておったろ?』
後で合流……回収……いや、ちょっと待て、それって、お友達では無くて……?
『あの、それってもしかして、鮫頭で、結構ゴリッとしたマッチョの?』
『まぁ鮫頭ではあったが、アレはそこまでマッチョではないと思うが……? なんで頭を抱えておるんじゃお前』
いいえ。なんでソイツと遭遇してるのとか、聞きたい事はいっぱいあるだけなんです。でも、はじめに聞かねばならないのは一つだけ!
『それで乱闘っていったい何があったんだよ……!?』
『いやぁ、フル装備の兵隊とか初めて見たのう……お爺ちゃんビックリしちゃったわ』
本当に何があった!? そ、それの返り血とか、一体何をどうすればそんな形に持って行けるかが分からん! え、まさかそれに真っ向から立ち向かったとか……
「あれ? 毛に絡まってるこれって……なん、ですか?」
『おぉ、すまんの。全く何発か掠っちまったからのう。勲章とは呼べんわなぁ』
やっぱり真っ向から立ち向かってるじゃないか! こ、この爺なんて真似を……そもそもなんでそんな物を見つけてしまうのか君! いや、見つけたんじゃなくて絡まれたんだっけかな余計におかしいね!
『で、あの子から伝言を預かっておる』
『……鮫君からか?』
『うむ。「こっちは何とかなりました。取り合えず安全に確保してもらえる方々に来て貰えたので、回収して貰わなくても大丈夫だから、此方は気にせず」との事だ』
え、えぇ……?
『それは……えっと、大丈夫なの? 大丈夫だと思っていいの?』
『大丈夫じゃ。ちゃんと説得しておいた。ワシも手伝っての。絶対に文句なんぞ言わせんようにしておいたから!』
『俺が心配してるのはその説得方法が圧迫面接的な何かじゃないかっていうのだよ!』
あんなゴツイ鮫を預かってくれる方なんてそうそういないぞ!? というかそんな兵隊と殴り合った後にどうしてそんな鮫さんを預かってくれるような人に出会えたんだ良かったねーとか手放しに言えるかっ!
「また鼻息荒くなってますよ、どうどう」
『馬じゃないんですぅ! 牛なんですぅ! というか、先ずは説明責任を果してくれ爺ちゃん! どうしてなんで、そんな事態になったのか!』
『さぁて、どうだったかのう……』
『肝心な所で老人ムーブで誤魔化すなぁアアアアア!』
こ、この爺! 絶対聞き出してやるからちょっと待ってお前! 本当に!
尚ボケても居ないので完全に態とな模様




