商品開発
俺は資料小屋で鉱石サンプルを見て合金の事を思い出している、そしてアイテムボックスから採掘してきた鉱石と照らし合わせている所だ、ほぼ同じだけど俺の世界には無い鉱石があった、魔鉱石って奴だ これを精錬すると魔鋼と言う金属になる、
今,親っさんの工房の隅で魔鋼と鉄を混ぜている、これで魔力を纏える鉄が出来る、更にこれにクロームとタングステンを混ぜる、よく切れる包丁が出来た、何故だ 解せぬ、俺は武器を作ってたはずだと思い出す、
次に隕鉄と魔鋼を使って日本刀を作ってみる、試しに魔力を纏わせてからの試し切りで斬鉄をやってみる、とてもよく切れる、、親っさんに出来を見てもらうと「ほう、なかなかの代物だな、と言ってくれた、
俺は前から気になっていた金属を探している所だった,ミスリルやオリハルコン、アダマンタイトこの金属だ、神話の時代に有った金属らしいのだがこの世界では現存数は少ないとの事、【無い分けでな無いらしい、】丁度この街には魔鉱石が大量に入荷している、もう少し稼いで魔鋼を多めに仕入れたい所だ研究のために。
ヴォ-レン親っさんの伝手で多めに魔鋼を仕入れた、今まで貯めた金貨を全てつぎ込んだ、あれから手持ちの在庫を売りさばいたので金貨150枚を超えていた、それを全部魔鋼に替えてしまったので明日の食料にも事欠くようになったのはミケーネには内緒ってことで、
俺は魔法金属と言われるミスリルから研究している、結論としてこの世界では現状作れない事が解った、 原因はベースとなる金属が作れないからだ、しかし俺には知識がある、21世紀のね、
それで思い当たるベースとなる金属に心当たりがあるんだ、ルチル鉱石を製錬して作る鉄より硬く軽いしかも腐食に強いチタニウムって奴だ、これを錬成して合金にしていく、
組み合わせで魔鋼を混ぜる、それにより軽く丈夫で魔力の増幅効果もある魔法金属が出来上がった、しかしこれも研究課題が出来てきた、
この世界では希少なルチル鉱石は殆ど掘りつくされている、なので合成ルチルを作ってそれを製錬するやり方が21世紀では主流だ、イルメナイトを魔法で弱還元した後、鉄分を酸によって溶出除去することによって作りだす。
配合比でオリハルコンやアダマンタイト、ヒヒイロカネの魔法金属が錬成出来るかもしれない可能性がある、研究者としてはかなり楽しい事になって来た、
早速ミスリルで防具を作ってみた、ミケーネ用で、装着者自身の魔力を流すと意に沿った力を生み出すようだ、例えば耐火、耐圧、耐衝撃と魔力を流せばその魔力を増幅出来ると言う代物だ、しかし欠点も有った、常に魔力を少し消費しているって事だ、着用し続けると魔力の枯渇により失神してしまうって事で要注意だ、
出来上がった物を試着してもらう、西洋風の甲冑でちゃんとミケーネ用で猫耳になっているし尻尾もつけてある、甲冑の重量は意識的に魔力を流せば全部フル装備で1kgに満たないと言う軽量化が出来るようになった、魔力を意識的に注がないと10㎏態度だった、 っで色塗っておいた、チタンシルバーのままだとちょっと厳つく見えるからね、 白く塗って淵を金色にしておいたが、気にいてくれたのかどうかも解らないんだよね、ミケーネって、
ミケーネ専用の剣も作ってみた、クレイモアをミスリルで、ドライゼの剣より一回り小さい、それでもあの金属の塊のような剣だ、ミスリルで作ったら20kgで何とか収まった、獣人のミケーネの脊力なら十分振り回せる代物だからね、オリハルコンとアダマンタイトは少しづつ研究していきます、
自分の剣も作ることに、当然日本刀だよねここは、隕鉄とチタンに魔鋼それと鋼、これらを錬成して一振りの日本刀を作る、隕鉄の色が前面に出た感じだ、何度も折り返しをして研いだので波紋が現れる、うん いい出来だと思う、が欠点があった、ミスリルの配合比率が悪いのか魔力を吸い取られる事だった、これ普通の魔力しかなかったら2~3回切っただけで失神するレベルの消耗だよ、普通の人には使えない俺専用の刀だ、
そうしてもう一つ、魔力を使って弾丸を射出する武器、所謂【銃】って奴だ、モデルはいくつか考えたのだけれど、ここは丈夫に作るって事でコルト・パイソン仕様の銃を作ってみた、自分で使うんだしデカけりゃいいだろうって事で銃身6インチモデル44口径(0.44インチの銃口の径)にしてみた、
俺用のパイソンは威力は有るんだけど魔力の消費量がかなりある、普通の魔法使いが使うと一撃で失神しそうな勢いで魔力を吸われる。
ミケーネ用には少し下のクラスのコルト・ダイアモンドバック仕様これは38口径に近い(0.357インチの口径)銃身6インチモデルの銃を作ってみる、こちらの方が扱いやすかったし魔力の消費もかなり抑えられた、
試射してみるとやはり熱量もハンパない位だ、銃身もかなり加熱する、やはりベンチレーテッドリブの付いたこのモデルで正解だった、パイソンとダイアモンドバックはそれが付いているからなんとかなるでしょ、これを魔導銃パイソンと魔導銃ダイアモンドバックと命名する、
弾丸は魔鋼、薬莢はミスリル、火薬は無いから自前の魔力をミスリルの薬莢の中で爆発させてその魔力を纏った魔鋼の弾丸が射出されていくんだ、この薬莢の大きさで威力が大きく変ってくる、薬莢が大きければそれだけ充填出来る魔力量が増すからね、結果魔力バカ食いする魔導銃は一般には売れないので作ったのはこの2丁だけで終わった。
そしてコンパウンドボウ用の弦の制作だ、糸状にしたミスリルをより合わせて作った糸だ、其れを更により合わせて作ってある、ミスリルで出来たワイヤーだ、これにより魔力を流すと更に強化することが出来た、この新素材はこれからの世界を変えてしまいそうな物になった。
次は金欠になってしまったので売れ筋商品を量産してますよ、材料は鉱山でかなり採取したからね、ダガーとロングソードにメイスそれと弓と矢ですね、あと投擲槍、そして当社の目玉商品は【コンパウンドボウ】これですよ、滑車を付けて照準もつけられて更に威力がハンパないって代物ですよ、クロスボウと専用の矢も取り扱い始めました、あと攻城兵器の制作もやってます、
商品ラインナップも充実し始めたころ、行商の旅に出ようかと今準備中です,矢とかの消耗品はかなり大量に仕入れました、しばらく在庫は大丈夫かな、自分で作るのは刃物系だけなので矢は下請けさんに発注かけてるんですよ、それの納品が今日なんですね、10000本ですよ金貨25枚で仕入れて1本銅貨5枚で売ってます、全部売れれば金貨50枚になりますね、所謂【五掛け】って事です、
資金0から始める武器商人ですよ、魔法とコネを利用して掴むぜBIG MONEY!
俺たち武器商人のコーナ商会は在庫も豊富になった所で稼ぐ為に旅に出た、戦のある国へ、取り敢えずこの街でお世話になった人たちにあいさつ回りだ、 土産物屋の親っさんギルドマスターのドライゼさんとドワーフのヴォ-レン親方その他大勢に挨拶だ、ドライゼさんとは週一で念話の御用聞きがあるけどね、
そして今、俺たちは今きな臭い国境の街に来ている、この街は良質の金鉱山が発見された、それの利権争いでもめている所だ、ギュムリ王国 以前は何の特産品も無い国だったのだが、金の鉱脈が見つかると、領土を接しているカルス帝国が古い地図を引っ張り出してきて領土を主張し始めた、こうなればあとはカルス帝国が進軍してくるのは時間の問題だ、
俺たちが何処に商品を売りさばくか、これはもうギュリム王国で決定でしょ、正当性を見てもそうだしね、今まで何の価値もないと思われてた土地で、金が出たから俺の領土だと言い張るのが気に食わない、それに帝国はあちこちの国を恫喝するは侵略するはしているからね、この辺でキッチリ絞めておきたい所です。
って事で俺たちはギュリム王国へ来てる、いきなりお城に行っても王様に謁見は出来ないだろうから、この国で一番強い部隊に喧嘩を吹っ掛けてみる、 近衛騎士団が強いらしい、俺は手合わせを願い出た、魔法は使わずに対戦してみる事に、まあ願い出たと言っても街中で肩を軽く当てたらすぐに釣れたんだけどね、いや~チョロいわ~この騎士団、そんな事をやっていたら大物も釣れた、騎士団団長だ、熊の獣人だった、身長2.5m程のガッチリとした体格、大きいからどんくさいかと思っていたけどかなり速い、
俺は熊の獣人と向かい合う、でかい金属の金平糖が鎖でロッドに繋がれている武器、所謂モーニングスターって奴だ、
俺は振り下ろされたモーニングスターを除けもせずにそのまま金属の金平糖を掴み取る、熊獣人は驚いてモーニングスターを振り回そうとするがびくとも動かない、
「どうするまだ続けるかい?」俺は熊獣人に尋ねる、
「いや、これは俺がどうこうできる相手じゃねえ、負けだ、」
「じゃあ因縁吹っかけてきた詫びに、一杯奢れ、」俺はそう言って酒場を目指す、
熊獣人は思った、因縁吹っかけられたのは俺たちの方なんだが、何故だ、解せぬ、と思いながらも酒場へ入っていく、
酒精の強い酒を注文しながら、
「俺はキリ―ってんだ、騎士団団長をやってる、それで俺に何の用だ?」
「流石に解ってくれたか、」
「ああ、うちの団員が喧嘩売られまくってたからな、あんたに、」
「いやすまねえな、どうしてもこの国の意気込みって奴を確かめてみたかったんだ、もうすぐ戦が始まりそうだしな、」
「そうだな、あの強欲なカルス帝国の事だ、いつ侵略してきてもおかしくないからな、」
「そこで俺がここに来た理由ってのも有るんだ、俺は武器商人のジュン・コーナ コーナ商会の会頭だ、単刀直入に言おう、俺たちは武器を売りに来た、」
「ほう、だから俺たち騎士団を狙ったのか、」
「ああ、実力を見せた方が話が早いと思ったからな、俺が使ってこれは良いものだと思った武器しか売ってないからな、試しに使ってみてほしいものがある」
俺はそう言ってコンパウンドボウをアイテムボックスから取り出した、
「あんた魔法使いだったのか」キリ―が呟く、
「そうだ、魔法使いの武器商人だ、」
「物は試しだ、弓の得意な団員を呼んでくれないか?」
表で待機していた団員に声をかける、
「おい、ハンス!」そう呼ばれて出てきたのは金髪碧眼のエルフの若い男だった、
「ハンスこれを使ってみろ、」 そう言われてコンパウンドボウを手に取る
俺が説明を始める、「金属で出来てるから若干重いが沢山のメリットがある、まず照準器だこれと弦の張力も自在に変えられる、そして最大の特徴はこの弓の威力だ」
俺たちは金鉱山近くの河原にやって来た、そしてハンスに俺は弦の張力を最大にして渡す、木の板の的を100m先に置く、おれはアドバイスで直接照準で狙うように指示した、
「よし第一射、てい!」キリ―が叫ぶ、
ど真ん中に深々と突き刺さって貫通していた、次は200m地点から、
「第二射、てい!」
これも中央にささり矢は中程まで刺さりこれも貫通していた、次は300m普通の弓ではもう届かない距離だ、
「第三射、てい!」
ほぼ中央に矢じりが刺さった、もう少しで貫通する所だった、
「ハンスと言ったな、お前魔法は使えるか?」俺はハンスに声をかける、
「強くはないが多少使えるが、どうしてだ?」
「じゃあ次は魔力をこの弓に注ぎ込んで射て見ろ」
「よし300m先の的をもう一度行くぞ、」ひゅんと飛んでいった矢はまっすぐに的を貫いた、更に勢いが乗ったまま彼方へと消え去る、
ハンスが興奮しながら俺に騙りかける、
「これを俺に売ってくれ!こんなすげえ弓始めて見たぜ!」興奮しながら俺に騙りかけてきた、
「凄い性能だな、この弓は、この弓が大量に有ればかなり有利に進められる、」
「ああ、戦術としては相手の弓が届かない位置からの一方的な攻撃が可能となる、あとピンポイントで長距離をねらい打てるから暗殺にも使える、」
「これを見本として貸し出す、城に持っていって検討してくれ、」
「そんな事をしたらこれを見本に作っちまうかもしれねえぞ?お前の商売にならなくなるかもしれないぞ?」
「大丈夫だ、似たようなものは作れても、同じ性能のものは作れないからな、この金属の弓は特殊な金属で出来ている、しかもこの弦も特殊な弦だ、普通の弦を使うと2~3回射ると切れちまうから使い物にならないんだよ、コーナ商会の弦じゃなきゃ成り立たない代物だ」
「かなり自信があるんだな、」
「当然だ、俺が作っているんだからな、」俺は笑って答える、
「俺はギルドの隣の宿屋に泊っているから購入数が決まったら連絡をくれ」
「なんだ、お前の中では購入は決定事項なのかよ、」
「そりゃそうだ、この国は買わなかったら俺は別の国にこれを売り込むってことを考えたら、今買わないと絶対不利になるって事は誰でも想像がつくだろ」
「そりゃそうだな」キリ―は複雑な表情でそう答えた、
「俺は商売人だが俺にも矜恃がある、俺の顧客に敵対するところには売らないってな、だからあんた達に買ってほしかったんだ」そう言うとキリ―は安心した顔で言った、
「ありがとう、助かるぜ、」
「じゃあ、あとは宜しく頼むぜキリ―」そう言っておれは宿屋に向かう、
宿屋に戻って来た俺はミケーネに報告する、
「ミケーネ、商談して来たぜ、九分九厘購入決定だな、あれは、金額は一張り金貨10枚で計算してるんだがどうおもう?」
「原価はどのくらい?」
「金貨2枚が原価だな、利益は金貨8枚、いい商売だと思うよ」
「兄者が良いと思うなら」
「そうか、じゃあそれで行くことにしよう、一応この国だけの販売ってことにするから、他には流さないようにしておくからな、」そう言って俺たちは飯屋に向かう、
続く