移植手術
昼前なのでギルドに向かう、ギルドの扉を開き受付嬢にドライゼの居場所を聞くと執務室にいるとの事、2階へ上がり執務室の扉をノックする、
「ドライゼさん準備はできてますか?」
「おう、いつでも行けるぞ、」
俺は執務室に入り扉の鍵をかける、
「これから出かけるのに鍵をかけてどうするのだ?」
「ここから転移魔法と言うのを使って移動します、」
「そんな魔法もあるのか、」
「かなりの上級魔法なんですけどね、」
「では、いきます」 俺はドライゼさんの肩を掴み、モローの屋敷の庭を強烈にイメージする、
次の瞬間俺たちはモローの屋敷の庭にいた、ドライゼさんはあたりをキョロキョロしながら見ている、
「転移終了です、」と言って脱力して座り込んでしまう、俺は屋敷に入りソファーでそのまま寝てしまった、
「貴方がドライゼさんですね、私はモローと言います」 軽く挨拶をする、
「この度は魔法を使えるようにして頂けるとの事、御礼申し上げます、」
「この手術をして半年くらいすると夢を見ます、それから魔法が徐々に使えるようになってきます」
「最初からこのような転移魔法とかは使えないと言う事ですね」
「はい、成長すればある程度までは行けると思いますが、後は努力次第だと思います」
「もう準備は出来ていますので、手術室まで、どうぞこちらです」
「ドライゼさん手術台の上に寝てください、」
「これから心臓の上の部分を切開しますがこの麻痺薬を皮膚に塗ると痛みませんのでこれを塗ります、10分ほどで皮膚の感覚が無くなりますからそれが手術開始の合図だと思ってください」
10分後、「ここを今触っていますが感じますか?」
「いや触られている感じは一切ない」
「では始めるとしましょう」
サクッとメスを入れ切り開く、切り出したばかりと思われる肉片を移植する、そして縫合
「手術は終わりました、あとはこの塗り薬を1日3回朝、昼、晩と1週間続けて塗ってください」
「手術は以上です、」
「こんなことで魔法が使えるようになるのか?これなら誰でも魔法使いに慣れるではないか」
「おっしゃることも尤もですが、この魔法使いの種子は丁度寿命が尽きる魔法使いから種子を取り出したため一日早く亡くなりました、しかし貴方にその種子を残すことが出来ました、彼も後継者に渡すことが出来て本望でしょう、 これが魔法使いが多くはならない秘密なのですよ」
「ほう、今のは魔法使いの種子で一子相伝のような物だったのか、」
(嘘も方便、これで竜人のデータも取れる、ジュンは何気に研究の興味を満たしてくれる良い手ごまだな)
「ジュンは一晩眠れば魔力も回復して転移が出来るはずなので今日はゆっくりしていくとよいでしょう、」
干し肉と酒がテーブルの上に置かれ部屋から出ないようにと注意を受けた、研究機材が各所にあるからとの事らしい、ジュンはソファーで寝入ったままだ、まだ日が高いが酒を飲んで俺も眠ることにした、
翌日、ジュンは目覚めていた、だるそうに動いている、
「ジュン大丈夫なのか?」
「ああ、ドライゼさん、ちょっと体が重い感じがする位かな、昼であれから丸一日、転移魔法が使えるんだけど、多分またすぐに寝ちまうから執務室で寝かせておいてくれないか?」
「ああもちろん大丈夫だ、」
「飯貰ってくる」そう言って厨房に行きパンと適当な野菜と肉が有ったので肉多めの野菜炒めを作って戻る、
「「いただきます」」そう言って食い始める、
「ジュンこれはお前が調理したのか?」
「ああ、よくモローの家で飯作ってたからな、」
「そうか、モローとおぬしはどのような関係なのだ?」
「ああ、家があそこでモローはご近所さんって感じかな」
「それとミケーネはここでメイドのバイトもやってたからな、まあそんな関係だ」
「そうか」 ドライゼはそう言ってパンを齧る、
「「ごちそうさまでした」」 食器をかたずけ一休み、
「さてそろそろ行きますか」 その前にモローに声かけてくる
モローは研究室にいた「モロー俺たちは戻るから、また念話で連絡するよ、」
モローはふり向かず顕微鏡を覗きながら片手を上げて「うむ」と言ったきりだったのでドライゼの元へ、
「さあ、戻りますか、」俺はドライゼの肩に手を置き、ドライゼの執務室の鍵をかけた扉を強烈に意識する、扉の前に転移終了、執務室のソファーに倒れ込む、
「ジュン御苦労だったな」と言って毛布をかける
ドライゼは受付に行き戻った事の報告をしてすぐに業務に移る、
続く
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それから半年後の事である
「うおおおおおおおおおおおおお 魔法だあああああああああああああ」
「まっほうのマンボ~♪まっほうのマンボ~♪まほうのまちは~い~いな ウッ!」
爪の先に火を灯しながらいかつい竜人のおっさんが歌って踊りまわっていたよ、