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魔王を倒したその後で  作者: 夏目みゆ
45/57

剣聖を討つ

大変お待たせいたしました

5話分書き溜めしていたのですが、5話目をかなり変更し、ほぼ書き直す事となり更新が遅れてしまいました。



あらすじ

レオンハルトとの戦闘が始まった

若き肉体を取り戻したレオンハルトは、全盛期の肉体に老年の技術を伴う。

余りにも高い超えるべき壁に、ライオスは緊張に喉を鳴らした。

躊躇いもなく剣を振るわれた剣を弾く。

どれ程強く剣を握ろうと、手汗で滑り、ライオスは奥歯を噛みしめる。

幾度と暗殺や魔物討伐を経験したライオスは、死線を潜り抜けた経験は多いが、一撃毎に生死を彷徨う打ち合いは、集中力を恐ろしい速さで磨り減って行く。


「時間を掛けれる程、メリッサは苦しむぞ」

「っ!」


焦りから、ライオスは距離を詰めようとする。

しかし、腕輪が魔力を奪い炎が溢れた事で、身体が強張り踏み止まった。

龍白鉱で打たれた剣が煌めき、炎と共にライオスの首元を切り裂こうと振るわれる。

薄皮一枚を斬り裂かれ、死への恐怖に思わず数歩下がってしまう。

冷や汗が滴った。


「良い魔導具だ」

「っ!」


火傷跡が薄っすらと残った腕で、ライオスは剣を握り直した。

レオンハルトが持つ宝剣が風のように振るわれる。

ライオスは一撃を防ぐが、うねる様に軌道をかえて胴体へと吸い込まれる剣、そこにウッドベルが横槍を入れた。

加勢したウッドベルに続き、フレディは踏み込む、彼の拳を受け流したレオンハルトは、飛来する蜘蛛糸を躱す。

メリッサの全身を蝕むヒビ割れは、顔にまで及んでおり、割れ落ちた皮膚の隙間から覗く複数の瞳が、彼女に時間が無いことを周知させている。


生じた隙に、再びフレディの拳が振るわれるが、差し込まれたレオンハルトの腕にその一撃は防がれた。

骨を砕く音が響くも、直ぐに修復されてしまう。


「恐ろしい抵抗だな、早く息子に席を譲ったらどうだ?」

「Bランク冒険者とは、意外にも大したことは無いな」

「ぬかせっ!」


激しい動きの余り、腹の傷が再び出血を始めているが、フレディは引かない。

彼目掛けて振るわれた剣を、ライオスが弾いた。

ひたすらに隙を狙う彼等は、自然と連携が取れて行く。

数度の打ち合いを挟み、再びライオスの腕輪から巨大な炎が放たれた。

残り魔力の殆どを喰らい尽くした炎は、視界一杯に広がり、焼き尽くすさんとレオンハルトを呑み込む。

だが、炎すら引き裂く剣聖の一振りは、荒ぶる炎獄を瞬く間に両断してしまった。

剣聖としての技術と、魔力を多大に流された白龍鉱が有るからこそ可能な剣技だろう。

思わず見惚れてしまうのは、武を極める者の性。


炎から飛び出したレオンハルトは、ギルドマスターに接近する。

飛び退き距離を取ろうとするギルドマスターだが、凄まじい速度で振るわれた剣に裂かれ、鮮血が舞う。

トドメを刺そうとするレオンハルトに、一陣の風が吹き抜け、彼の胴と脚が分かたれた。


「ぬっ?」

「今よっ!」


杖を掲げたパールの叫び声に、動ける者は皆駆け出す。

ライオスが剣を叩きつるが、レオンハルトは片手で大きく跳躍して躱す。

叩き落とさんと迫り来るフレディの拳は、白龍鉱の剣で大きく裂かれる。

上半身のみに関わらず、異常な抵抗を見せる姿に、フレディは悪態を吐く。


「化け物めっ!」


フレディの拳の反動を利用し、大きく距離を取ろうとしたレオンハルトは、クリスティーナによって放たれた炎に包まれた。

上半身のみでは、流石に魔法を切り裂く事は叶わなかった様だ。


ぼとりと床に落下するレオンハルトは、二本(・・)の脚で着地する。

肉の焼ける匂いを周囲に漂わせ、レオンハルトは焼けた上着をを放る。

露わになった胸元で、埋め込まれた魔石が怪しく輝く。

国の犠牲者の数故が、その色は鮮やかな真紅に染まっている。


「仕切り直し、か」

「いいえ、終わりです」


無防備に飛び込んだメリッサを、瞬時に袈裟斬りにするも、枯葉を斬るかの様な感触に眉を顰める。

殻だ。

背中から盛り上がり、皮膚を突き破って彼女は()を脱ぎ去った。

滴り落ちる体液は、黄土色をしており、粘度が高いのか、中々床まで滴らない。

腰から下は多数の腕を失った代わりに、蜘蛛の身体が生え彼女の身体を支えている。

六つの複眼は、開いた瞳孔でレオンハルトを捉えると、その両指から放射状に蜘蛛糸を飛ばす。

迫り来る糸に振われた剣だが、楽器を奏でる様に小刻みにに動く指と共に、霞の様に刃をくぐり抜け、レオンハルトの動きを阻害した。

そして、距離を詰め、握った槍を突き刺す。


「甘いな」

「グッ!」


剣の柄で殴られ、槍の軌道を逸らし、レオンハルトはメリッサの胸元に白龍鉱で作られた剣を突き刺した。

しかし、メリッサは自分毎蜘蛛糸で包み、レオンハルトの拘束に成功した。

緑の血反吐が吐かれる。

ライオスの剣によって、背後からレオンハルト胸の石に剣を突き立てられた。

だが、レオンハルトが石を貫いた刃を握ると、突き刺した剣は微動だにせず、仕留めきれないままにレオンハルトは糸を切り裂き拘束を解いてしまった。

ゆっくりと崩れるメリッサの胸元では、貫かれた賢者の石が光を失い崩れていく。


彼女と目が合い、ライオスは己の剣から手を離す。

振り向いた勢いのまま、レオンハルトは無防備な彼を斬ろうとするが、白龍鉱の剣をメリッサが掴んだ。

ほんの僅かな時間だ。

ライオスが感情を込めたの拳を、胸元に叩きつけ、腕輪が後押しするように爆ぜた。


「見事だ」


一刻も早くメリッサの元へと向かいたい衝動を無理矢理抑え、父から目を背けず、彼が取り落とした白龍鉱で作られた宝剣を手に取る。


「終わりだっ!!」


深々と肩から両断され、術者に組み込まれた術式の崩壊によって、国を覆う魔術が停止する。

死者から奪った魂をエネルギーとして、賢者の石に供給する、恐ろしい魔術が停止した。


戦いが終わった。

損失感に押し潰されそうになりつつも、ライオスがメリッサに目をやると、彼女の足元に少年が立っていた。

いつの間に居たのかは分からないが、夕焼けを閉じ込めたかの様な金色の髪が特徴的であった。

少年がベルである事を理解したライオスに、桃色の液体が入った小瓶を放られ、彼は慌てて受け止めた。


「これは?」

「それは、完全回復薬(エクリサー)です。彼女が人で在ろうとするなら、それで呼び戻せる筈ですよ」

「っ!メリッサっ!!」


疲労困憊の身体に鞭打ち、ライオスはメリッサの元へ駆け寄る。

そんな彼の背から目を外し、フレディはベルに問う。

一瞬パールを見ていた事から、魔法か魔導具で薬が本物である事を確かめたのだろう。。


「お前、何者だ?」

「僕、ですか?僕はベル、冒険者ですよ。Dランクの」

「Sランク冒険者すら、完全回復薬(エクリサー)は余程運が良くなければ手に入れる事は出来ない。それを、いとも容易くくれてやれるのは、只のガキじゃぁ無理だ。手前、何者だ?」

「冒険者の検索は、ご法度なのでは?」


口移しで薬を飲み、メリッサの身体が淡く輝く。

魂の形に身体を()完全回復薬(エクリサー)は、短時間で有れば欠損部位すら治療する。

完全回復薬(エクリサー)に含まれた膨大な魔力によって、血肉を補うのだ。

しかし、怪我をして時間が経ち過ぎれば、魂の形が変化し、二度と戻る事は無い。

メリッサは人の姿を捨ててから、大分時間が立っており、魂の姿も異形化しているだろう。

故に、奇跡でも起こらなければ、例え命を拾ったとしても、化け物として生涯を過ごす事となる。



ここまでお読みいただきありがとうございます

もう少しで王都の話は終了します。


ほのぼのした旅を書きたいのですが、どうしてこう戦闘してばかりなのか、私もわかんない。

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