2/2
心のバイク2
彼はどうやら身寄りがいないらしい。
最近定年退職を迎え、一人なにをしようかと考えていたらしい。
そこで私を見つけて一目惚れしたそうだ。
私はなぜ私を選んだのかと聞くと、
「僕と同じ古き者同士、絶対に楽しい旅になるだろうなとおもったからさ」
よくわからない。旅をするなら、もっと綺麗で若い娘と旅をしたほうが華があるではないか。
彼の考えることはよくわからない。
最初の旅は田舎の海辺だった。
夕焼けの中、私達は歩みを進ませる。
「やはり君は最高だ。これからもよろしくたのむよ」
彼は大層満足したようだ。
夕日を背に彼はにこやかに笑った。
私も心がとても満足だった。