Day2-3 栽培
後半エスティア視点です
レオノーレにこの星について尋ねていたら昼過ぎ位になったので、非常食を食べて生活するための準備を始めることにした。
勿論、非常食は美味しい訳が無い。
まあ、少し大掛かりな設備て作る保存食のペーストフードよりはましだが。
ペーストフードがどんなのか簡単に説明すると、無駄に暗い緑色のべチャッとしていて入れた食材の味が混ざった、何とも言えない奇妙な粘性固体だ。
食欲なんてものは欠片も沸かない酷いものだ
正直ストレスが溜まるから早く美味しいものが食べたい。
そんなことを言っていっても何も始まらないのでとりあえず、今やるべきことは居住スペースの確保と食料となる植物の栽培並びに木の栽培が最優先と考え、急いで各々に割り当てられた作業をする。
ちなみに、俺とレオノーレが栽培組、エルヴァンとエスティアが建築組だ。
「レオノーレ、この星で植物を栽培してる人たちが栽培時に気を付けてたりすることを知っているか?」
恐らく知らないとわかっているが一応は聞く。
「いえ、特に......。 滅多に他の派閥のコロニーへは行かなかったもので」
少し申し訳なさそうに言われた。
まあ、略奪反対派と言うのだからそうだろう。
なぜ聞いたかと言うと、木苺が群生している地域があったからだ。
木苺が多い地域は酸性土の場合が多いので、この付近も酸性土なのだと予想できる。
度合いによっては植物が育たないかもしれないし、その場合中性に近づけるのは少し難易度が高い。
大体の場合、石灰を使って中性にするのだが、この星にあるか分からないのが問題である。
特に方法が思いつかないので、少し実験をしてみようと思う。
実際にやった例を聞いたことがないが、アルカリ性の土を混ぜて無理矢理中性に近づける方法がもしかしたらうまくいくかもしれない。
一応、クロマツが遠目に見えたので、そこの土がアルカリ性である可能性がある。
土が酸性とアルカリ性に分かれるのはカルシウムやらなんやらの過不足が原因の1つだったはずだから試してみる価値はあるはずだ。
どうせ、今取れるのはこの方法しかないので賭けるしかない。
「レオノーレ、もしかしたらここでは作物が育たないかもしれないから、その可能性をなくすために土を取りに行く。 その為に大きめの鉄の板を幾つか持ってきてくれ」
「はい。 何するんですか?」
「シャベルとか土を乗せる台車を作る」
「わかりました」
とりあえず道具を作らないと何も始まらない。
どうせ器具も何もないから
一応、酸性土壌を中性に戻すための石灰も探していこうと思う。
―――
私とエルヴァンさんで居住スペースを作らなければいけない。
ゼルさんに頼まれたからだ。
それに、早く自分のスペースが欲しいから急いで建てたい。
こんな辺境の惑星に落ちるなんて全く考えてなかった......。
そんなわけで、必死になって建築を進めているけれど、今とても大きな問題に直面してる。
木がない。
現実を見なきゃいけないからもう一度言おうと思う。
木がない。
これじゃ気持ちの整理が出来ない。
勿論木がないのはエルヴァンさんも十分に分かっているようで、頑張って設計を進めてくれている。
恐らく、解決には相部屋にする以外手がないと思う。
だけど、どうしようもないのから野ざらしにならないだけマシと思って頑張るしかない。
「設計図出来たから早速建てるぞ」
そんなことを思っていたらエルヴァンさんが設計図を作り終わったみたいで私に渡してきた。
案の定相部屋だった。
生きて帰れるか分からないけど、帰るためにはこの程度で気を落としちゃ駄目だと自分に言い聞かせて作業を始める。
設計図から予想するに、もう少し木が集まったら大部屋と各個室をつなげる予定らしく、L字型に部屋が並んでいる。
さてと、最低でも日が落ちる前までには作り終えなきゃ。
―――
拠点を立てた場所から1時間ほど歩いたところでクロマツの生えているあたりに着いた。
船の残骸で作った台車のようなものを引いて来たので少し時間がかかったので、普通に歩いたら30分くらいかと思う。
とりあえず、レオノーレには土を集めて台車に乗せてもらい、俺は木を切る。
暫く木の栽培が進むまでは慢性的な木材不足になると予想される故に今のうちに取っておこうと思ったからだ。
切りながら木材も持ち帰ってくるとエルヴァンに言っておく事を忘れていたことに気付き、作業の追加を強いてしまうことに少し申し訳なく思う。
......生活環境の改善のため我慢してほしい。
こういう時にチェーンソーがあったらなぁ、なんてないものねだりをする。
ちなみに、今俺は木を切るために適当な大きさの船の残骸を使っている。
見た感じ切ってるではなく、叩きつけてると言った所か。
なぜここまで独り言が多いのか?
正直レオノーレと何を話せばいいのか特に思いつかず微妙な雰囲気が流れているからだ。
そう改めて考えると自分が不甲斐ない。
1本木を伐り終えたあたりで日が暮れてしまいそうだったので、戻る準備を始める。
特に木を乗せる位しか作業はないが。
なんとか土の方は最低限確保できたと思う。
今すぐ戻って土を混ぜても、馴染んで中性になるのを待っていては餓死しそうなので直ぐにジャガイモを植えなければいけない。
うまく育つかは全く予想できないから上手くいくことを願うのみだ。
エスティア少し精神不安定です




