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Border_Planet -辺境の惑星-  作者: 彗月
Case.1 OSCAR-1773
5/14

Day2-1 保護と襲撃

 ワンッ!!


 謎の音によって急激に眠気が引いていく。


 ワンワンッ!!


 どすっ、と言う鈍い音がした。

 何かに乗られ......て......?


 意識が少しはっきりして周りが見えてきた。

 どうやら、ショコラがいつの間にか寝ていた俺を叩き起こしたようだ。


「あの......」


 もう朝か。

 2人を起こさなきゃな。


 朝!?

 いつの間に寝ていたか全くわからない。

 目の前に寝る前に焚いた焚き火の跡があるから見張り中にといった感じだ。


「えっと、あのぉ」


 誰かが居る。

 が、ひとまず相手を刺激しいてはいけないと思い冷静になる。

 もしかしたら救援信号を送った人かも知れない。

 

「私を助けてくれるのって貴方達? で、合ってますよね?」


 女性は小柄で黒髪の少し活発そうな女性だ。


 本人が自分から言ってくれたし、時間的にも間違いはないな。

 それにしても女性か。

 いつも女性1人って地味に辛いんですよねぇ、と零していたエスティアが喜びそうだ。

 

「あ、あぁ、はい、確かに昨晩そう送りました。 すみません、昨日着いたので疲れてたのか寝てしまってました」


 気付いたら居るものだから驚いてしまった。 

 寝るつもりはなかったんだが。


「いえいえ、早速で申し訳ないのですが、状況についてのすり合わせをさせていただいてもよろしいでしょうか?」


 少し目が覚めて来た。


「はい、今から仲間を起こしてくるのでその後直ぐにでも」


 そうだ、ショコラにお礼言わなきゃな。


「起こしてくれてありがとう、ショコラ」


 そう言って、嬉しそうに飛び跳ね、尻尾を振るショコラを尻目に俺は1部屋のみ作られた建物に入って2人を起こす。


「お~い、起きろ。 来たぞ」


「来たって何がですかぁ~?」


 眠そうだ。

 途轍もなく眠そうだ。

 

 思いっきり叩いてやりたい衝動に駆られるが我慢する。


「救援信号発信してた人だよ」


 エル起きねぇ。

 どうにかして謎の睡眠癖を治せないものか。


 ぱすっ、と俺がエルの頭を軽くしばく軽い音。


「痛てぇ......。 何だもう朝か。 起こされたと言う事は来たのか?」

 

 話が早くて助かるな。


「ああそうだ、じゃ、ひとまず話し合うために外出るぞ」


 そう言い残し部屋から出る。


「ああぁ、待ってください~」


 エスティアは寝起きだとおかしくなるのか。

 面白いけどいつも朝はしっかり身だしなみ整えてから出てくるから見れないしこれからもそうだろうなぁ。

 とても残念だ、人類の損失と言えるくらいには。

 

 ......言い過ぎか。


 俺が寝ずの番をしていたはずであった場所に3人で戻ると救援信号を送った女性はショコラとじゃれていた。

 手を叩いてショコラを呼び戻す。

 すると、女性は俺達に気が付いたようでこちらを見て佇まいを正す。


 俺達はその女性の前に歩いていき並ぶ。


 どう切り出すか悩んでいたところ、幸いに女性から話を切り出してきた。


「えっと、初めまして。 レオノーレと申します。 私を受け入れて下さると言う事で宜しいんですよね?」

「ああ、そうだ」


 この3人のリーダーと言う事をアピールしようと少し威圧的に返事をしたが、まあちょっと今更感がぬぐえないせいか不思議な顔をされてしまった。

 

 コホン。


「多分追手が来てると思うんですが大丈夫ですか?」

「一応武器はあるから大丈夫かと。 2、3人ですよね?」


 そういって銃を見せたらレオノーレさんは少し驚いてしまった。

 もしかして、銃は少なくて近接武器が基本なのか?


「はい。 銃があるなら大丈夫だと思います。 おそらく持っててメイスとかですし」


 予想通りか。

 弾は少ししかないが、2人なので外さないよう気を付けさえいれば何とかなりそうだ。


「それはよかった。 一応言っておくが、俺たちの目標は帰ることであって永住する事では無いからな?」

「ええ、大丈夫ですよ。 その時一緒に連れてってもらえますか?」


 この星から出たいと思っているのか。

 幾ら俺らより先にこの星にいたとは言えども自分の意志でそのまま居続けたい人など滅多に居ないだろう。

 それ程の劣悪な環境と言える。

 住めないわけではないが、俺らの様なよっぽどの理由か命令や仕事でない限り居たくはない。


「もしそれを望むなら、勿論だ」

「であればこれからよろしくお願いします」


 そういい、レオノーレさんは頭を下げた。


 何か質問はあるか?

 少しでも早く慣れてもらうためにその言葉を口にしようと思った瞬間、ショコラが俺に向かって吠えた。

 何事かと思いショコラを見ると一つの方向を向き静かに吠えている。


「そっちって、私が来た方向です。 もしかしたらもう来たのかもしれません」

「もうそんな時間か。 確認するが、殺してもいいんだよな?」

「ええ、敵対することにはなりますが私は別に戻るつもりはないんで」

「了解。 じゃあ、見つけ次第殺すことにする。 エル、スナイパーライフル持ってきてくれ」

「わかった、ちと待っててくれ」


 エルがスナイパーライフルを取りに行くのを見て俺は敵を探し始める。

 木はあまりないから見渡しはいい事を考えると幾つかある岩陰に隠れてるのか?

 そう思い、持ち歩いている双眼鏡を取り出し、覗く。



 見つけた。

 少し探したら談笑しながら歩いてきているのが見えた。

 敵影は2、武器は粗末な拳銃と少し大きな弓、グレートボウと言えそうなものを持っている。

 技術や物資がないのか俺らが武器を持ってないと侮ったか分からないが、正体不明の相手に対しては余りにも雑すぎる追手だ。



「ほらよ」


 ちょうどエルが俺にスナイパーライフルを渡してきた。

 渡された体に馴染んでいるスナイパーライフルを構える。

 ボルトアクションで弾を装填しながらスコープを覗き込み、息を止め狙いを定めて俺は引き金を軽く引く。

 刹那サイレンサーの影響で軽く小さな音を立て鋭くとがった弾は空気を切り裂き、一瞬の静寂の後、1人の頭を貫く。

 殺された男は力を失い手から拳銃を落として後ろに倒れる。


「よし、1人落とした」


 唐突な仲間の死に慌てふためくグレートボウ持ちの残された1人。


 それをスコープで覗きながら再びボルトアクションで弾を装填。

 そして、再び息を止めて引き金を引く。

 仲間が攻撃を受けたと認識した直後に遮蔽物に隠れないのは駄目だよなぁ、と思いながら。

 ほぼ同じ軌道を辿り、弾はもう1人の首を貫き、頭と胴体を泣き別れにする。


 今の時間、約10秒ほど。


「よし、2人とも殺したから多分大丈夫だと思う」

「す、すごいですね。 もしかして軍人だったりしました?」

「ああ」

「通りで......」


 それっきり3人は黙ってしまった。

 そこまで凄かったのかとても疑問だ。


 正直、このスナイパーライフルは俺専用のオーダーメイドで弾も特注品だからあまり使いたくはなかったが、代用できる武器がなかったから仕方がないだろう。

 もしかしたら、研究で普通の銃弾だけでなく、この相棒と言えるスナイパーライフルの弾も作れる様になるかもしれない。

 

 まあ、襲撃は凌げたんだから取り敢えずはいいとしよう。

 落ち着いたらレオノーレにこの星の情勢を聞かなければな。



 このようにして3人が黙り込んでしまい何とも言えない雰囲気を作り、最初のイベントは終わった。

ゼル「そんなかしこまらなくていいよ」

レオノーレ「あ......ありがとうございます。 実はちょっと大変だったかな、なんてね」

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