Day1-2 着陸
まだか?
もう10分ほどロケットから切り離されてから経ったはずだ。
緊急脱出ポッドに窓はない為特にする事もなく、体を狭い空間で捻ったりして少し動かすくらいしか出来ない。
それからまた数分して凄まじいGが体を襲う。
パラシュートが開いたようだ。
と言う事はもう着陸か......。
念の為2人の安否を確認するために無線を繋ぐ。
『おい! 2人とも聞こえるか? パラシュートは開いたか?』
『はい、聞こえますよゼルさん。 無事開いたようです』
『ああ、聞こえてる。開いたぞ』
何事もなく着陸まではできそうでひとまずは安心した。
着陸地付近に敵対的な現地民族が居なければいいんだが。
またまた少しした後、今度は強烈な衝撃。
どうやら着陸したようだ......。
このまま狭いポッドの中にいても仕方がない為出る。
すると、2人はもう出ていた。
「ああ、2人とも特に何もなかったか」
「ええ、大丈夫ですよ」
「そんなことよりも......これは大変だな」
残りは察してくれとでもいう様な態度だ。
まあ、言いたいことは分かる。
確かにこれはかなり大変だ。
どうやら、俺らは運悪く不毛の地に降り立ってしまったようだった。
少しは木が見えるが、植物は見当たらない。
まあ、雑草は生えてるし、いざとなったら食料に出来そうな動物もいる。
最悪の事態って訳でもなさそうだ。
植物が少ないのは、恐らく気温のせいだろう、とても寒い。
今がどの季節なのかは知らないが、夏でも見た感じだと10℃前後だろうな。
早急に防寒服を作り、幸い土に栄養は十分にあるようだから温室栽培で作物を植える必要がある。
「よし、2人とも、この地点を拠点としようと思うからコロニー等を作るための木を伐採してきてくれ。 目印はこのポッドだ。 俺は散らばったものを探して集めてくる。 いいな?」
「「了解」」
さてと、この辺に色々散らばりまくってるから拾い集めなきゃな。
俺たちが降り立った地点を中心に半径1km位の範囲に船の残骸の鉄くずやら必要な物資やらが散乱しているから少し拾い集めるのは大変だろう。
―――――
暫くすると2人は帰ってきた。
「おう、この辺の木の様子はどうだった? 栽培が必要か?」
「はい、このままでは直ぐに尽きてしまうかと......」
やはり、遠くまで木はないのか。
ポッドに乗り込む前に見たこの星はそこまで緑のエリアはなかったから妥当ではある。
「そうか、わかった。 そしたら次は居住スペースの確保をお願いできるか? 切ってきた木材で頼む。 ひとまずは3人の個室と、共有スペース、外に食料備蓄庫を小さくていいから作ってくれ。 食料備蓄庫は屋根をつけなくていいぞ。 気温的に冷凍保存が何もしなくてもできそうだからな」
まずはこんなものか。
「ゼルさんはその間何をされるのですか?」
「俺か? 俺はコンポーネントとスチールを集めて発電設備を作っておく」
「了解しました」
この気温だと、暖房設備が必要だから発電設備がなきゃな。
まあ、発電設備と暖房設備以外は技術がないから研究しなきゃいけないが。
さて、作業開始だ。
コンポーネントと言うのは電気を使う設備には必須の金属のようなものです。