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8田中!絶体絶命!

【登場人物】

田中拓哉(17)顔面モンゴロイドの自称、イケてる高校3年生


KJ(8)拙作「秘密結社KJラボ☆」の主人公。おサルのキンタくんを捕まえに来た。


キンタ(5)盛りのついたサル。オス。

田中と、お猿のキンタくんの睨合いは、互いに、必殺の一撃を持つ剣豪どうしの立合いのように一瞬の隙もない。 およそどれくらい経ったであろうか。


KJは二度ほど大好きなプロ野球チップスを買いに走り、山田哲人ヤクルトスワローズと、レアカードの金本(阪神タイガース監督)をGETした。


フトッチョの少年は、家業の配達に行ってさきほど戻ったし、ガリガリメガネは、今日が塾のある日で今し方帰ったところだ。


田中と、キンタくんは、一歩も動けぬまま、けれど、先に動いた方が確実に殺られると言う恐怖の間で攻防を繰返す。


辺りは、とっぷりと夕暮れに染まり、互いの体力も限界へと差し迫っていた。 そんな、必殺の間隙の中、ああ 麗わしの路地裏の女神が、田中のテーブルへダージリンティーを運んで来る姿が脳裏をかすめた。 次の瞬間!!


「ウィッキー!」


ゴムマリのような柔軟な跳躍で、田中の甘い夢を掻き破るキンタくん。


「ああ、女神さま……」


田中は、妄想の淵から、キンタくんの殺気によって、瞬間的に、身を引いた。


この場合、まさに野生の本能で身体が自然に揺り動いたというほうが正確だろうか。


田中は、わずかにマッシュルーム頭を、キンタくんの必殺の爪で刎ねあげたのみ。田中ノーダメージだ。


「よくも俺の女神を!!」


妄想トリッパー田中は、今まさに、路地裏の女神が、あったかいダージリンを注ぎ入れるところを、現実に引戻された。


現実には、絶対に起こりえない幸福の絶頂に叩き起こされたのだ。田中はもはや理性を失っている。


真下で見ているKJからすれば、柿の木の覇権を賭けた猿山のボスどうしの頂上対決であるのだが……。


内心、辺りはすっかり暗くなったから、早いことキンタくんを捕まえて帰らなければ、若葉がやってきて、あーだの、こーだのお説教した挙句、いつもの頭グリグリ攻撃をされるかと思うと、もう闘いはほっといてお家に帰りたい。


「ウッギャー!!」絶叫が、夕闇を駆抜けた。


つづく

今日は、2話くっつけて長くしてみました。

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