2 田中の午後
田中の午後は、ダンディズムの結晶セイロンダージリンではじまる。
とはいえ、午後の紅茶を飲むだけの話ではあるのだが。。。
「グランパの生まれた英国風それが田中イズムさ」
去年、田中の祖父のいる田舎の畑からは、ザックザックの縄文土器が出土された。
先祖代々、田中家はネイティブ モンゴロイド。白鳳もびっくりの地に足ついた百姓一揆である。
「田中君、わたしもお紅茶好きよ」
と、いうのはクラスのアイドル、裏飯マーガレット。
花屋を営む裏飯家は、親族一同花の名前をいただいているらしい。
「明日から、あたしをマーガレットと呼んで」
ある日突然いいだした裏飯マーガレットこと、本名、裏飯菊は名前コンプレックスのビー・マイ・ベイベーである。
家に帰ると優しい祖母から お菊ちゃんと呼ばれている悲しい現実はいまもってかわらない。
「いつか二人は結ばれて、田中お菊になるんだろうな」
ちょっとマーガレットに声を掛けられただけで、そこまで、妄想の海に溺れる田中は、いつにもまして鼻の下がだらしない。
「よかったらさ。今度から僕の事は、ダージリン田中って呼んでよMissマーガレット」
と、バラの花束をさしだす。
「………田中キモイ!!」
「キモイじゃないよ。それだとアフリカの部族長みたいじゃないか、僕は英国風!」
(MissではなくMrs.がよかったのかな?)
今日も田中の淡い夢は、ジャグジーの泡のように儚く消えるだろう。
ウザイ田中の暴走妄想癖は、もはや、大草原を駆抜けぬけてアジア、果は、ヨーロッパ大英帝国の風になるだろう!
がんばれ!田中!!
闘え!田中!!
碧き狼と呼ばれるそのときまで、モンゴル相撲をとりつづけるのだ!!
日本中の田中さんご免なさい。
一番、先祖代々、農民の設定の主人公なので田中にしました。怨みはこれっぽっちもございません。