17 田中!アップルパイ
田中 拓哉(17)顔面モンゴロイドの自称、イケてる高校3年生。
路地裏の女神(23)カフェ「エレンコ」の看板娘。
【ゲスト】
作者
伊藤 作者と同門の友人
「いらっしゃいませ!」
カフェ「エレンコ」は、焼きたてのパンの芳醇な香りと、店員のとびっきりの笑顔で出迎る。
「お客様。今日は、焼きたてあっあつのアップルパイがオススメですよ!
」 このように、女神ならずとも愛想のよい定員に促され、ほとんどのパンは焼きあげからまだ熱が冷めきらぬうちに売り切れる。
~ここで少し、作者と友人、伊藤が「エレンコ」自慢のアップルパイを食いに来た態でやってみようか。
「伊藤ちゃんよ~、このとけだす濃厚な蜜が、ほれ」 噛切ったパイ生地から、濃厚なハチミツがにじみだす。
「(思わずヨダレをふきしぼり)おおっ、たまんねぇ~一口!一口でいいから、かじらせてくれ。」
「この“とろけるアップルパイ”はな、まず青リンゴをつかって甘みより酸味をいかしてだな、つなぎに使うハチミツがこれまた、英国王宮御用達の何とかいう濁りない癖のない甘さで包んでるんだ」
作者、一口かじる。
「あぁ ホント旨そうだ。頼むから一口!!」
「いいや。まだあんだよ。生地!これはよくあるパイ生地にしあげているが、水と練りがどうやらドイツ風でライ麦を混ぜ込んである」
作者、もう一口口に運ぶ。
「おっと!」 作者、粗相をして蜜のかかったリンゴをこぼす。 伊藤、慌ててつまみ食い。 「(生唾を飲込むように飲込む、伊藤)」
「さらにだな、仕上げに表面をガスバーナーで焦がした食感が……」
「ふぁ~堪らないなぁ~」
「だろう」 作者勢い余って食べきった。
「ぁぁ………」
~ 「いらっしゃいませ!」
そうこうしていると、ようやく田中が入店して来たようだ。
つづく




