11 田中は酔いどれサラリーマン
田中 拓哉(17)顔面モンゴロイドの自称、イケてる高校3年生。
キンタ(5)盛りのついたサル。オス。
裏飯 菊(17)田中のクラスのアイドル。だが、名前コンプレックスのビーマイベイベー。高校3年生。
ゲスト
KJ(8)拙作「秘密結社KJラボ☆」の主人公。おサルのキンタくんを捕まえに来た。
花巻 若葉(18)ガールズ・ビ・アンビシャス!のやたらヤル気のあるKJの若い叔母。高校3年生。
待伏せしするKJ・・・。
「ワッ!」と、マーガレットが飛び出した。
KJが、マーガレットに“ムキンポ”するつもりが、先を越されてしまったのだ.
「ちぇ!ムキンポしたあとのセリフ決まってたのに……」
KJは、おもしろワードの発散場所がなくなって、不満でしかたない。
「それにしても、KJちゃんそのリードとお猿さんが見えてたわよ」
「そうよ。あんた案外馬鹿よね。目印つけて隠れるなんて、イタズラばっかりしてともだち少ないから今度はお猿とパーティー組んで異世界ファンタジーへ悪者でもやっつけにいくつもり!」
「ちげーよ馬鹿。木村のおばちゃん家の家出猿キンタくんだよ。連れ戻したらキッズランド連れて行ってくれる約束なんだよ」
「キッズランド?何それ!?」
若葉は、マーガレットに、確認をとりつつさっきのKJの“馬鹿”発言を懲らしめようと頭を両脇からグリグリしている。
「キッズランドはあれよ。子供が仕事を体験して、遊びながら学習するっていうリアル系子供アトラクションってところかな」
と、ベタな説明ゼリフを決めてみせるマーガレット。
ちょっと話がつかめて来た若葉は、事情の確認でもとるように、
「じゃああんた、キッズランドに釣られて遅くまでキンタくんと遊んでたのね!」
「ちげーよ馬…」
KJは、一瞬、口をついて馬鹿と言う言葉を発っしそうになるのだが、まぁ~それはそれ、とにもかくにもKJは学習能力がすこぶる高いから、
「……キンタくんが2匹いたんだよ。美人のマーガレットお姉様にはすぐにわかるよね」
と、KJはマーガレットの機嫌をとり味方に引入れながら、田中につけたもう一本のリードを掲げて見せた。
「ふ~ん」
と、マーガレットは、リードの先を目で追いかける。
「ウゲェ~!」
視線の先には、あと一歩で路地裏の女神が働くカフェに辿着く千鳥足の田中が、一直線にリードが伸びきって首が締まり、はからず酔いどれサラリーマンのように転ぶ姿が目撃されたのだった。
つづく




