真・羅生門=5=
冷凍庫で凍るギリギリまで冷やした冷水をぶっ掛けられたような寒気がきて、ツ…と冷や汗が額から流れてきたときは俺の家の中ではなかった。…俺は意識を取り戻した。
俺の後ろに気配を感じた。音椰だ。その後方に武田と本間がいた。3人とも右を見て、左を見てという行動を行った。否、行っている。だ。
首以外体中の筋肉をまともにりようしていないんじゃないのかといわんばかりの行動を起こした後に一斉にこちらを向き、一斉に
「ここどこだ」俺が知りたいのだが、電話を聞いた自分がこの3人に比べこの状況に対する知識があるに違いない。
…。
そして話を終えた。「あ!はしょった」とかいった奴はいないだろうな。
「他のやつもいる。だって?」本間が眼鏡をつけていないのに眼鏡を額の方向に動かすしぐさをした。
「てかあの誘拐男つかまったんじゃないのか」
「証拠不十分で釈放かな」音椰は記憶喪失にでもなったのだろうか。こんなところでボケられても…。いやこいつがボケているのは昨日今日始まったことじゃない。
ボケてなかったら彼女のボールペンのバネを抜いたのが原因で別れるなんてことにはならなかったはずだ。
その時高い声で笑いながら近づいてきた姿があった。例の男だ。
「諸君お元気かな」右手をあげながら軽く挨拶した。そのまままっすぐ伸ばしてナチス党の敬礼でもし照ればいい。お前のような独裁者にはお似合いだ。
「誘拐男!さっさと戻せ!そしてさっさと戻れ」と武田が場所という名の名詞を言わなかったため男は1秒間文章理解に困った顔をしてこういった。
「誘拐男か。ハッハッハッ!いい機会だ俺の名はな邑章介っていうんだ。くそ難しい名前してやがる!
「さっそくだがお前らに冒険をしてもらおう」
「冒険を終えたらお前は留置所に戻るのか」と本間。そんなわけ無いだろ。
「いいだろう。本間よ」ホンマかいな!下らんダジャレくを思いついた瞬間再び世界がゆがんだというような感覚にとらわれた。
次に俺らを待っていたのは赤い閃光だった。
寒い!何この部屋!もう脱出する!