真・羅生門=Who is a traveler"拒絶編"=
葛藤を続ける少年をあざ笑うかのように悪魔はじろじろとその姿を見ていた。さあどちらかを早く選択せよ。まあどちらを選ぼうと…。
向こうの世界が消えることを選ぼうと今の自分には関係が無い。しかし過去の自分がいた形跡がある向こうが消えて、こちらの偽の痕跡しかないこの世界を自分は望むとでも言うのか。
―――――――答えは1しつか無いよな…。少年は決意した。
そして向かえた2日後。
いやな雰囲気に包まれた部屋で少年は何をするわけでもなく天井をボヤリと眺めていた。そこからニュルリというよりボワッと言ったほうが正しいような地味な入り方で部屋の床へと舞い降りてきた。いや舞ってはない。
「答えは出たか。まあでなくても強制的にでも聞かせてもらうがな」悪魔が目を赤々とさせ聞いてきた。
少年はそんなものには目もくれないような堂々さで答えた。
「この世界にいることを拒絶します」
「つまり?」
「元の世界に返してください」
「楽しくない世界に戻るのだぞ」と悪魔は少し慌てたように少年を見た。が、
「別にいいです」とキッパリ答えられた。
この世界にいてくれた方が都合が良かったのだが…。まあいさ仕方ない。この少年を元の世界に戻してから…とぶつぶつ考え出した。
「分かった…」悪魔はイヤミのように言葉を発して少年を元の世界に戻した。
少年は元の世界に戻った。これでよかったんだよな…。