後悔の夏
未華子は、後悔していた。悔いても悔いてもたりなかった。一夏の、火遊びのはずだった。
未華子は、大学生で、夏休みで、友達3人と、湘南海岸にきて、泳いでいた。全員、ビキニだった。若くて、はしゃいでいたので、とても目立っていた。
そのうちの一人、美子が、波にさらわれて、溺れてしまったのだ。すぐに、監視員が、助けに、海に入ったのだが、助からなかった。全員、青ざめていた。美子は、泳げるのに、と思い、大変なことになってしまったと、一同、呆然と立っていた。みんなで、泣き叫んで、美子が、再び、戻ってくることを願っていた。
その監視員に、全員で、感謝をして、その場を立ち去った。すぐに、美子の家にいき、家族に、説明した。みんな、泣きじゃくって、言葉にならなかった。自分達の責任だと思っていた。海に行かなければ、こんなことには、ならなかったと思い、未華子は、本当に、心から、悔やんでいた。
美子の葬式に、友達2人と、行った。ご両親は、泣いていた。「自分達のせいで、こんなことになってしまって。」と、リーダーの勝子が、言った。ご両親は、「本人も、楽しみにしていた海だから、本望だと思います。美子の分まで、元気にいてくださいね。」と、言われて、みんな、涙にくれていた。
そこへ、あの時の、監視員の人が焼香に来た。軽く、会釈をした。未華子は、監視員に、「その節は、お世話になりました。」と、言った。監視員は、「いえいえ。」とだけ言って、焼香していた。未華子は、お礼をしたかったので、連絡先を聞いた。
後日、連絡先の住所に、少しばかりの物を、持っていった。その人は、優といった。わざわざ来てくれたことに、恐縮していた。「これからは、気をつけて、泳いでください。」と、言われた。
未華子と、たまたま、同じ町内に住んでいた。それも、近くだったのだ。あまりのふ偶然に、2人共、ビックリしたが、「これからも、仲良くしてください。」と、優の方から、言ってきた。未華子は、「もちろんです。」と、言って、連絡先を、教えた。
ひょんなことから、知り合いになってしまったが、未華子は、22歳で、優は、32歳だった。優は、まだ、独身だった。未華子も。他の2人の友達は、優に、関心を、示さなかった。未華子だけが、親しみを感じていた。
優の方から、未華子に、「今度、お茶でもどうですか?」と聞いた。未華子は、「はい。」とだけ言った。未華子は、彼氏もいなかったので、単純に、嬉しかったし、ガッチリした体の、優が、タイプだった。
カフェで、お茶をして、ドライブをした。といっても、優は、バイクに乗っていた。その後ろの座席に、未華子は、ヘルメットをかぶって、乗り込んだ。最初は、バイクに乗るのが、怖かったが、徐々に、慣れていった。風をきって走るのが、最高だった。
バイクに慣れるように、未華子は、優にも、だんだん、慣れていった。今まで、付き合ったことがない、たくましいタイプだった。未華子は、どんどん、惹かれていった。
ある時、未華子と、約束をして、時間に遅れそうになった優は、バイクを飛ばしていた。カーブを、曲がりきれずに、事故になってしまった。そして、重傷のケガをおってしまった。片足を切断することになった。未華子は、また、悔いていた。自分と会おうとしなければ、この事故には、あわなかったとおもい、本当に、後悔していた。なぜ、こうも、自分と、関係のある人は、次から次と、不幸になっていくのかと、自分を責めていた。
優は、片足切断の手術を受けて、義足をつけることになった。義足での歩行のリハビリに、未華子は、毎回、付き添っていた。優は、弱音は、いっさい、はかなかった。でも、優は、ベッドの上で、いろいろと、考えていた。こうなってしまった以上、未華子に、迷惑をかけることはできないから、身を引こうと、思っていた。
未華子は、たとえ、優が、どんな体になろうとも、支えていきたいと思っていた。2人の考えは、真逆だった。
優は、未華子が、病室に来る日、友達の一也を、呼んでいた。未華子に紹介するためだ。優は、未華子に、「こいつは、一也。同級生で、独身だよ。とってもいい奴だよ。」と、紹介した。未華子は、何で今日は、2人じゃないのかと、思いながら、聞いていた。優は、「オレも、こんな体になったし、未華子ちゃん、一也と、付き合ってみない?」と、未華子に言ったのだ。未華子は、内心、怒っていた。どんな状態でも、優の事が好きなのに、なぜ、そんなことをいうのかと、顔には、出さずに、思っていた。そして、優をまっすぐ見ながら、「私は、優さん以外には、誰とも、付き合わないわ。優さんとじゃなかったら、一人でいいです。」と、未華子は、言った。優は、とても嬉しかったが、複雑な気持ちだった。みじめになっていた。
優は、続けた。「俺は、こんな体になってまで、未華子ちゃんと、付き合うわけには行かないよ。ごめん…。」と、言った。
未華子は、とても悲しかった。2人で、乗り越えられないはずはないと、思っていた。未華子は、「私と一緒に、頑張っていきましょう。」泣きながら、未華子は、言った。優の答えは、「ごめんな。」だけだった。
それから、優は、リハビリを、半年やって、退院した。毎日、リハビリに、付き添ってくれた未華子には、感謝しかなかった。でも、優は、未華子とは、別れることを決めていた。
未華子は、優の気持ちを、受け入れる他なかった。悲しいけれど、優のことは、諦めようと、思っていた。
優は、未華子と、同じ町内にいるのは、あまりにも、辛かったので、引っ越しをすることにした。誰にも言わずに引っ越しするつもりだったが、一也が、引っ越しの手伝いに来てくれた。そして、一也は、未華子に、連絡をして、優が、引っ越しして、遠くに行ってしまうことを、話した。
未華子は、とても、ショックだった。近くにいれば、様子も、見れただろうに、と思い、悲しかった。最後に、もう1度、優と会って、気持ちが、聞きたかった。優のところに、未華子は、行って、引っ越しの手伝いもした。手伝いをしながら、優に、聞いた。「もし、私が、逆だったら、優は、別れを選ぶの?」未華子は、言った。優は、返答に、つまっていた。優は、ゆっくりと、「もし、未華子ちゃんが、逆だったら、最後まで、未華子ちゃんと、一緒に、いると思う。」優は、泣いていた。
未華子は、言った。「それなら、私と、同棲してみて。ダメだったら、私、本当に、諦めるから。」優は、未華子の押しに、負けてしまった。「わかったよ。」その代わり、「期間は、3ヶ月だけだよ。」優は、言った。未華子は、もちろん、うなずいた。
未華子は、少しでも、希望があるなら、それでよかった。未華子は、幸せには、なれなくても、優と一緒なら、それでよかった。




