表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワガママ無双 ~面倒くさがりが転生したら、必要なスキルが勝手に生えて街と国ができていた件~  作者: 七瀬ミコト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/57

第24話 話は長いが、要点は三つだけ

 その日、ハブリスに来た使者は三人だった。


 全員、身なりがいい。

 全員、姿勢がいい。

 全員、話が長そうだった。


(当たりだな)


 ノアは、内心でそう思った。


 場所は、ギルド奥の応接室。


 円卓。

 茶。

 書類の山。


 もう嫌な予感しかしない。


「我が国は――」


 使者の一人が、

 丁寧に、

 非常に丁寧に話し始めた。


 交易の歴史。

 国の立場。

 内陸都市の重要性。


(……長い)


「つまり」


 ノアは、

 途中で手を挙げた。


「要点を

 三つにしてください」


 使者たちは、

 一瞬固まった。


「……三つ、

 ですか?」


「はい」


「四つは?」


「多いです」


「二つは?」


「足りません」


 真顔だった。


 沈黙の後。


 一番年上らしき使者が、

 咳払いをして言った。


「……一つ」


「我が国は、

 貴市との交易を

 希望しています」


「二つ」


「継続的な

 安定供給を

 望みます」


「三つ」


「代表窓口を

 設けていただきたい」


 ノアは、

 頷いた。


「分かりました」


 あっさりだ。


「では――」


「一つ目」


 ノアが言った。


「交易は、

 もうしています」


「……え?」


「港経由で」


「既に?」


「はい」


 使者が、

 目を見開いた。


「二つ目」


「安定供給は、

 保証しません」


「……なぜ?」


「面倒だからです」


 即答だった。


「三つ目」


「代表窓口は、

 ありません」


「……」


「困った時は、

 困っている内容を

 その人に言ってください」


 使者たちは、

 完全に沈黙した。


「では」


 ノアは、

 逆に聞いた。


「質問、

 ありますか?」


 使者が、

 恐る恐る言う。


「……それで、

 問題は起きないと?」


 ノアは、

 少し考えた。


 本当に、

 少しだけ。


「起きたら」


「その時、

 楽な方を

 選びます」


 それだけだ。


 沈黙。


 重い。


 だが――

 使者の一人が、

 小さく笑った。


「……正直ですね」


「楽なので」


「条約は?」


「結びません」


「契約書は?」


「必要なら」


「責任は?」


「分散です」


 全部、

 相手の想定外だった。


 しばらくして。


 使者は、

 立ち上がった。


「……本国に、

 どう報告すれば?」


 ノアは、

 即答した。


「面倒な街だと」


 前にも言った台詞だ。


 使者は、

 深く頭を下げた。


「……ですが」


「正直に言って」


「非常に、

 魅力的です」


 それだけ言って、

 去っていった。


 会談終了。


 書類は、

 一枚も増えていない。


 署名もない。


 印もない。


 なのに――

 交易は続く。


 リリアが、

 ぽつりと言った。


「……大丈夫でしょうか」


「大丈夫です」


「根拠は?」


 ノアは、

 椅子から立ち上がりながら言った。


「向こうも」


「面倒なのは

 嫌いですから」


 その夜。


 港町マレアから、

 新しい注文が届いた。


 国外向け。


 量は多い。


 条件は、

 緩い。


 この日。


 ハブリスは、

 条約を結ばずに

 国と繋がった。


 それを、

 無謀だと思う者もいる。


 だが――

 ノアにとっては。


 一番、楽な形だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ