第21話 考えるのが面倒になったのでダンジョンに行く
翌朝。
ノアは、街を出ていた。
理由は簡単だ。
(……もう、
考えたくない)
教会。
責任。
象徴。
全部、
頭が重い。
だから――
ダンジョンだ。
考えなくていい。
話さなくていい。
倒せば終わる。
最高である。
久しぶりのダンジョン。
街から少し離れた、
いつもの入口。
「……変わってないな」
外見は。
中に入る。
空気が、
少し重い。
(あー……
懐かしい)
魔物が出る。
でかい。
数も多い。
「……増えてる?」
まあいい。
面倒だから。
転移。
背後。
殴る。
終わり。
別方向から、
魔物の群れ。
転移。
天井。
落下。
衝撃。
まとめて沈黙。
考えない。
数えない。
解体しない。
収納。
ポン。
ポン。
ポン。
(……容量、
広がってるな)
まあいい。
奥へ。
さらに奥へ。
鑑定。
【ダンジョン階層:通常】
……?
足元に、
違和感。
石の模様が、
微妙にズレている。
(あー……
これ)
鑑定。
【構造:位相ズレ】
【隠し階層:未発見】
「……あるよな」
壁に手を当てる。
転移。
落ちた。
空間が変わる。
天井が高い。
空気が澄んでいる。
そして――
光っている。
「……うわ」
魔鉱石。
壁一面。
床にも。
柱にも。
削る必要がない。
塊だ。
魔物が出る。
見たことがない。
硬い。
でかい。
でも――
遅い。
「……面倒」
転移。
関節。
衝撃。
沈黙。
次。
また次。
範囲。
巻き込み。
終わり。
静かになった。
ノアは、
周囲を見回す。
「……素材、
やばいな」
鑑定。
【古代合金原鉱】
【高純度魔鉱】
【未知素材:反応安定】
(後でいい)
収納。
収納。
収納。
収納。
空間が、
埋まっていく。
「……一回で
十分すぎる」
ノアは、
満足した。
それ以上は、
欲張らない。
欲張ると、
面倒になる。
帰還。
転移。
ハブリス。
倉庫前。
ドン。
ドン。
ドン。
素材の山。
最初に気づいたのは、
鍛冶屋だった。
「……は?」
「なに、
これ」
「……嘘だろ」
次々、
人が集まる。
「ノアさん!!」
リリアが、
駆けてくる。
「……説明、
必要ですか?」
「いえ!!
今はそれどころじゃないです!!」
鍛冶屋が、
震える声で言う。
「……これ」
「街、
広げないと
置けません」
「ですよね」
ノアは、
あっさり言った。
この日。
ハブリスに、
鍛冶屋が増え
職人が集まり
建材が溢れ
工事が始まった
理由は、
たった一つ。
ノアが、
考えるのをやめたからだ。
夜。
宿の部屋。
ノアは、
久しぶりに
スッキリした顔で
ベッドに倒れた。
「……やっぱり」
独り言。
「ダンジョンは、
楽だな」
街の未来?
教会?
国?
それは、
また後でいい。
今は、
眠れる。
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