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第四話  行方不明の少女の妹と同じ名前の人と会いました

「ペルセポネ……?」


事故死したアストライア嬢の妹と同じ名前……。


「私、元孤児で、今のお母さんとお父さんに新しく名前をつけてもらったんです。とある神話の女性の名前を。まあ、私自体は神話をよく知らないし興味もありませんが」


女神……?

ペルセポネが?

聞いたことあるような……。

あっ、思い出した!



ーーーーーーーーーーーーーーー

ペルセポネは春や植物の成長を司る女神であり、同時に冥界の女王とされています。

彼女は元々、豊穣の女神デメテルの娘でしたが、冥界の王ハデスによって冥界へ攫われてしまいます。

娘を失ったデメテルは深い悲しみに暮れ、神としての役割である大地に実りをもたらすことをやめてしまいました。

その結果、人間界では作物が育たなくなり、世界は飢餓寸前に陥ります。

この事態を重く見たデメテルの兄ゼウスは、ハデスと交渉し、ペルセポネを地上へ帰すことを認めさせました。

しかしその際、ペルセポネは冥界の食べ物であるざくろを口にしてしまいます。

冥界の食べ物を食べた者は、食べた数に応じて一年の一定期間を冥界で過ごさなければならないという掟がありました。

こうしてペルセポネは地上と冥界を行き来する存在となり、生と死の境界を象徴する女神として位置づけられるようになったのです。

ーーーーーーーーーーーーーーー



こんな感じの話だったような……。


「変ですよね。神話の女神の名前だなんて……」

「ううん、変じゃないよ。いい名前だと思う」

「……ありがとうございます。それじゃあ私はこれで」


気がつくと、もう目的地に着いていた。


「それじゃ、またね。リディールさん!」


そう言ってペルセポネは元気よく手を振り、教室へ駆け込んでいった。

扉の向こうから、怒号にも似た教師の声が一瞬だけ聞こえたけど……。

聞かなかったことにする。


「……頑張って」


小さく呟いてから私は自分の教室へ向かった。

一年Sクラス。

扉を開けた瞬間、数十の視線が一斉にこちらへ集まる。


「遅かったですね、王女殿下」


エルミナ先生が言った。


「途中で結界の賢者様にお会いして、話をしていました」

「そうですか。では、どうぞ席についてください」

「はい」


そのあとは、普通に授業を受けて、普通に家に帰った。

何事もない日々が、いつまで続くのだろう。

そんな疑問があること以外は普通だった。


◇◆◇


「貴様らはまだ結果を出さんのか」

「「申し訳ありません」」

「なんのために居場所のない貴様らに居場所を用意したと思っているんだ」

「しかし、やはり邪魔が多いのです」

「邪魔?」

「はい、リディール・セア・メッチャツオイはもちろん、国王や魔法学園の学園長、結界の賢者が計画の邪魔をしています」

「ほう……。では殺せ。できなくても四肢を折るくらいはしろ」

「了解しました」

「…………分かりました」

「……はあ、もっと上手く嫌っていうのを隠せないのか?アストライア」

「うるさいわよ。セティルド、あたし人を痛めつけるのは趣味じゃないのよ」

「……自分の手を汚したくないだけのくせに」

「……?なにか言った?」

「なにも?」

「とにかく、近々リディール・セア・メッチャツオイを無力化しろ。無理だったら加勢する。お前はこれ以上無理しなくていいんだ」

「…………」


◇◆◇

――数ヶ月後


「学園肝試し〜!!」

「「「「「「「「「いえーい!!!!」」」」」」」」」」


集まったメンバーは私、アルデーヌ、律、フォーカス、メルリ、セレーネ、ルナリア様、オスカー、ペルセポネ!

以上!!

私はあれから数ヶ月、特に危険にさらされることなく過ごせている。

ペルセポネとも仲良くできてるし、何ならメルリ達と同じくらい仲が良い。

さて、学園肝試しとは腐るほど教室がある学園の中で好きな人と五、六人組を作って肝試しをする。

学園全体でやる行事のため、上級生と一緒にやることもできる。

お化けが出るかどうかというより、暗い学園の中で怪談をするみたいな感じだ。

この九人の中で二組に分かれて指定された教室で階段をするのだ!


「わ、私はリディールさんと組みたいです」


ペルセポネが言った。

まあ、面識あるのは私だけだしなぁ。


「じゃあリディール様は俺とリリアーナ嬢、メルリ嬢、ペルセポネさん、セレーネ様も組むことにしよう」

「何テメェのハーレム作ってんだよ。俺もリディールと組みたいんだが?」

「私もリディール様と組みたーい」


アルデーヌとフォーカスがメンチを切り合っている横で、呑気に手を挙げてそういうルナリア様。

空気を読んでほしいと思ってしまうのは私だけだろうか。


「ここはリディールに決めてもらうべきでは?」


セレーネがため息をついて呆れたように言った。

なんでみんな私を取り合っているのか分かってないのに?

みんなが謎に期待の眼差しを向けてくる。


「えー、じゃあアルデーヌ、メルリ、リリアーナ、ペルセポネで」

「えぇ……」


フォーカスがあからさまに嫌そうな顔をする。

ルナリア様と同じなのが嫌なのだろうか。

セレーネは姉であるルナリア様と一緒にした。

オスカーはまあ、誰とでも仲良くできるだろうと思った。


「隣の部屋だしいいんじゃない?会おうと思えば会えるし」

「そうね。ただ……肝試しする場所が一番怖いと言われている旧校舎の三階なの以外はいいことね……」


ペルセポネが小さく悲鳴を上げる。

これが普通の反応だよね。

なんでペルセポネ以外はそんなにワクワクしてるのかわかんないんだけど。


◇◆◇


その後は班員を先生に報告して、師弟の教室に向かい、怪談を始めた。

現在時刻夕方。

怪談をする時間帯ではない。


「そして、振り向いたら半透明の人がいたんだって!!」

「うわぁぁあああ!!」


アルデーヌ、マジ?

こんな典型的な怪談でそんなにビビる?

アルデーヌとペルセポネはさっきからずっとビビり散らかしている。

怪談話はもうほとんど全員していて、次の私の話で終わる。

んー、私が知ってるのって律くらいしか通じないんだよなぁ……。


「次はリディール様だよ」


メルリがロウソクを渡してきた。

私はそれを受け取って、目の前に置いた。


「これは遠い異国の怖い話。ある廃校に肝試しに行くと、肝試しに行った人は一年神隠しに遭うと言われて

いる。そこに肝試しに行った三人の少女の物語」


◇◆◇


一人は最初に寒気を感じて肝試しをする前にいなくなってしまった。

残った二人の少女は廃校の中に入った。

しばらく探索をしていると、すぐに異変が起きた。

雨漏りなんてしてないのに、天井から水滴が落ちてきたり、誰もいないのに水に濡れた足で歩く音に追いかけられたり、友達が消えたり。

二人の少女はなんとか出口を見つけ、出ることができましたが、少女が振り向くと、一緒に来た少女が消えていました。

少女は霊だったのだ。


◇◆◇


「「ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」」


ペルセポネとアルデーヌが叫ぶ。

いい反応するなー、コイツら。

これは日本では割と有名だった怪談話だ。

実際にあったと言われる怖い話。

確か、篝火高校の殺人事件と怪談話が一体化してるとも言われているが、真相はわからない。

律がなんだか複雑な顔で私を見ている。


「遠い異国って日本かよ」

「私の持ちこれくらいしかないもん」

「日本の出して良かったなら自動電気チカチカの話したのに」

「あとで詳しく教えてね」


律とそう話していると、急にロウソクが消えた。

月明かりも当たらない部屋で、誰がどこにいるかもわからない。

早くつけ直さないと。


「消えちゃいましたね、マッチ持ってきますね」


ペルセポネがそう言って立ち上がる音が聞こえる。


「私がつけるからいいよ。我が契約精霊よ、我に力を貸したまえ。スモール(小さな)ファイヤー(炎の)フォース()


よし、ついた。

顔を上げると、アルデーヌが剣を私に向けていた。

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