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第十四話 魔法学園にはキャラが濃い人が多いようです

セレーネ様は小さな声で「うわっ」と言って、かなり嫌そうな顔をしている。


「セレーネってばなんで手紙のお返事をくれないの!?寂しかったんだからっ!!」

「姉様、暑苦しいです。離れてください」


姉様!?

ってことは、シシュナ王国の第一王女か第三王女ってこと!?

セレーネ様は抱きついている王女様を引き剥がそうとしている。

しかし、その王女様は全く離れる気配がない。


「もう!セレーネったら冷たいんだから!お姉ちゃんは寂しかったのよ!」

「寂しいのは分かりましたから、人前でこういうことはやめてください」


セレーヌ様は心底困った顔をしている。

周りの生徒達がシシュナ王国の王女二人のやり取りを見て、ざわついている。


「あの、すみません。こちらの方は……?」


私が訊くと、セレーヌ様が深いため息をついた。


「シシュナ王国第三王女のルナリア・ジル・シシュナです。私の姉です」

「はじめまして!リディール王女殿下ですよね!?お会いできて光栄です!!」


ルナリア様は私に抱きつこうとしてきた。

私は咄嗟に後ろに下がった。

危ない危ない。

あのままだと確実に抱きつかれていた。


「あはは……。よろしくお願いします、ルナリア様」

「もう!そんなに警戒しないでください!私、リディール王女殿下のこと、すっごく尊敬してるんですから!」


ルナリア様は満面の笑みで言った。

なんだろう、この人。

エルミナ先生と同じタイプの匂いがする……。


「すみません、リディール様」

「い、いえ。大丈夫で……す」


ふとフォーカスの方を見ると、すごく嫌そうな顔をしている。

こんなに人に会って嫌そうな顔をされてる人、初めて見た。


「あららー?フォーカスじゃない」

「フォーカス、知り合いなの?」

「俺と同じクラスの奴だ」


とても複雑かつ嫌そうな顔に私はどんな人なのか大体わかった。


「あらやだ、フォーカスってば私のこと覚えてたの?」

「誰彼構わず『私の婿にしてあげる』とか言ってる女なんぞ誰でも知っとるわ」

「私のこと好きでしょ?」

「話聞いてたか?」


セティルド様と同じタイプだー!

話を聞かずに強引に話を進めようとするところ本当に似てるー!

セレーネ様はよくこんな人達の中でまともに育ったな。


「セレーネってばお姉さんいたのね。なんで言ってくれなかったの?」


メルリが言い合いをしているフォーカスとルナリア様を見てそう言った。

セレーネ様はとても遠い目をしている。


「別に、あんな姉がいるなんて知られたら恥ずかしいもの。じゃあ私、先生に問題の質問しに行くから」


セレーネ様は机の端に置いていた本を持って立ち上がった。

その本から一枚の紙切れが落ちてきた。

なんだこれ。

私は裏返って落ちてしまった紙切れを拾って、表を見た。

それは小さな肖像画だった。


「おっと?」


私が声を漏らすと、光の速さでセレーネ様が肖像画を取り上げた。

その顔は赤い。

なるほどなるほど。


「み、見ましたか……?」

「しっかりと」


私が答えると、セレーネ様の顔はさらに真っ赤になり、手で写真をぎゅっと押さえた。

多分他の人には見えてないだろうけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいんだろう。


「それって……」

「し、しおりです!」


無理あるって。

セレーネ様の慌てようを見て、みんなが不審な顔をしている。


「セレーネ、あなたなにを落としたの?」

「ノートを切り取ったものです」


無理があるって。

ノートを切り取ったものを落としただけでそうはならんて。


「セレーネ様……?」

「べ、別にそういうことじゃないんだからね!」


腕を組んで顔を赤らめながら強く言うセレーネ様は、漫画でよく見るアレだ。

典型的なツンデレだー!!

初めて見た!

こんな典型的なツンデレ!

れーなも前世では若干ツンデレ感あったけど、れーなとは訳が違うツンデレだ!

そんなことを考えていると、セレーネ様は私の手を掴んで私を廊下に連れ出した。


「ぜ、絶対に言わないでください!特にルナリア姉様には!」

「いや、言うつもりはないけど……。随分と古い肖像画でしたね。見たところ家族全員でお揃いになっていたような……」

「…………最近はみんなで集まることがなくなったので、新しく書き直せないんですよ」


あー、王族って他国に嫁いだりとかが多いから、自国に戻ってくることが少ないんだっけ?

メッチャツオイ王国は自由恋愛だし、エルディーお兄様もセラフィーお兄様もアルカお兄様も婚約者はいたような気がするけど、国内だから他国に行ったりはしない。

恋愛至上主義ではないけど、政略婚は少ないと言われている。


「もうみんなバラバラで、私達はもう、仲が良かった時のようにはなれない……。あの頃に戻りたいな……


なんてね。すみません、お恥ずかしいところを……」

何か色々と事情があるようだけど、深追いはよくない。

私はそっとセレーネ様の手を取った。


「昔の思い出って、誰かに聞かれたり見られたりしても別に恥ずかしいものじゃないですよ?」

「……え?」

「昔のように戻りたい。そう思うのはいいことだと思うし、恥ずかしくなんてありません」

「…………」


私も前世の自分を恥ずかしいとか思えない。

だから、セレーネ様が家族のことを大切に思っているって言うのも恥ずかしいと思わない。

昔がどうであれ今の自分を作ったのは、昔の自分と周りの人達だ。


「関係が戻れるか戻れないかなんて決まってない。大事なのは、セレーネ様がこれからをどう生きていくかですよ」

「…………っ!」


セレーネ様は大きく目を見開いて、唇を噛み締めた。

王族の家族関係があまりよくないのはありがちなことだ。

私達のようにどこの国も王族の家族仲がいい訳じゃない。

王位継承権争いが一番の原因だ。


「それじゃあ、私は戻るから」


私が手をそっと離すと、セレーネは少しぎこちなく背筋を伸ばした。


「……はい。ありがとうございます」


私は食堂に再び戻った。


◇◆◇


「リディール・セア・メッチャツオイとは接触できたようだな」

「接触くらいはできるわよ。私を舐めすぎると後悔するわよ」

「はいはい。で、計画は?」

「苦労して張った結界を壊されたばかりよ?そんな早くになんとかできるはずがないでしょ」

「はあ、あいつならもっと早くことを起こすぞ?」

「………………あんたもあたしを見てくれないの?」

「……そんなつもりじゃねぇよ。悪かった、配慮が足りなかった」

「…………ほんとよ、バカ……」

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