第十二話 授業の実習で盛大にやらかしてしまいました
――翌日
「なーんであなた達がここにいるのかなー?」
「よっ、久しぶり」
「お久しぶりです」
私は学園に行く馬車のところに行ったら、サフィーアとアズルクがいた。
二人は元革命派の人間で、今はそれぞれ立派な役職についている。
アズルク・オズ・サカムケキニナル、過去に友人を父親に殺されたことによって革命派に所属した人。
革命派に所属したから、父親には勘当されてたけど、七年前の最高指導者会議で無理矢理引き合わせてから、二人は和解して、アズルクは貴族に戻った。
今は殺されてしまった友人、シリルさんの夢だった王宮薬師として働いている。
サフィーアは貴族に妹を殺された平民だ。
アズルクと同じく革命派に所属していたけど、今は王立騎士団の副団長をしている。
「陛下から何も聞いてないのか?俺達が学園でお前の護衛兼教師を任せれたんだよ」
あー、なんか昨日言ってたな。
ていうかこの二人が教師?
できるのかな。
「王女殿下、絶対俺達にそんなことできるのかって疑ってますね?」
「心配すんなって、リディール。俺達は下の人にものを教える立場だ。教師が務まらないわけないだろ?」
副団長は新入団員に剣術を教える。
王宮薬師は弟子を取って、その人に薬の作り方を教える。
確かに二人はちゃんと教えられるタイプの人だ。
でも……。
「なんでだろう。二人はどちらかっていうと力でねじ伏せるタイプに見える」
「何言ってんだよ失礼な」
「そうですよ」
「「でも、従わない奴には分からせるしかねぇだろ?」」
「怖いその顔」
二人は極悪人の笑みを浮かべている。
やっぱ力でねじ伏せるんじゃん……。
「ほら、早く行かないと遅刻しますよ?」
サフィーアが私に言ってきた。
確かにそうだ。
仕方ない、行くか。
私達は馬車に乗り込んだ。
◇◆◇
学園に着くと、アズルクとサフィーアは職員室に行くからと、門のところで別れた。
私はどこもよるところがないから真っ直ぐ教室に向かった。
教室に入ると既にアルデーヌが席に座っていた。
「おはようございます、リディール様」
「おはよう、アルデーヌ」
私は席に座った。
今日はどっかの誰かさんのせいでギリギリになっちゃった。
――リディール、ついでにそこの薬局に薬届けていいか?
――リディール王女殿下、すみません。迷子を見つけてしまって……
あの仕事バカ共め。
許さん。
「おはようございます、みなさん」
チャイムが鳴ると同時に、エルミナ先生が教室に入ってきた。
先生はいつものクールな表情だった。
昨日のあの騒ぎは何だったのかと思うくらい落ち着いている。
――……そっか。私は過去のアルくんしか見てなかったんだ……
――大きくなったね、アルくん……
昨日のあれを見たせいか、正直どっちが素なのかわからないんだよね。
「今日はみなさんの魔力がどれくらいコントロールできているか確認します。訓練場に移動してください」
生徒達がぞろぞろと教室を出た。
私達も訓練場に向かった。
訓練場には既に確認が終わった生徒もいて、教室に帰っていっていた。
「それでは、一人ずつ魔力のコントロールテストを行います」
「では、あの的の中心を狙って魔法を撃ってください。魔法の属性はなんでもいいです」
なるほどね。
窓の真ん中に的中したらコントロールできてるって分かるのか。
ただ……。
私の肩に乗っているリュミエールが少し微妙な顔をしている。
私の魔力量って、たぶんアルデーヌよりも多いんだけど……。
大丈夫かな?
「では、やりたい人からやってください」
あ、そういうスタイルなんだ。
「リディール様、いつ行かれますか?」
「うーん、最後の方がいいかな。ちょっと怖いというか……」
「あー……」
アルデーヌは理解してくれたのか、リュミエールと同じような顔をしている。
私の魔力量が尋常じゃないのは、おそらく契約しているメンバーのせいだと思う。
リュミエールは次期精霊王と言われていたほど魔力が多い。
そんなリュミエールと魔法を使うのだから、それはもうとんでもない威力になる。
それに加えてクソカスだ。
魔力を蓄えている尻尾を、私が理由あって切り落とした影響で魔力は減っているけど、竜はSランクの魔物だから、減った魔力なんて雀の涙程度だ。
そんなクソカスと魔力を共有しているから、リュミエールの力と相まって、膨大な魔法と化する。
とんでもねぇよ。
「そろそろ行こうか」
「はい」
私達が前に出ると、周りにいた生徒は逃げるようにその場を去った。
うん、ですよね。
「あの、先生。全力でやってもいいんですか?」
「え?ど、どうぞ」
よし、言質は取ったぞ。
「我が契約精霊よ、我に力を貸したまえ」
「炎の精霊よ、我が呼びかけに応えよ」
「インテンス・ストーム・ウインド!!」
「ブレイズ・ファイヤー・インフェルノ!!」
私とアルデーヌは同時に魔法を打った。
私の風魔法とアルデーヌの炎魔法が的に向かって飛んでいく。
そして「ドォォォォン!!」というクソでかい音が鳴り響く。
激しい土埃が舞い、辺りが見えなくなる。
砂埃が収まってから的を見ると、的は跡形もなく消し飛んでいた。
いや、消し飛んだだけじゃない。
的の後ろの壁に大きな穴が開いている。
二つ分ポッカリと。
「……え?」
エルミナ先生は呆然としている。
周りの生徒達も口をポカンと開けている。
『リディール……やりすぎよ』
リュミエールが呆れたように言った。
「いや、だって全力でって……」
「リディール様、的が消えてませんか……?」
アルデーヌも困った顔をしている。
「あ、あの……王女殿下……」
エルミナ先生が震える声で言った。
「的が……消えましたけど……」
「あ、すみません。思ったより威力が強くて……」
「……ま、魔力のコントロールは……完璧ですね……」
先生は引きつった笑顔で言った。
ああ、先生。
無理に褒めなくていいんですよ。
すごい複雑な感情を隠してるのが丸分かりです……。
「ちょっと威力が……予想以上でした……」
「「本当にすみません……」」
私とアルデーヌは深々と頭を下げた。
その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「何だ!?今の音は!?」
サフィーアが剣を抜いて飛び込んできた。
あー、来ちゃいますか。
来ちゃいますよね。
一応護衛として学園に来てるわけですから。
「大丈夫ですか!?敵襲ですか!?」
「あ、いえ……。リディール王女殿下とアルくんが魔法の練習を……」
エルミナ先生が説明すると、サフィーアは壁の穴を見て固まった。
そして、私とアルデーヌを交互に見た後、死ぬほど引いたような顔をした。




